Yahoo!ニュース

エリートVS雑草 世界王者 京口紘人が1位久田哲也と大阪で激突

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真 全てスタッフ提供

10月1日、エディオンアリーナ大阪でWBA世界ライトフライ級タイトルマッチが行われる。

チャンピオン京口紘人(25=ワタナベ)と、同級1位の久田哲也(34=ハラダ)との対戦が発表された。

京口は、昨年の年末に獲得したベルトの2度目の防衛戦となり、久田はデビューから46戦目で初の世界挑戦となる。

挑戦者の久田哲也

デビューから1年ほどで世界タイトルを獲得した京口に対し、久田は2003年にプロデビュー。

プロキャリア16年目で世界挑戦までたどり着いた。

戦績も、13戦全勝(9KO)の京口に対し、久田は45戦34勝(20KO)9敗2分と3倍以上プロキャリアがある。

久田が、日本タイトルを獲得したのは2017年。

そこからタイトルを5度防衛して、今回のチャンスを得た。

会見では「30歳になった時は、周りから『もう、あきらめろ』と言われたりしたけど、やっとここまで来られた。

色んな人たちの思いを拳に乗せて戦います」と試合に対しての意気込みを語った。

最近はアマチュアでのキャリアを積んでプロデビューし、世界王者になるケースが多くなった。

ここまで長い期間をかけて、チャンスを掴んだのは異例のケースとなる。

久田のボクシングのスタイルは、右構えの好戦的なファイタースタイルだ。

前に出て、プレッシャーを掛け手数を出していく。スタミナと打たれ強さがあるので、ほとんどKO負けもない。

私は以前、彼と同じトーナメントに出場し、試合を観たことがある。

根性があり前にガンガン出てくるので、非常に戦いたくない相手だと感じた。

ここのところは13連勝で、内9回のKO勝ちを含んでいる。

画像

階級を上げた京口紘人

京口紘人は、6月にタナワット・ナコーン(タイ)を相手に迎え、2度目の防衛戦に臨んだ。

試合では、京口がプレッシャーを掛け挑戦者のタナワットを追い詰めた。

本人はKOを狙っていたので、判定決着に納得がいってないようだったが、無敗の挑戦者相手に格の違いを見せつけた。

年末にミニマム級から階級を上げて、スーパー王者のブドラーをKOで下し、ライトフライ級のタイトルも獲得した。

減量苦もあり、下から階級を上げてきたが、軽量級離れをしたパワーを持っている。

階級を上げると、自分のスタイルをその階級に合わせる必要がある。

ミニマム級ではパワーで圧倒したが、階級を変えるとスタイルチェンジも必要とされる。

新たにフィジカルトレーニングを取り入れ強化している。

前回の試合ではパワーに頼る場面もあったが、アマチュアで磨いてきたテクニックもある。

まだまだ若いし、伸びしろはあるだろう。

今回の試合では、ベテランの久田相手に、格の違いを見せつけられるかに注目だ。

画像

熱戦に期待高まる

お互いにファイタータイプなので、噛み合う試合になるだろう。

2人とも地元大阪での試合となり、熱戦が繰り広げられることが予想される。

京口にとって、決して楽な試合にならないだろう。

スパーリングと試合が違うように、世界戦は、通常の試合と大きく異なる。

挑戦者の久田は、120パーセントの気持ちでベルトを獲りにくる。

世界戦のチャンスはなかなか訪れない。久田は選手生命を懸けて向かってくるだろう。

長くこの階級を主戦場にしてきた久田と、階級を上げてきた京口との打ち合いは見ものだ。

対抗王者では、先日見事なKOで勝利した、WBC王者の拳四朗が君臨している。お互いに意識しているようだ。

拳四朗との統一戦の行方も気になるところだが、今回の試合でいい勝ち方をして、対戦に漕ぎ着けたいところだ。

お互いの意地と意地がぶつかる、熱戦に期待したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

木村悠の最近の記事