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「強すぎて相手がいない」圧勝した拳四朗が強い相手を募集

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真 全て本人提供(FUKUDA NAOKI)

12日にエディオンアリーナ大阪で、ボクシングWBC世界ライトフライ級タイトルマッチが行われた。

チャンピオンの拳四朗(27=BMB)が、最強挑戦者の同級1位のジョナサン・タコニン(32=フィリピン)を衝撃KOで下し、試合を決めた。

ワンパンチで試合を決める

序盤はフットワークを使う拳四朗に対して、サウスポースタイルのタコニンは、プレッシャーを掛ける。

軽量級では、破格の8割KO率を誇るタコニンのパンチは迫力がある。

拳四朗は、右を放ちタコニンの前進を止め、ジャブで距離を測りながら、右のパンチをタイミングで合わせていく。

身長が低いタコニンを相手に、時折右アッパーを打ち、タイミングよくパンチを決めていた。

徐々に、拳四朗がペースを掴みタコニンにパンチを集めていく。ベストな間合いを掴んだのだろう。

タコニンは、一発狙いで強打を振り回すが拳四朗には当たらない。パンチが当たらないのは、焦りに繋がりスタミナを消耗する。

相手の打ち終わりにもパンチを集めダメージを蓄積させていった。

そして迎えた第4ラウンド、タコニンが振りかぶったパンチの打ち終わりに、拳四朗のカウンターがヒットしダウンを奪う。

立ち上がったが、目の焦点があっておらずフラフラで、レフリーがそこで試合をストップした。

地元の大観衆の中、拳四朗がKOでアピールし、1位の最強挑戦者相手に見事な戦いで圧勝した。

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キレとタイミングでKO

拳四朗は、世界タイトルを6度防衛し、内4回はKO勝ちで、相手を圧倒している。体重が軽い軽量級のなかで、これは非常に高いKO率だ。

拳四朗のスタイルは、その独特の距離感にある。剣道や日本拳法のような間合いで、相手との距離感を掴むのが非常にうまい。

一発のパワーパンチで倒すというよりは、キレとタイミングで相手をノックアウトしてきた。

今回の試合でも、距離感を掴み最後はタイミングで倒した。

また対サウスポー相手に、ノーモーションの右ストレートを多用して、相手の出鼻をくじいていた。

総合的に優れていて、弱点がない。

ここ最近は、KOのタイミングを掴んできて、一撃で相手を倒す試合が増えてきた。

本人提供 セコンドのアドバイスを聞く拳四朗
本人提供 セコンドのアドバイスを聞く拳四朗

期待高まる統一戦

拳四朗の目標は、具志堅用高氏の持つ連続防衛記録の13回を超えることだ。階級は上げず、この階級に留まって防衛をしていくのだろう。

そうなればファンの期待は、より強い相手との試合「統一戦」になる。

ランキング上位の選手でも相手にならないので、他団体の王者との試合が気になるところだ。

ライトフライ級の他団体の王者達

WBO エルウィン・ソト(メキシコ)

IBF フェリックス・アルバラード(ニカラグア)

WBAスーパー 京口紘人 

WBAレギュラー カルロス・カニサレス(ベネズエラ)

中南米の選手が多いが、日本人王者に京口紘人(25=ワタナベ)がいる。

拳四朗の試合後に、京口は「強かったですね。でも、やれば僕が勝ちますよ」とコメントをくれた。

2人は学生時代に試合をしたり、練習でもスパーリングで対戦している。

どちらが強いのか、見たいところだ。

拳四朗も、「統一戦を含めて、強い選手と戦いベルトを集めたい。強い挑戦者の皆さん、どんどん挑戦してきて下さい、待ってます!」

と話していた。

ファイタータイプの京口と、出入りを活かした拳四朗の戦いは、実現したら面白い試合になるだろう。

2人とも「王者として認められたい」という想いを持っているので、次のステップに進むために、統一戦を実現してほしい。

ライバルの存在が、自分を成長させ強くしてくれる。この2人のライバル対決に、ぜひ注目していきたい。

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元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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