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村田諒太VS王者ブラント 再戦で勝つためのポイントとは 

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真提供全て FUKUDA NAOKI

12日エディオンアリーナ大阪で、WBA世界ミドル級タイトルマッチが行われる。

この試合で、同級3位の村田諒太(33=帝拳)が、現王者のロブ・ブラント(28=米国)と対戦する。

村田は、昨年の10月にアメリカでブラントと対戦し、判定で敗れた。

今回は9ヶ月ぶりの復帰戦で、再戦となる。

村田のボクシング

村田は一発で倒せるパンチを持ち、ミドル級でトップクラスのパワーファイターだ。

相手にプレッシャーを掛けて、強いパンチを打ち込むスタイルで、ここまで14勝(11KO)で約80%のKO率を誇る。

前回のブラント戦では、持ち前のパワーに頼ってしまい、相手の圧倒的な手数にペースを握られてしまった。

試合では、村田が774発の手数を出し、的中が180発だった。一方ブラントは、1262発の手数を出し、的中が356発だった。

その反省を踏まえ、今回はパンチをもらわない対策と、相手の猛攻に対抗するために足腰を鍛えてきた。

また「様子を見ようとして序盤から流れを持っていかれたことが良くなかった。スパーリングでも、スタートからしっかり動くように心がけて練習してきた」と話していた。

今回は、初めから積極的に仕掛けていくようだ。「結果はKOだろうが判定だろうが、自分で流れをつくっていくことが重要」と語った。

ここまで良い練習ができているようで、リラックスしていた。

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勝つためのポイント

ブラントは、試合の2週間前に来日した。

慣れない環境での調整は、神経を使う。

「雨の多い時期と聞いていた。日本の湿度に慣れようと早めに日本に入った」と話していた。

空気が乾燥したラスベガスに比べ、日本の梅雨の気候は異なり、時差も大きく影響する。

そのため、早期に来日し、準備をしている。それだけ、この試合に慎重になっているようだ。

ブラントも、良いコンディションを保てているようで「私に勝つためには、判定ではなく、KOしかない。私にパンチは当たらないだろう」と自信をのぞかせた。

また今回の試合に向けて、高地トレーニングなどで調整してきた。

「スタミナが一番。前回以上にペースアップできるように練習してきた」と話した。

おそらくブラントは、大きくスタイル変更はしないだろう。

前回の試合では、村田が後手にまわってしまい、ブラントにペースを握られてしまった。だが、今回は村田も相打ち覚悟で前に出るだろう。

理想は、相手を下がらせてプレッシャーを掛けていくことだが、動きを止めるためには、近い距離での打ち合いが必要になってくる。

パンチのパワーは村田が上なので、いいパンチが一発入れば、そこからペースを作れる。

あとは、巧みなブラントの動きをどれだけ止められるかだ。

今回は、前回以上に手数を出して、相手にダメージを与え、ボディ打ちでスタミナを削れるかがポイントになってくる。

一度拳を交えている者同士、相手の実力は分かっている。

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再戦について

ボクサーにとって「再戦」とは大きな意味を持つ。

敗者は、同じ相手に連敗するわけにはいかない。そして、自分に勝った相手にリベンジしたい気持ちは強い。

再戦では、勝者は自分のそのままのスタイルを貫き、負けた相手は戦い方を変えるケースが多い。

そのため、初戦とは異なる展開になる。

ボクシングはジャンケンのようなものなので、何にでも対応できるスタイルは存在しない。

どんなタイプでも苦手な相手やスタイルはある。村田がこの8ヶ月でどれだけ変わったかが、ポイントになるだろう。

村田は、日本人初の金メダリストで世界チャンピオンという偉業を成し遂げた。

他の人が持っていない、逆境を乗り越える強さを持っている。ぜひリベンジを達成してほしい。人生を賭けた決戦がいよいよ始まる。

試合は7月12日(金)に『FUJI BOXING WBA世界ミドル級タイトルマッチ』 として、フジテレビで20時~生放送される。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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