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井岡一翔が4階級制覇に再挑戦「世界王者を超越した選手になりたい」

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
全てスタッフ撮影

6月19日、幕張メッセでトリプル世界戦が行われ、メインイベントにWBO世界スーパーフライ級王座決定戦が行われる。

4階級制覇を目指す井岡一翔が、同級1位のアストン・パリクテ(フィリピン)と対戦する。

試合を直前に控えた井岡に、独占インタビューを行った。

アメリカでの調整

今回は数々の王者を育てた、イスマエルサラストレーナーのもと、アメリカのラスベガスで2ヶ月間の合宿を行った。

帰国した井岡は、いい表情をしていた。

充実した練習ができたようで、

「1分1秒を大事にしてきた」「自分のボクシングのベースを見つめ直し、スピードもパワーも増し、全体的に強くなった」と話していた。

今回の、対戦相手のパリクテは、スーパーフライ級の中でも長身で、体格が大きい。

階級を上げて3戦目になるが、これまで対戦してきた選手達は、下から階級を上げてきた選手なのに対し、パリクテは上の階級で戦ってきた選手となる。

対策として、長身のパリクテを想定した、180cmの選手を相手に、110Rのスパーリングを行ってきた。パリクテ対策の手応えを掴めたようだ。

帰国後の公開練習では、自信に満ち溢れていた。

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今回の試合のテーマは左

今回の試合のテーマは、「左」だ。

井岡は「ボクシングは、左のパンチの組み立てが大事。長身の相手でも、距離を潰すには左がキーポイントになる」と話した。

彼のボクシングは、相手との距離感を掴み、ヒットアンドアウェイで、ポイントを積み重ねていく。

そのためには、ジャブの使い方が非常に重要になる。ジャブは地味なパンチではあるが、様々な使い方がある。

相手との距離を掴むジャブ、間をコントロールするジャブ、攻撃を組み立てるジャブなど、多様だ。

今回の試合では、左で組み立て、いかに自分の距離に持ち込むか、がポイントになってくるだろう。

あとは、相手のビデオを見て、イメージを作る作業に入る。

相手のパリクテについては、「以前アメリカで、同じ興行に出場していたため、初対面ではない」「会った印象も前と変わらない」と話した。

また、「パリクテはパンチ力があるため、ストレート系のパンチには気をつける」と話していた。

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4階級制覇のその先へ

井岡は2年2ヶ月ぶりに、日本のリングに立つ。

日本のファンに「勝って恩返ししたい」と語った。

「世界の舞台で戦うのは楽しみでもあるが、ラストチャンスかもしれないので、人生を懸けて戦う」と話した。

前回の敗戦から、ダイレクトでタイトルに挑戦できた。

井岡自身、負けたら次はないと、背水の陣で試合に向かう。

「何が何でも、タイトルを取る」と意気込みを語り、「同じ事は繰り返せない。結果を残さないといけない。いっぱいいっぱいで、常に緊張感がある」と本音も語ってくれた。

4階級制覇はもちろんだが、それより前に、チャンピオンになりたいと熱い思いも話した。

今回の試合をクリアすれば、世界への視野も広がるだろう。

自分の評価を上げ、海外で活躍するためにも、強い選手と戦い、ブランディングしていく必要がある。

「このタイトルをきっかけに、海外のリングでスーパーフライの強敵と試合をして、統一戦を目指していきたい」と話した。

同階級には、メキシコやアメリカでも人気があるファン・フランシスコ・エストラーダもいる。

井岡は「エストラーダと戦いたい」と対戦を熱望している。

自身のゴールについて訊ねると、「タイトルを超越した選手になりたい」と語ってくれた。

今回の試合は、絶対に負けられない試合だ。ボクシング人生を懸けて戦いに向かう。

試合は、TBSで21時からライブ中継される予定だ。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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