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井岡一翔に立ちはだかるパリクテ「右ストレートが一番の武器、当たれば一撃でKOだ」

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
全てスタッフ撮影

WBO世界スーパーフライ級王座決定戦で、4階級制覇を目指す井岡一翔(30=Reason大貴ボクシングジム)が、同級1位のアストン・パリクテ(28=フィリピン)と対戦する。

フィリピンで調整を続けるパリクテに話を聞いた。

パリクテのスタイル

井岡の対戦相手パリクテは、フライ級離れしたパワーを持っている。軽量級では大柄な選手で、長身173cmから打ちおろすストレートは、迫力がある。

強いパンチをどんどん振り、体格を活かしたボクシングで勝ち続けてきた。

戦績は、28戦25勝(21KO)2敗1分。軽量級にしてはKO率も高い。

井岡に勝った、フィリピンのドニー・ニエテスとも引き分けている。

来日するまで、フィリピンの首都マニラから、車で約7時間のところにある、標高1500mの山岳地帯バギオで調整を続けている。

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井岡対策はしない

今回の試合に向けて、約2ヶ月前からバギオで合宿を行っている。

トレーニングは午前と午後の2部制で 、朝8時から、ジムでフィジカルトレーニングを行い、午後は、実戦的なトレーニングを行う。

コンディションも整っているようで、90%くらいの状態に仕上がっていると話していた。

対戦相手の井岡に対して、「きっとすごい選手なんだろうと思います」と話したが、あまり興味はないようだ。

ボクサーは、試合前の対策で、2つのタイプに分かれる。

相手のスタイルを、ビデオなどで入念に対策して、リングに上がるタイプ。

対策はトレーナーや陣営に任せて、相手に合わせず、自分のスタイルを磨いて戦うタイプ。

パリクテは、後者のタイプで、相手の研究は一切しない。実際に戦うのと、映像では大きなギャップがある。

私も経験があるが、映像で研究しすぎると、実際の試合では大きく違ってくるので、想定外の事態がおこる。

相手もスタイルを変えてくるため、試合の映像を見ない選手も多い。

当たれば一撃でKO

井岡は、パリクテ対策として、長身の選手への対策を練っている。だが、パリクテ陣営も想定済みだ。

「井岡はパンチを当てるためには、近づかなきゃいけないが、自分はその必要が無い」と話した。

また、パワーとスピードには自信があるようで、「右ストレートが一番の武器、当たれば一撃でKOだ」と宣言した。

勝負のポイントは両者の戦う距離になるだろう。

井岡は、中に入り込みたいが、パリクテは身長差を活かすため、距離を取りたい。自分の得意な距離に持ち込むことが、勝敗に繋がる。

前半のペース争いが鍵となるだろう。

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パッキャオのようになりたい

パリクテはインタビューの最後に、「夢は、世界チャンピオンになって、家族を助けたい。

そして、フィリピンの英雄であるマニー・パッキャオのような存在になりたい」と語った。

海外の舞台で活躍している、次期大統領候補のパッキャオに憧れている選手も多い。

また、フィリピンでは、ボクシングが非常に人気のスポーツで、国民の期待と熱が高い。

パリクテの合宿地には、過去にパッキャオも訪れている。ここでパッキャオに出会い、一緒にトレーニングを行うこともあるそうだ。

「チーム・パッキャオ」の一員として交流も深い。

パッキャオに認めてもらうために、今回の試合に勝つ必要がある。

試合は、6月19日(水)夜9時から、TBSで生放送される。

4階級制覇に立ちはだかるパリクテと、井岡がどのように戦うのかに注目だ。

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元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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