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中量級期待の伊藤雅雪が挑戦者ヘリングに完敗 難敵だった長身のサウスポー

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
昨年の年末は完勝だった 写真提供 Naoki Fukuda

WBO世界S・フェザー級タイトルマッチが行われ、チャンピオン伊藤雅雪(28)が挑戦者ジャメル・ヘリング(33=アメリカ)を迎え、2度目の防衛戦に挑んだ。

試合はアメリカのフロリダ州キシミー、オセオラ・ヘリテージパークで行われた。

ペースを掴んでいたのは挑戦者

序盤はお互い距離を保ち、ジャブで牽制しながら、試合が進んでいた。

伊藤は、長身でサウスポースタイルのヘリングに対して、戦いづらさを感じているようだった。

中に入り込もうとするが、懐が深いため、なかなかパンチが届かない。ヘリングが長い距離間を活かしてポイントを奪っていった。

中盤に入ると、伊藤も積極的に前に出てプレッシャーを強めていく。距離が近くなって組み合う場面が多くなった。

近い距離では伊藤のパンチもヒットするようになってきたが、パンチの的確さでは、ヘリングが優っていた。

ヘリングは豊富なアマ経験を活かして、主導権を渡さずに試合をコントロールしていった。

終盤も、伊藤は果敢に前に出たが、ペースをつかむ事ができず試合終了。

判定は、ヘリングが、3−0(116-112 、118-110、118-110)で勝利して新王者になった。

長身×サウスポー ヘリング

今回の対戦相手は、「長身のサウスポー」だった。右構えのオーソドックスに対して、サウスポーでは戦い方が大きく異なる。

サウスポーは前の手が、交差するためジャブが当たりにくい。加えて、サウスポーは懐が深いため、いきなり当てようとする大きなパンチは、当たりにくい。

しかも、今回のヘリングは長身でテクニシャンタイプのボクサーだ。上体を立ててアップライトに構え、顔の位置が高く、尚更パンチを当てにくい。

上体が立っているため、特に顔面へのパンチは非常に届きにくいのだ。

右構えだったら、前に詰めていけば捕まえられるが、サウスポーの場合はサイドに動くため中に入るのも難しい。

ヘリングは、アマチュア経験も豊富でオリンピックにも出場している。右への戦いは熟知しているようで、伊藤の前進を巧みにかわしていた。

伊藤の方もビックパンチを狙わずに、捨てパンチを入れながら詰めて行ければよかったが、ヘリングが当たりそうで当たらない独特な距離を保っていたため、うまく交わされてしまった。

中間距離では、ヘリングのうまさが際立った。

スーパーフェザー級統一戦

会場には、WBCスーパーフェザー級王者のミゲール・ベルチェルトの姿もあった。

ベルチェルトは元世界スーパーフェザー級王者の三浦隆司との対戦経験を持ち、これまでWBC王座を5度防衛している。

この試合の勝者と統一戦を望んでおり、試合後には新チャンピオンとなったヘリングに対して、対戦オファーを出していた。

この階級では、WBC王者のベルチェルト以外は全てアメリカ勢が占める形となった。

WBAスーパー王者 ガーボンタ・デービス

WBAレギュラー王座 アンドリュー・カンシオ

IBF王者 テヴィン・ファーマー

となる。

アジア勢が多い軽量級と違い、中量級はアメリカやメキシカンボクサーが豊富で、選手層が厚い。この階級で勝ち続けるのは、本当に難しい。

ビックマッチの前哨戦となる位置付けだったが、世界の壁は非常に厚かった。

敗れた伊藤も、まだまだ戦える実力は持っているとは思うので、この敗戦をバネにして再び浮上して欲しいと思う。

ボクサーは目の前の試合に向けて全力を尽くす。全身全霊を賭けて試合にのぞむので敗戦のショックは大きいだろう。

今は、先のことなど考えられないだろうが、アメリカンドリームを体現した伊藤の復活に期待したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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