異色のポリス(警察官)ボクサー杉田ダイスケ 二刀流のコツは短期集中

写真提供 大部泰

 ボクシング界には個性的で、魅力的な選手がたくさんいる。今回は、異色のポリスボクサー杉田ダイスケ(30)にインタビューした。

警視庁の現役警察官の杉田は、豊富なアマチュアキャリアを得て、2018年4月にプロデビュー。前回の試合で、世界ランカーの阿部麗也に負けるまで無敗だった。

プロ戦績は5戦4勝3KO1敗となる。そんな、警察官とプロボクサーの二刀流の杉田にワタナベジムで話を聞いた。

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警察官になろうとしたきっかけ

ーーー警察官とボクサーの二刀流を選んだきっかけはありますか。

杉田:2007年2月に、警視庁のボクサー警官募集という雑誌の記事を目にしたのがきっかけです。

警察官は、公務員の中で身体的な強さが必要な職種だと思います。

ボクシングで培った強さが、人の役に立つのではないかと思い二刀流を選びました。

ーーーいつ警察官になろうと思ったんですか?

杉田:高校生の時です。冒頭でも話した記事を目にした時から、警察官いいなと思っていて、大学4年間、警視庁を目指して勉強していました。

ーーーボクシングが強豪の東京農業大学出身ですよね。やはり強いところでやりたいと思って入学したんですか?

杉田:そうですね。それはずっと思っていました。私は中学1年生の時からボクシングを始めて、当時は世界チャンピオン目指していました。

私が初めて見たアマチュアボクシングの大会が、NHKで放送された、熱海開催の全日本選手権で、木村悠さんが大学1年生で優勝している姿を観ました。

それで、大学のボクシングがすごいなと思って、ボクシングが日本一の大学に行こうと決めました。

私が、高校3年生の時は、農大がトップだったので農大に入学しました。

ーーー中学生の頃から、大学で一番強いところに入学しようと決めていたんですね。

杉田:ずっと逆算してやっています。今も、10年後のことを考えてやっています。10年、20年後のこと。

ーーーでは、今も夢の過程にいるということですね。練習と仕事の両立はどうですか。

杉田:もちろん、仕事が一番です。練習は、勤務終了後に短時間集中型で行っています。

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練習は短期集中

私の経験上、ボクシングのいい所は、そんなに時間は要らないということです。

野球などに比べたら、だいぶ短くても競技力は上がると思います。12ラウンドだったら1時間もかからないと思います。

ワタナベジムの世界チャンピオンを見ていても、そんな長くやるタイプは少ないと思います。

短期集中型で世界レベルまでいっている人もいます。私も世界ランカーと8ラウンド戦えています。

8ラウンド戦う体力がもつというのは、社会人としては自信になります。

ーーー実際に8ラウンド、がっと集中してやれば8ラウンド掛ける3分で24分、30分ぐらいで終わってもいいわけですね。

杉田:そうです。ウォーミングアップとクールダウンの時間を入れなければそうです。

二刀流のメリット

ーーー二刀流をやっていて、よかったことはありますか?

杉田:そうですね…。私の場合は、プロボクシングを経験させて頂くことで、プロ意識というものを学びました。貴重な経験ができているなと思ってます。

ーーー非常に忙しいと思いますが、タイムマネジメントなど、工夫していることはありますか。

杉田:いろいろ工夫してたどり着いたのが、運動強度と時間を考えて練習する事です。強度を高く短くというのを原則でやっています。

ーーーでは、しっかり今日は何ラウンドやる等、決めているんですか。

杉田:そうです。20年ぐらいずっと練習日記に書いています。

体調や、社会人になってからは睡眠時間と体重もコンディショニングとして管理しています。

あと一番は、モチベーションですね。見失わないように常に軌道修正して、10年後の自分を書いてそれに向かってやっています。

ーーーすごいですね。それは、何かを参考にしたんですか?

杉田:高校生の時の、監督からの教えを参考にしています。まず、なりたい自分を最初に設定して、そこに向かって何をやっていくかという感じです。

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効率的なトレーニングは奥さんのおかげ

ーーーアマチュアとプロで違いはありますか?

杉田:プロは前日計量なので、その後に体を回復できます。その分アマチュアは当日計量なので、アマチュアの方がきつかったですね。

今思えばトーナメントで、よくあんな事を続けてできたなと思いますね。

ーーー筋トレや、ボクシング以外のトレーニングも重視していますか?

杉田:ジムに行けない日もあるので、重視しています。家で自重トレーニングとサーキットをやって、妻にミットを持ってもらいます。

妻とは、大学生の時からの付き合いで、10年ぐらい持ってもらっているので結構上手です。

ーーーミット持ってもらっているんですか!すごいですね。

杉田:とても上手ですよ。スティックミットもやっていますし。ボクシングについて詳しいので。

ーーー奥さんと体格は同じぐらいですか?

杉田:妻の方が身長が10センチぐらい低いです。妻にミットを持ってもらってから、走りに行ったりできるので、効率よくトレーニングできます。

ーーー今の生活ができているのも奥さんの影響が大きいですか?

杉田:はい。妻が減量記録表など作ってくれたり、ずっと応援してくれています。もう結婚して5年ぐらいになりますが、喧嘩は全くしないです。

ポリスボクサーのパイオニアへ

ーーー戦うモチベーションみたいなところはどういう所にあるのですか?

杉田:12歳の時から、強い人に憧れていました。警視庁の、ボクサー警官募集というのをきっかけにして、今の私があるわけですけど、仕事にもやりがいを感じています。

そして、今後は私が、後進のきっかけになれたらと思っています。

プロボクサーは引退が早いので、引退後のセカンドキャリアとして警視庁警察官を目指したり、高校、大学の卒業後に警視庁が職業選択の一つになったらなと考えています。

ボクサーの体力を生かせたら社会貢献にもつながると思います。

あと、私のやっていることが、私個人だけではないからこそ頑張れるというのもあります。

実際、ボクシング経験者が警察官受かりましたとワタナベジムにあいさつに来てくれたり、大学の後輩も受かっています。

現在は、女子選手も警視庁で試合に出ています。

そしてゆくゆくは、指導者になりたいと思っています。

ーーーポリスボクサーのパイオニアですね。

杉田:そうなりたいと思います。

ーーーでは、それを目指す人達のためにも、活躍する姿を見せていくということですね。

杉田:そうです。活躍して、仕事第一にしっかりやって。

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二刀流を目指す選手にメッセージ

ーーー今後二刀流を目指す選手たちに向けるメッセージありますか。

杉田:一番は、無理をしないで自分のペースでやっていくのが大切だと思います。

ボクシングはモチベーションが100から0になるスポーツでしょう。

仕事との両立ができず、現役生活を続けていけなくなる選手を今までたくさん見てきました。だからこそ、生活のバランスが大切です。

生活の中で、どの様に競技能力を上げていくかというのが一番大切なので、基盤をつくらないといけないですね。

ーーーそうですよね。やはり生活の基盤を作ることも大切ですよね。

杉田:経済的な基盤をつくる事と、生活のバランスが大事です。

後編に続く

ポリスボクサー杉田ダイスケ 目標は警察官でチャンピオン