Yahoo!ニュース

井岡一翔が国内復帰!激戦のスーパーフライで日本初の4階級制覇を目指す

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 3階級制覇王者の井岡一翔(30)が27日、都内で会見し、日本国内のプロライセンスを再取得することを発表した。

井岡は海外を拠点に活動していたが、今回国内のジムに所属し、日本ライセンスの再取得を申請中だ。所属ジムはReason大貴で、6月頃の国内復帰を目指す。

日本人として初の4階級制覇に向けて

 井岡の国内復帰が決まったのは嬉しいニュースだ。日本のジムに所属していなかったため、国内での試合ができなかった。そのため、海外を主戦場として戦っていた。日本ライセンスを再取得すれば、国内で日本男子初の4階級制覇を実現する事が可能になる。

また、昨年の年末、井岡に判定勝ちをしたWBO世界スーパーフライ級王者ドニー・ニエテス(フィリピン)が王座を返上。井岡はWBO最新ランキング2位で、同級1位アストン・パリクテ(フィリピン)と王座決定戦のチャンスが巡ってくる可能性が高い。

これまで海外を拠点として、アメリカ、マカオで2試合を戦ったが、依然として知名度の高い井岡の試合を、日本で観たいファンは多い。

復帰戦がいきなり世界タイトルとはチャレンジではあるが、本人が目指している日本史上初の4階級制覇という目標のため、モチベーションは高いだろう。

井岡のボクシングスタイル

 井岡は、出入りを活かした攻撃と防御のバランスの取れたボクサーだ。距離感が抜群のため、余計なパンチをもらわない。ジャブを起点として、相手をコントロールし、自分のペースに引き込んでいく。

1発の派手さは無いが、井岡の計算されたスタイルに、ペースを崩せず苦戦する選手も多い。また、フライ級から階級を上げて、積極的な攻撃スタイルにも磨きがかかっている。

階級を上げたことで、自身の減量が楽になるメリットはある。それに加えて、海外のリングで自分をアピールするために積極的なスタイルにモデルチェンジしてきた。

競合が集まるスーパーフライ級

 スーパーフライ級は、今海外の強豪が集まる注目の階級だ。アメリカで【スーパーフライ】という興行が組まれていて、人気も高い。

現在はWBC王者のタイのシーサケット・ソー・ルンヴィサイを中心に、IBFではフィリピンのジャーウィン・アンカハス、WBAのカリド・ヤファイ等がチャンピオンとして君臨している。

それに加えて、メキシコのファン・フランシスコ・エストラーダ、井岡に勝ったドニー・ニエテス、そして日本でも知名度があるローマン・ゴンザレスとビッグネームが揃う。

また、国内ではアンカハスに挑戦する船井龍一や、元WBA世界フライ級暫定王者の江藤光喜など、国内市場も熱い。

ファン待望の田中恒成との戦い

 ひとつ下の階級のフライ級には、日本ボクシング史上最速で3階級を制覇した、田中恒成もいる。まだ先の話になるが、【田中VS井岡】のファン待望のカードの実現も待ち遠しい。

田中には、前回の防衛戦の前にインタビューした。減量苦から近い将来、4階級目を目指して階級を上げるという話もしていた。そして、国内で最も意識する選手として、井岡の名前を上げて対戦を熱望していた。

両者共に元トップアマで、技術的にも非常にレベルが高い。戦いは好ファイトとなるだろう。井岡が日本で試合ができる環境が整ったことで、お互いに勝ち進めば、十分に実現するカードだ。

先日、井岡は誕生日を迎え30歳となった。これからは、ボクサーとしてのキャリアも集大成になっていくだろう。会見では、「日本のボクシング界に貢献したいという気持ちがある」との声も聞かれた。まだまだ戦いは続くが、国内の中心選手として盛り上げていってほしい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

木村悠の最近の記事