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メイウェザーVS那須川天心 勝敗を決める3つのポイント!

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
那須川天心とメイウェザー(写真:ロイター/アフロ)

 ボクシングの元5階級王者で50戦無敗のフロイド・メイウェザー(41)が、格闘技イベント「Rizin.14」(大晦日 さいたまスーパーアリーナ)に参戦することが都内で行われた会見で発表された。日本で初の試合となるメイウェザーの対戦相手は、デビュー32連勝負け無しのキックボクシング界の“神童”那須川天心(20)だ。メイウェザーの試合が日本で行われるだけでも驚きだが、相手がノリにノっている那須川天心ということでビッグサプライズとなった。メイウェザーはボクシング一家に生まれ、ボクシング史上最も稼いだボクサーと言われている。マニーパッキャオとの世紀の一戦では250億円以上の報酬を得たとも伝えられている。

勝ちに徹したメイウェザーのファイトスタイル

 マネー(お金)の愛称で私生活が派手なメイウェザーだが、ボクシングスタイルは非常に慎重である。

他を圧倒するスピードと鉄壁のディフェンスで、決してパンチを貰わないスタイルで勝ち続けてきた。50勝のうち27のKO勝ちがあるが、キャリア終盤では勝ちに徹して負けないボクシングを貫いてきた。ボクサーとしてのキャリアを2015年に終えたが、昨年9月に総合格闘家のコナー・マクレガーと復帰戦を行い勝利している。パワー、技術、ディフェンス、スタミナと全てにおいてトップクラスのボクサーで総合力が高く穴がない。

今回メイウェザーの相手に抜擢されたのは、キックボクシング界の神童と呼ばれた那須川天心だ。20歳という若さながら32戦の試合をこなし未だ負けなしである。天心とは私が所属していたジムで一緒に練習をしたことがある。知っている選手がボクシング界のレジェンドのメイウェザーと試合をするとあって、発表にかなりの衝撃を受けた。

どんなルールで試合をするかにもよるが、日本格闘技史上、最も注目を集めるビックファイトになるのではないだろうか。ビックファイトにならなければマネー(お金)のニックネームを持つメイウェザーが日本に来ることは無いはずだ。

非常に注目の試合だが、この試合のキーポイントになるのは、どのようなルールで対戦をするかだ。

ボクシングではありえない10キロ以上の体重差

 まず気になった点は二人の体重差だ。天心は前回の堀口恭司戦では58キロ級で試合をしていた。ボクシングでいうとスーパー・フェザー級 / 130ポンド(58.97キログラム)以下に該当する。対するメイウェザーはスーパー・ウェルター級 / 154ポンド(69.85キログラム)以下を主戦場として戦っていた。これだけ見ても体重差がかなりある。階級でいうと3階級以上の開きがある。ボクシングで10キロ重い相手と戦うとなると、どんなに強い選手でも相手にならない。ボクシングは階級が一つ違うだけで大きくファイトスタイルが変わる。それだけに両者の体格差が気になった。

ボクシングルールかキックありか、それとも…

 また、どのようなルールになるかも注目だ。現時点で、正式に発表されていない。

天心はボクシングだけでも相当な実力の持ち主だ。私は現役の時に彼と実践練習のスパーリングを何度か行ったことがある。まだ彼が高校生ぐらいの時だったが、当時日本チャンピオンだった私ともボクシングルールで互角に戦っていた。格闘技センスに非常に恵まれているので何をやらせてもそれなりにできる。しかし、同じ階級のボクサーでならなんとかなるかもしれないが、今回は体重差がありすぎる。しかも相手はパウンドフォーパウンド(全階級No.1)のメイウェザーである。ボクシングルールだけだったら百戦練磨のメイウェザーにおそらく勝ち目は無いだろう。そのため、ボクシングとキックルールの混合の試合にするのがフェアではないだろうか。そうなってくるとキックボクシングの試合経験が無いメイウェザーにつけいる隙はおおいにある。

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「筆者撮影」

ボクサーは短い試合時間には慣れていない

 試合時間についても注目だ。通常ボクシングの世界戦は3分12ラウンドだ。それに対してRizin.での試合は、3分でやったり5分でやったりで、ラウンド数も変則的だ。ボクサーは3分12ラウンドの試合に慣れている。長丁場の中で、ラウンドを組み立てて作戦を立てる。メイウェザーも前半は様子を見るケースが多いため、短い試合時間には慣れていない。そのため試合を短いラウンドにするか、1R5分など変則的な時間にしたり、メイウェザーが慣れていないルールにできると有利に戦える。試合時間が短くなればなるほど、長丁場に慣れたボクサーは戦いにくい。3分3ラウンドと3分12ラウンドでは戦い方は大きく変わってくるのだ。

以上のように通常のボクシングのルールだと勝ち目は薄いが、キックボクシングとの複合だったり試合時間が変則的だと、メイウェザーに勝てる可能性はある。

しかし、勝つことに徹底したこだわりを持つメイウェザーが不利なルールで試合を承諾するとは考えにくいのも事実だ。

どのようなルールでの試合になるのか。今後のルール発表について注目だ。

平成最後の年末を格闘技で盛り上げる

 天心のSNSの投稿を観たが本当に日本の格闘技を変えようと思っている。

ここ最近盛り上がりを見せているが、まだまだメジャースポーツには成り得てない。

テレビ中継も限られた選手のみが出場していて選手層もまだまだ薄い。そのため彼は競技の運命を背負って戦っていて本気で格闘技を盛り上げようとしている。プロ意識も非常に高く勝ち負けを超えた、違う次元のレベルで戦っている。

無謀な試合と言われるかもしれないが、彼なら何かやってくれそうな期待感が高まる。

心から応援したくなる選手なだけに、行けるところまで突っ走ってほしい。

平成最後の年末を異種格闘技戦がおおいに盛り上げるだろう。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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