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メーガン夫人は「とんでもないいじめっ子」なのか英王室が調査開始 夫人は「王室が永続的な嘘つき」と反論

木村正人在英国際ジャーナリスト
ロンドンの通称「バンクシー・トンネル」に登場したメーガン夫人の落書き(筆者撮影)

[ロンドン発]英王位継承順位6位のヘンリー公爵を引き連れて英王室を離脱し「慈善活動は(王族でなくても)誰にでもできる。英王室には永遠に戻らない」と言い放ったメーガン夫人のスタッフに対するいじめ疑惑について、バッキンガム宮殿(英王室)は3日、異例の調査に乗り出した。

メーガン夫人は「とんでもないいじめっ子」という告発を報じた英紙タイムズのスクープを受け、英王室は声明の中でこう述べている。「私たちはヘンリー公爵とメーガン夫人の元スタッフの主張に続く、タイムズ紙の報道について非常に懸念している。私たちの人事チームは報道された内容を調査する」

「英王室を去った人も含め当時の関係者を招き、そこから教訓を学べるかどうかを確認する。王室は何年にもわたって職場で尊厳を守る方針を定めており、職場でのいじめや嫌がらせを容認しない」

これに対して、米CBSの2時間独占インタビュー特番で人気司会者オプラ・ウィンフリーに「今日あなたが真実を話すのを聞いている英王室についてどう思うか」と尋ねられたメーガン夫人がこう答える予告編が数時間後に公開された。メーガン夫人vs英王室のバトルは収拾不能な全面戦争に突入している。

「私たちについての虚偽を永続させるために英王室が果たしている積極的な役割があるのであれば、ずっと私たちが沈黙しているとどうして英王室が期待できるのか私には分からない」「それが何かを失うリスクを伴う場合、すでに失われているものがたくさんある」

「立入禁止の主題はない」とウィンフリーが宣言する番組の中でメーガン夫人は「イギリスの人種問題」体験についても提起しているという。2時間特番は英王室にとって「ホラーショー」になると報じられている。

ヘンリー公爵とメーガン夫人は昨年10月、英夕刊紙イブニング・スタンダードに「構造的な人種差別を終わらせよう」と呼びかけている。

メーガン夫人批判を展開する急先鋒の英大衆紙デーリー・メールによると「サセックス(サセックス公爵の爵位を与えられたヘンリー公爵とメーガン夫人)サバイバー(生き残り)クラブ」と呼ばれるグループがあるそうだ。

2人をもり立てようと懸命に仕えたものの、メーガン夫人によるいじめで心的外傷後ストレスを負ったかもしれないスタッフたちだ。メーガン夫人のもとを去った元スタッフで明らかになっているのは次の2人だ。

英歌手ロビー・ウィリアムズや米歌手マドンナのために働いた経験を持つメーガン夫人の元私設秘書メリッサ・トゥアブティ氏は2018年5月の結婚式準備で重要な役割を果たしたものの、わずか6カ月後に辞任。

エリザベス女王の秘書を務めたサマンサ・コーエン氏もメーガン夫人を助けるため秘書になったものの、19年には辞任している。

バリバリのキャリアウーマンのメーガン夫人はケンジントン宮殿時代、自分のスタッフに午前5時には電子メールやテキストメッセージを送りつけ、指示を連発したことで有名だ。スタッフを支援するようメーガン夫人が促された時、「人々を甘やかすのは私の仕事ではない」と答えたと報じられている。

また、メーガン夫人がサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子から結婚式に贈られ、2018年にフィジーで行われた公式晩餐会で着用したダイヤモンド・イヤリングは50万ポンド(約7470万円)だったことも報じられている。

その3週間前には在トルコ・サウジ総領事館でサウジ記者が殺害されるという衝撃的な事件が起きている。米情報機関は同皇太子が記者殺害に承認を与えたとみている。

当時、メーガン夫人は「イヤリングは宝石商から借りた」と側近には説明していた。またメーガン夫人が国際機関と自分の利害関係からフィジーでの公務を短縮していた疑いも浮上している。

エリザベス女王(94)の夫、フィリップ殿下(99)の容体が悪化しているにもかかわらず、ヘンリー公爵とメーガン夫人が自分たちの都合で宣伝活動を優先させていることに英王室内の反発が強まっていた。ウィンフリーの特番は3月7日に米CBSで、翌8日には英ITV1で放送される。

タイムズ紙が入手した電子メールには次のように書かれていた。「メーガン夫人が過去1年間にケンジントン宮殿から2人の秘書を追い出すためにいじめた恐れがあることを非常に心配している。 X 氏への扱いは全く受け入れられない」

「メーガン夫人は常に誰かを近くに置くことに熱心なように見える。彼女はY氏をいじめ、自信を傷つけようとしている。 Y氏に対する容認できない行動を目撃した人々から次々と報告があった」

側近の1人は「感情的な残虐行為や操作のように感じた。これはいじめに当てはまると思う」と証言している。

別の情報筋はタイムズ紙に「バッキンガム宮殿とクラレンス・ハウス(チャールズ皇太子の公邸)のベテラン・スタッフは、ヘンリー公爵とメーガン夫人のスタッフ、特に若い女性スタッフがいじめられ、涙を流している状況を知っていた」と証言している。

「英王室はメーガン夫人を絶えず保護してきた。彼女が嫌う灰色のスーツを着たすべての男性は、スタッフを守るためには全く何もしなかった。答えるべきことがたくさんある」と付け加えた。

これに対してヘンリー公爵とメーガン夫人の現在の広報担当者は「メーガン夫人は、誤解を招く有害な偽情報に基づく、計算された中傷キャンペーンの犠牲者だ」「自らいじめの標的にされ、痛みやトラウマを経験した人々を支援することに熱心に取り組むメーガン夫人の性格への新たな攻撃に悲しんでいる」と反論している。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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