世界第2の”死の商人”になった中国 軍需企業4社が武器販売高でトップ20入り 年間5兆9000億円

中国の建国70周年を祝う軍事パレード(昨年10月)(写真:ロイター/アフロ)

[ロンドン発]これまで厚い秘密のベールに覆われてきた中国の軍需産業の一端がストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の調査で明らかになりました。中国はロシアを抜いてアメリカに次ぐ世界第2の武器製造大国であることが分かりました。

武器販売高で見た世界トップ20に中国から、財務情報が入手可能な中国航空工業集団(AVIC)、中国兵器工業集団(NORINCO)、中国電子科技集団(CETC)、中国南方工業集団(CSGC)の4社が入りました。

世界の軍需企業トップ20社(2017年の推定武器販売高)

(1)ロッキード・マーティン(アメリカ)439億ドル

(2)ボーイング(アメリカ)269億ドル

(3)ノースロップ・グラマン(アメリカ)224億ドル

(4)レイセオン(アメリカ)220億ドル

(5)BAEシステムズ(イギリス)210億ドル

(6)中国航空工業集団(AVIC、中国)201億ドル

(7)ジェネラル・ダイナミクス(アメリカ)195億ドル

(8)中国兵器工業集団(NORINCO、中国)172億ドル

(9)中国電子科技集団(CETC、中国)122億ドル

(10)エアバス・グループ(欧州)100億ドル

(11)タレス(フランス)90億ドル

(12)レオナルド(イタリア)88億ドル

(13)アルマズ・アンティ(ロシア)86億ドル

(14)ユナイテッド・テクノロジーズ(アメリカ)78億ドル

(15)L3テクノロジーズ(アメリカ)78億ドル

(16)ハンティントン・インガルス・インダストリーズ(アメリカ)65億ドル

(17)統一航空機製造会社(UAC、ロシア)65億ドル

(18)統一造船会社(ロシア)50億ドル

(19)中国南方工業集団(CSGC、中国)46億ドル

(20)ハネウェル・インターナショナル(アメリカ)45億ドル

2015~17年の増減で見た場合、

中国航空工業集団(AVIC)34%

中国兵器工業集団(NORINCO)6.3%

中国電子科技集団(CETC)6.1%

中国南方工業集団(CSGC)-47%

となっています。

これまで中国の軍需企業は透明性を欠いているため、信頼性のある推定をするのが非常に困難でした。このためSIPRIの世界最大の武器製造および軍事サービス企業100社の年間ランキングには中国の軍需企業は含まれていませんでした。

SIPRIは2015~17年にかけ、信頼できる財務情報が入手可能な中国の軍需企業4社について調査。この4社は航空宇宙、電子機器、および地上兵器システムの3つの従来型武器製造部門を担当しています。

2017年の武器販売高トップ20のうち、11社がアメリカ、6社が欧州、3社がロシアです。中国の軍需企業4社の武器販売高は計541億ドル(約5兆9000億円)、このうち3社はトップ10にランク入りしました。

中国の軍需企業4社の合計武器販売高541億ドルはトップ100にランク入りしたロシア企業10社の合計額を164億ドルも上回っています。またトップ100入りしたイギリス企業7社の合計額を184億ドル上回っています。

中国の軍需企業は1つの生産部門に特化

中国最大の軍需企業は中国航空産業公社(AVIC)で2017年の武器販売高は201億ドルで世界6位。約46万人を雇用しています。武器販売高172億ドルで世界8位にランクされる中国兵器工業集団(NORINCO)は実際には世界最大の地上兵器システムの生産者で、従業員は24万人以上。

中国南方工業集団(CSGC)の武器販売高が2015年から17年にかけ47%も減った理由については情報不足のため正確には分からないそうです。

中国の軍需企業は1つの生産部門に特化しているのが特徴です。中国航空産業公社(AVIC)は航空機と航空電子機器を生産しています。それに対して世界の主要軍需企業は航空宇宙から地上兵器システム、艦艇まで幅広い武器を生産しています。

中国の造船会社2社も実際はトップ20入りか

2017年、中国の2つの主要な造船会社、中国船舶重工集団(CSIC)と中国船舶工業集団(CSSC)は駆逐艦やフリゲートなど約13隻の主要な軍艦と原子力潜水艦2隻を含む潜水艦4隻を納入。

一方、アメリカのハンティントン・インガルス・インダストリーズ(世界16位)が納入したのは空母や駆逐艦など軍艦3隻と原子力潜水艦1隻でした。

今回、中国船舶重工集団(CSIC)と中国船舶工業集団(CSSC)の2社はSIPRIの調査対象外でしたが、すでに世界のトップ20入りしている可能性があります。

これでも中国の軍需産業は過小評価されている恐れがあり、情報が正確に開示された場合、もっと規模が大きくなるのは間違いありません。

(おわり)