最新鋭ステルス戦闘機のF35A墜落 実績が証明されるまで調達を急ぎ過ぎるな

ファンボロー国際航空ショーで飛行展示されたF35(右上)とタイフーン(筆者撮影)

[ブリュッセル発]航空自衛隊三沢基地(青森県)の最新鋭ステルス戦闘機F35A(通常離着陸型)が太平洋上で消息を絶った事故は10日、尾翼の一部が回収され、墜落していたことが分かりました。搭乗員はまだ見つかっていません。

F35は米軍が主導する西側の航空戦略の柱で、機体は最高機密。中国やロシアに先に回収されると機密が流出してしまうため米軍も艦艇を派遣して機体の回収に全力を挙げる方針です。

昨年12月、7年前の閣議で了解されたF35A の取得数 42 機から147 機に増やしました。このうち42 機は軽空母化される「いずも」型護衛艦(満載排水量2万6000トン、全長248メートル)から発信できる米海兵隊仕様のF35B(STOVLタイプ=短距離離陸・垂直着陸型)になる予定です。

今年度の概算要求でF35Aは1機当たり152億6000万円。F35は史上最も高価な戦闘機と言われており、同じ値段で147機調達すると単純計算で2兆2400億円を超えます。航空自衛隊には墜落機を含めて13機配備されています。

米国の貿易赤字の解消を最優先課題に掲げるドナルド・トランプ米大統領の圧力に屈して、調達を急ぎ過ぎていないでしょうか。

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高いステルス性能を誇るF35は「空飛ぶ忍者」として敵の情報を収集し、統合ネットワークを通じて後方の味方に情報を送り、敵の戦力に精密な打撃を与えることができます。中国やロシアに対して航空優勢を確保する切り札として防衛省や自衛隊も期待しています。

空軍、海兵隊、海軍の要望に応えた多用途性のF35は構造に無理があり、開発段階からトラブルが相次ぎました。どこに問題があるのかはっきりしない“ブラックボックス”のF35に搭乗させられる自衛隊員の命は152億6000万円という金額より尊いことは言うまでもありません。

F35に詳しい米政策監視プロジェクトのダン・グレイザー氏に質問しました。

――墜落したF35Aは三菱重工業小牧南工場(愛知県)で組み立てられていました。何が問題だったと推測しますか

「私はそれについて何の知識も持っていません」

――今回のF35A墜落と昨年のF35B墜落について比較できますか

「昨年の墜落事故についても調査が終了していません」

――F35の燃料チューブやエンジンに破片が入るのを防ぐ回転翼に何か問題があるのでしょうか

「昨年、F35の燃料チューブが問題になりました。F35プログラムの担当者は問題の詳細を明らかにしていません。部品に問題があったことしか分かっていません。エンジンの回転翼のことはよく分かりません」

――F35の任務が遂行できる状態の達成率について教えてください。ジェームズ・マティス前米国防長官は今年9月までに80%に引き上げることを目標にしていました

「昨年、F35の3つのタイプの平均は26%でした。米海軍の資料では昨年10月の時点でF35Bが16%、艦載型のF35Cでは1%に過ぎませんでした」

――F35Bに続くF35Aの墜落でどんな影響が出るでしょうか

「F35プログラムの担当者は間違いなくF35A墜落事故をモニターし、おそらく調査に参加することになるでしょう。デザインの改良が行われることを期待すべきでしょう。しかしF35の生産には差し当たり大きな影響はないと思います」

――F35を計147機調達する日本政府に何か助言はありますか

「私が日本政府にアドバイスするのは適当ではないでしょう。米政府高官に対して行っている勧告はデザインと試験のプロセスが完了するまでF35の生産を遅らせるというものです」

「F35の戦闘能力や実際に搭乗してみて任務に適しているかどうかを知ったら、まだプロトタイプの実績が証明されていないものを大量に調達するというのは非常にリスキーです」

米ブルームバーグによると、昨年の国防総省評価ではF35の問題点が改めて浮き彫りになっています。

(1)海兵隊仕様のF35Bの運用時間は8000時間であることが期待されていたが、2100時間になる恐れがある

(2)目標とされたいつでも任務が遂行できる状態の達成率の80%は実現されておらず、実際に訓練に使用できる機は限られている

(3)サイバーセキュリティーの脆弱性が依然として改善されていない

(4)空対地攻撃の武器の正確性は許容できるレベルに達していない

F35プログラムの費用は1.5兆ドル(約116兆4500億円)を超えるとみられています。2020年までに1機当たりの価格は8000万ドル(約88億7800万円)まで下がると期待されています。

(おわり)