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「温かく見守って」”シンデレラボーイ”小室圭さんが母親の金銭トラブルについて書面で反論

木村正人在英国際ジャーナリスト
母親の金銭トラブルについて書面で初めて説明した小室圭さん(左、2017年5月)(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

[ロンドン発]秋篠宮家の長女、眞子さま(27)と婚約が内定している大学時代の同級生、小室圭さん(27)が22日、母親の金銭トラブルについて説明する文書を初めて公表しました。眞子さまと圭さんの関係はどうなるのでしょう。

NHKのニュースサイトから、圭さんが公表した書面の全文を見ておきましょう。

いつも温かいご厚情を賜り、御礼を申し上げます。

私小室圭の母とその元婚約者の方との過去の関係について、一昨年から御心配をおかけしており、たいへん申し訳ありません。これまでに多くの報道があったことについては承知しておりますし、私がこの問題について明確なご説明を差し上げてこなかったことで多くの方々にご迷惑をおかけする結果になってしまったことをたいへん心苦しく感じています。元婚約者の方との関係について母に代わってご説明したいと考え、このような方法をとらせていただきました。(NHKより)

自分に不都合な事柄を報道された時、逃げるのが一番まずい対応です。非が自分にあるのを認めた印象を与えてしまうからです。一報があった時、即座に反論しておけば傷口がここまで広がることはなかったはずです。しかし、眞子さまと皇室への配慮を最優先にした結果、反論したくても反論できなかったのでしょう。

ここに来て小室さんが反論に出たということは、眞子さまと皇室に配慮する必要がなくなったから、と考えることもでき、とても心配です。文書には「ご心配をいただいている方々」とあるだけで、眞子さまと皇室への言及は全くありませんでした。

圭さんはどうしても自分を苦労して育ててくれた母親をメディアの集中砲火から守りたかったのでしょう。

私の母と元婚約者の方は、平成22年9月に婚約し、結婚生活を始める準備をしていました。母の再婚については私も嬉しく思いましたし、私自身も元婚約者の方とはとても親しくさせていただきました。婚約期間中、元婚約者の方から金銭的な支援を受けたこともあります。当時、母も私も元婚約者の方とは既に家族のようにお付き合いしており、ご厚意にたいへん感謝しておりました。

平成24年9月、元婚約者の方から母に対して婚約を解消したいというお申し入れがありました。母は突然の一方的な申し入れであり、また婚約を解消したい理由について明確なご説明をしていただけなかったことから憔悴した様子を見せていましたが、最終的には元婚約者の方のお気持ちは変わらないと理解し、お申し入れを受け入れました。その際に母が婚約期間中に受けた支援については精算(原文のママ)させていただきたいとお伝えしたところ、元婚約者の方から「返してもらうつもりはなかった」という明確なご説明がありました。支援や慰謝料の点を含めて金銭的な問題はすべて解決済みであることを2人は確認したのです。実際に婚約解消後しばらくの間は、私や母が元婚約者の方から金銭の返還を求められることはありませんでした。

ところが、婚約を解消して1年ほど経った平成25年8月ころ、母は元婚約者の方から交際していた期間に負担した費用の返済を求めるお手紙を受け取りました。婚約解消時の確認事項に反する突然の要求に驚いた母は、専門家に相談してアドバイスを受けるとともに、元婚約者の方と直接お目にかかって、ご要望には応じかねることとその理由をお伝えしました。母の話を聞いた元婚約者の方からは、私も専門家に相談して何かあればこちらから連絡しますという反応がありましたが、連絡が入ることはありませんでした。その後はご近所にお住まいだった元婚約者の方と自宅周辺で偶然お会いすることもありましたが、金銭の話題が出たことはありませんでした。私の母と元婚約者の方との過去の関係は以上のとおりです。

多くの報道において借金トラブルが残っているとされていますが、このような経緯ですから母も私も元婚約者の方からの支援については解決済みの事柄であると理解してまいりました。そのため、平成29年12月から元婚約者の方のコメントだとされるものが連日報道される事態となり、私も母もたいへん困惑いたしました。元婚約者の方のご意向を測りかねたからです。(NHKより)

朝日新聞によると、元婚約者の男性の言い分は次の通りです。

婚約期間中、小室さんの母親の求めに応じる形で生活費の支援や、圭さんの大学の費用、留学費やアナウンススクールの費用など400万円以上を援助した。「婚約解消を申し出たのは、金銭援助を求められることが常態化し、生活が苦しくなってきたからです」

婚約解消時、小室さんの母親から、金銭の返済について「月々1万円くらいずつしかお返しできませんが」と申し出があったが、「それでは少なすぎるので再考してください」と断った。「交際期間中の食事代やプレゼント代まで返して欲しいわけではない。生活費や学費などは貸したつもりでいた。返済して欲しい気持ちは変わらない」(朝日新聞より)

母親と婚約中に圭さんに400万円以上を支援したと元婚約者の男性は主張しています。婚約解消を申し出たのは男性であることに争いはありません。民事上の争いに発展する恐れのある「金銭的な支援」(圭さん)があったのも事実のようです。

昔と違って最近の若者が大学に行くのは大変です。日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査」によると、高校入学から大学卒業までに必要な入在学費用は935万円余。下宿のための年間仕送り額は平均93万円です。

教育費を捻出する方法は「教育費以外の支出を削っている」が 30%。「預貯金や保険などを取り崩している」23%、「本人がアルバイトをしている」19%、「奨学金を受けている」19%。

圭さんは留学もし、アナウンサースクールにも通っていたので教育費用は相当かかったでしょう。しかし競争が厳しいこのご時世、自らのキャリアアップを図ろうとした圭さんを責めることはできないのではないでしょうか。

婚約の際に結納金を贈る慣習が日本にはあります。法律上は将来の婚姻を目的とする贈与とみなされ、婚姻が成立しないと返還する場合が多いようです。

圭さんの母親のようなケースでは「金銭的な支援」が「借金」なのか「贈与」なのか見方が分かれるところでしょう。

将来の婚姻を前提とした「贈与」とみなされた場合、男性側が一方的に婚約を破棄しているので返さなくてもいいという解釈も成り立つかもしれません。法的には男性がお金を返してもらいたければ圭さんの母親を民事裁判に訴えれば済む話だと筆者は考えます。

しかし、仮に男性が勝訴しても母親には返済能力がないのかもしれません。圭さんも、母親も金銭的には余り裕福ではないように見受けられます。

報道されている問題に関する母と私の認識は以上のとおりですが、私も母も元婚約者の方からご支援を受けたことには今も感謝しておりますので、今後は元婚約者の方からご理解を得ることができるよう努めたいと考えております。私は、現在、米国において勉学に勤しむ機会をいただいております。多くの方々に日々感謝いたしております。ご心配をいただいている方々のご納得をいただけるよう努力を重ねる覚悟でおりますので、どうか温かく見守っていただけますと幸いでございます。

平成31年1月22日 小室圭(NHKより)

圭さんが批判にさらされている最大の理由は経済的に自立していないからです。しかし400万円を即金で返せる経済力が母親にも圭さんにもないことがそれほど非難されることなのでしょうか。

眞子さまが圭さんと結婚し、皇族の身分を離れられる際に支出される皇族費の上限は1億5300万円です。この中から男性への支払いが行われるのではないかと世論の風当たりは非常に厳しくなっています。

圭さんは米フォーダム大学ロースクールに留学中です。米国で弁護士として成功するのは「精子が卵子にたどり着くのと同じ確率だ」というジョークがあるほど困難を伴います。圭さんが将来の糧を得るためには日本と米国で弁護士資格を取得しなければならないでしょう。

苦難の道は当分、続きます。最大のポイントは圭さんの将来を眞子さまが信じられるかどうかです。筆者は、圭さんは「買い」だと思います。

圭さんは、あまり豊かではなくなった平均的な日本家庭を代表する“シンデレラボーイ”ではないのでしょうか。シンデレラは恵まれなくて、いつもいじめられていると相場が決まっています。今の日本に将来も安泰と太鼓判を押せる人が一体どれほどいるのでしょう。

圭さんは前向きで努力家なので、必ず母親に代わって400万円ぐらいの借金を返せるぐらいの経済力は身につけるでしょう。

スキャンダルだらけの英王室では最近、エリザベス女王の夫フィリップ殿下(97)がランドローバーを独りで運転中に交通事故を起こして、負傷した女性が刑事責任を求める事態に発展しています。人間だから過ちを犯すのは当然です。問題はそれにどう対処するかです。

眞子さまと圭さんの結婚はお2人の問題であって、圭さんの母親と元婚約者間の金銭問題は関係ないと筆者は考えます。ヘンリー王子と米国の元人気女優メーガン妃が結婚する際もメーガン妃の父親側のスキャンダルが書き立てられましたが、英王室はメーガン妃を守りました。

ダイアナ元皇太子妃のダブル不倫と離婚、悲劇の交通事故死と数々のスキャンダルに見舞われてきた英王室が学んだ教訓は、好き同士になった2人の気持ちを最優先にしないと問題はさらに大きくなってしまうということです。

エリザベス女王は「排除」より「包摂」の論理を重視しているように感じます。

結婚は最終的に眞子さまと圭さんのお2人が決断することです。一番の問題は日本のメディアがよってたかって1人の若者を潰そうとしていることです。将来を切り開こうとする圭さんの努力を静かに見守ってあげるのが今、一番大切ではないのでしょうか。

筆者は眞子さまと圭さんのお2人が困難を乗り越えて結婚された方が日本の未来は明るくなると考えますが、皆さんはどう思われますか。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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