2025年大阪万博で「商都」復活を 5000億円の経済効果 決め手は「持続可能な開発」

総会に向かう松井知事と吉村市長(筆者撮影)

55年ぶりの大阪万博

[パリ発]2025年の国際博覧会(万博)の開催地は大阪(日本)、エカテリンブルク(ロシア)、バクー(アゼルバイジャン)の3カ国の中から大阪が選ばれました。

23日、パリで博覧会国際事務局(BIE)総会が開かれました。第1回投票ではどの都市も投票総数の3分の2に届かず、最下位だったアゼルバイジャンがまず脱落。

日本85票

ロシア48票

アゼルバイジャン23票

決選投票の結果、日本92票、ロシア61票で大阪万博の開催が決まりました。

大阪での開催は1970年以来で55年ぶり2回目。日本国内では2005年の愛知万博以来20年ぶりです。

ニッセイ基礎研究所の試算によると、大阪万博が実現した場合、25年度の大阪府の実質成長率は22~24年度の平均値に比べ1.5ポイント以上も上昇。施設の建設費や消費の拡大で5000億円以上の経済効果が見込めるそうです。

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)実施法が成立したことを受け、関西財界は24年までに大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)でIRを開業することを目指しています。

同じ夢洲で大阪万博を実現できると大阪が世界に打って出る大きなチャンスになります。

ロシアとアゼルバイジャンが手を組むとのうわさ

開催地はBIE加盟国(170カ国)の投票で決まります。誘致関係者によると、日本の支持を公表しているのは英国、アルゼンチンなど17カ国で、内々に支持を伝えてきた国を含めると70カ国近くになると票読みをしていました。

投票権を有するのはBIEの分担金を支払っている国だけですが、総会直前になって駆け込みで投票権を回復する加盟国が相次ぎました。

「票集めのため分担金を肩代わりしている」「決選投票になるとロシアとアゼルバイジャンが手を組む」とのうわさが広がり、誘致関係者も最後の最後まで疑念を払拭できませんでした。

この日の最終プレゼンでは安倍晋三首相が動画で「私たちには万博のホスト国になる準備は整っている。興奮を抑えきれない。みんなで世界を素晴らしい場所にしましょう」と訴えました。

「大阪万博を実験室に」

大阪万博のキーワードは「持続可能な開発目標(SDGs)」です。

世耕弘成経済産業相は「関西、大阪は2025年にSDGsを達成する解決策を見つける最善の実験室になるでしょう」と述べました。SDGsの達成年は2030年です。

プレゼンはアゼルバイジャンが一番スマートだと感じました。しかしロシアもアゼルバイジャンも石油・天然ガス頼みの国です。日本は成熟国家として差別化を図るのに成功しました。

6月のBIE総会で、ノーベル医学生理学賞受賞者の山中伸弥京大教授が万博を「偉大な実験室」と位置づけ、再生医療の取り組みを促進すると強調したのも大きかったと思います。

大阪府の松井一郎知事や大阪市の吉村洋文市長は23日、宿泊先のホテルで「今日の意気込みは」と報道陣に問われ、松井知事は「ありがとう」、吉村市長も「もう最後の最後なんで頑張ります」と応じました。

「手応えはある」と語っていた世耕経産相(筆者撮影)
「手応えはある」と語っていた世耕経産相(筆者撮影)

世耕経産相も「手応えはありますが、最後の一瞬までやれることはやり切ります。投票権を持っている方々に会場内で最後まで訴えかけたいと思います」と話しました。

子供たちに夢と希望を

6421万人が入場した1970年の大阪万博で芸術家、岡本太郎の「太陽の塔」やアメリカ館の「月の石」、ソ連館、電気自動車、動く歩道に感動した筆者は25年大阪万博開催が「商都」復活の起爆剤になることを願っています。

5000億円以上の経済効果も大切ですが、半世紀前の宇宙開発や電気自動車と同じぐらいのインパクトを持った「夢」と「希望」を子供たちに伝えてほしいと思います。

五輪も万博も開催すること自体よりも、どのように開催するか、何を達成目標に置くかが重要です。下手をすると日本も、アテネ五輪で莫大な債務を負ったギリシャの二の舞になる危険性は十分にあります。

今年3月NHKが実施した意識調査では、大阪万博誘致に賛成が45.7%、反対が10.6%。

賛成の理由は「地域経済の活性化につながるから」49.5%、「会場に予定している大阪湾沿岸の夢洲が有効に活用されるから」16.6%、「万博で地域が盛り上がるから」32.5%でした。

ビザ緩和とともに、関西国際空港に格安航空会社(LCC)専用ターミナルが整備されたことで大阪のインバウンドは急増。関空のセールスポイントは「LCC就航都市数日本一」です。

大阪府の観光統計調査によると、来阪外客数が訪日外客数全体に占める割合は25%から40%近くに拡大。客室稼働率でも大阪府は東京都を抑えて3年連続日本一。

東京五輪・パラリンピックが行われる20年には来阪外客数は1300万人に達すると大阪市は見込み、ホテルの新規建設やエアビーアンドビーなど民泊の推進を促しています。

大阪は住みやすい都市ランキング世界3位

英誌エコノミストの調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」が発表した「世界で最も住みやすい都市ランキング2018」で大阪が堂々の3位に入りました。

1997年(平成9年)には天才漫才師の横山やすしさん(故人)が「どないなってんねん大阪!」と、どやしつけるマナー広告が大きな話題を呼びました。

当時、大阪の全国ワースト1はひったくりだけでなく、自動車盗、ひき逃げ、刑法犯少年の検挙・補導数、暴走族の団体数などなど。青信号になる前に発進する「フライング発車」はなんと世界ワースト1でした。

しかし今では犯罪も激減しました。

大阪の魅力は道頓堀のマスコットキャラクター、くいだおれ人形やカニ、フグといった巨大ディスプレイ、そして街そのものがテーマパークとも言える独特の雰囲気です。

お好み焼き、たこ焼きといったストリートフードとごちゃごちゃした割安感がアジアからの観光客に親近感を持たせています。

大阪万博を起爆剤に「テーマパーク化」した大阪の魅力をアピールできれば、地盤沈下が指摘されてきた大阪経済を活性化できるでしょう。

(おわり)