【トランプのアメリカ】暴言大魔王のツイッター継続宣言 国防・安保でトランプは何をつぶやいたか
米大統領選で勝利した共和党候補ドナルド・トランプ(70)は米CBSの看板ニュース番組「60ミニッツ」で女性ジャーナリスト、レスレイ・スタルのインタビューに、「ソーシャルメディアのパワーが勝利のかぎとなった。大統領になってからも(マスメディアへの対抗手段として)使い続ける」と語ったそうです。数億ドルを使った民主党の選挙運動よりも非常に大きな影響力があったと振り返りました。
スタル「ツイートし続けますか? 大統領になってからも気に障ったことがあったら何でもかんでもツイートしますか?」
トランプ「そうだね。これは現代のコミュニケーションの形式だ。フェイスブックやツイッター、そしてインスタグラムもね。私には(全部で)2800万人ものフォロワーがついていた。2800万人ものね」
スタル「ソーシャルメディアを続けるつもりですか?」
トランプ「これは偉大なコミュニケーションの形式だ。完全にソーシャルメディアを諦めて、やめるつもりだと、今、私が宣言する? 昨日だけで新たに10万人ものフォロワーができたのに。私はソーシャルメディアが好きだとは言っていないが、ソーシャルメディアは言葉を吐き出すものだ。もし私について悪い話や正しくない話を、あなた、もしくはあなた以外の誰か、別のネットワークであれ、何であれ報じたら、なぜならCBSはそれほど正確には決して報じないだろう? 私は反論する方法を持っている。それはとても強力だ」
スタル「しかし、あなたは大統領としてそれをするつもりですか?」
トランプ「私は非常に抑制されるでしょう。私が( 大統領として)ソーシャルメディアを使うことになったら、とても抑制的になる。私はソーシャルメディアがすごいことに気づいた。これはコミュニケーションの新しい形だ。私たちは恥じることは何一つない。私はソーシャルメディアを信じている。フェイスブック、ツイッター、インスタグラムなどのフォロワーの数というパワーを持っているという事実を心から信じている。大統領選ではヒラリー陣営は私たち以上のお金を使ったのに、ソーシャルメディアはそれ以上の力を持っていた。私はある程度、それを証明したかもしれない」
政策の是非、発言の善悪は全く別にして、トランプの政治手法はツイッターを多用してマスメディアを敵に回し大向こうを唸らせた橋下徹前大阪市長とそっくりです。しかし大阪市長と米大統領とでは影響力が違い過ぎます。
トランプ大統領はどれだけツイートを抑制できるのでしょうか。大統領報道官のチェックは働くと思うのですが、選挙期間中の暴言大魔王ぶりを振り返ると眩暈を覚えます。世界最強の権力者が2800万人のフォロワーを背景にソーシャルメディアを使って情報発信することに恐怖すら覚えるのは筆者だけでしょうか。これは、まさに言葉の核兵器です。
国際軍事情報会社IHSジェーンズによると、トランプは2015年6月に米大統領選の共和党候補指名争いへの出馬を表明してから国防と安全保障に関して7千回ツイートしたそうです。IHSジェーンズのRyan Ginbey研究マネージャーが国防と安全保障に関するトランプのツィートを分析したのが下のグラフです。
Ginbey研究マネージャーの分析によると、トランプは過激派組織「イスラム国(IS)」とテロについて多くツイートしていますが、トランプはテロにおけるイスラム教の役割を強調する一方で、決まって米政府の政策を批判しています。イランに関するツイートも多く、オバマ大統領によるイランとの核合意を厳しく批判しています。
ロシアと中国に関するツイートも多く、中国は基本的に経済関連ですが、中国の対応はオバマ政権に対して無礼であることをほのめかしています。ロシアに関しても、トランプは、米政府の弱さを強調し、ロシアのプーチン大統領と対峙できるタフネゴシエーターとして自分を位置付けています。
ウクライナ、韓国、アフガニスタンについての言及は少なく、日本は全く俎上にのっていません。これに対し、北大西洋条約機構(NATO)に関しては9回のツィートがありましたが、「米国にとっては役に立たなくなった高い(不公平な)」機関と批判されています。
ポーランドやバルト三国など旧共産圏諸国はプーチンの影に怯え、背筋の凍る思いをしていることでしょう。
(おわり)