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【緊急】北朝鮮がウラン濃縮能力を倍増 年3.2個のウラン型核兵器の製造可能に 衛星写真で判明

木村正人在英国際ジャーナリスト

国際軍事情報会社IHSジェーンは11日、衛星写真の分析から北朝鮮が寧辺(ニョンビョン)に2つ目のウラン濃縮施設を完成させ、稼働させている可能性が強いと指摘した。

IHSジェーン提供(C)IHS Global Limited
IHSジェーン提供(C)IHS Global Limited

衛星写真で屋根や周辺の雪の解け方を詳細に調べた結果、2つ目のウラン濃縮施設(写真では上側のHall Two)は1つ目(下側のHall One)と隣接しており、今年1月に稼働に向けた試験を開始したとみられる。翌2月初めには稼働を始めた可能性がある。

これで稼働している遠心分離器は1つ目のウラン濃縮施設と合わせて4千基となっており、濃縮レベルが90%の高濃縮ウラン(HEU)を年に最大80キログラム製造できるという。

国際原子力機関(IAEA) の指標によれば、少なくとも年間3.2 個の核兵器を製造できる量に相当する。

北朝鮮は当初、ウラン型ではなくプルトニウム型の核開発を推進。韓国の金泰栄(キム・テヨン)合同参謀本部議長(当時)はこれまでに核弾頭 6~7 個の製造が可能なプルトニウム40キログラムを保有しているとの見解を示している。

また、2010年に寧辺を訪れた米スタンフォード大学のジークフリート・ヘッカー氏は、北朝鮮は核爆弾 4~8 個分に相当するプルトニウム 24~42キログラムを備蓄していると分析。「北朝鮮が寧辺の原子炉を再稼働させた場合、年間にプルトニウムを約6キログラムを製造できる」との見方を示した。プルトニウム6キログラムは核爆弾1個分の原料に相当する。

米シンクタンクの科学国際安全保障研究所(ISIS)は今年4月に北朝鮮が寧辺の実験用原子炉を再稼働させた可能性があると明らかにしており、北朝鮮がプルトニウム型とともにウラン型の核開発も急ピッチで加速させている実態が浮き彫りになってきた。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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