「オトコ」が「オンナ」に勝てない時代 国際女性デー
8日は国際女性デーだった。
米女優キャメロン・ディアスさんら女性セレブがソーシャルメディアのプロフィール写真を女性の形をした白い影に変える「ウィアー・ノット・ゼア・イエット」というキャンペーンを展開している。
まだ、男女が平等な世界は実現していないという意味だそうだ。
キャメロンさんはソーシャルメディアで「職場や家庭、診療所、学校で不平等は存在しています。しかし、こうした問題はそれに相応しい注目を集めていません。(略)あなたもソーシャルメディアのプロフィール写真を変えてみませんか」と呼びかけている。
ユーチューブにもキャンペーン動画が投稿された。
では、日本の男女平等度はどうか。世界経済フォーラム(WEF、本部・ジュネーブ)が世界142カ国の男女平等度を指数化した「ザ・グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書2014」は次の通りだ。
(1)健康医療の機会 37位(2006年は1位)
(2)教育機会 93位(同60位)
(3)政治参加 129位(同83位)
(4)経済的平等 102位(同83位)
(5)総合 104位(同80位)
驚くべきことに日本の男女平等度は改善されるどころか後退している。
日本では「男性は仕事、女性は家庭と育児」という役割分担論がいまだに幅を利かしている。しかし、世界的には女性の方が男性より学習到達度が高いというデータが明らかになってきている。
1843年の創刊以来、初の女性編集長ザニー・ミントン・ベドーズさんが就任した英誌エコノミスト最新号は「ジェンダー、教育と仕事 弱い性」という記事を掲載した。
経済協力開発機構(OECD)や世界銀行のデータをもとに教育では男女格差は解消され、女性優位が顕著になっていると指摘。将来、窮地に追いやられるのは女性ではなく、男性の単純労働者だと予測している。
OECDの報告書「教育における男女格差の背景」によると、PISA(学習到達度調査)で15歳児は男子の方が女子より得点が全般的に低い。2012年調査では読解力、数学、科学のいずれも習熟度レベルに達しない生徒の比率は男子が14%、女子が9%だった。
棒グラフは習熟度レベルに到達していない女子の割合、◇は男子の割合を示している。男子の割合が多いのが一目瞭然である。宿題に費やす週当たりの時間は女子は5時間半で男子は4時間半。男子は女子よりビデオゲームに費やす時間が多いのが原因だ。
女性優位の傾向は高等教育でも鮮明になってきている。
世界銀行の「高等教育における女性の比率」をグラフ化してみた。ノルウェーを筆頭に米国や英国など欧米諸国では高等教育を受ける女性は男性より多くなっている。
韓国(75%)は日本(90%)を下回っているものの、中国は113%と女性の割合が多くなっている。
女性の高学歴が進んでいるのに女性の収入が男性の4分の3にとどまっている理由について、エコノミスト誌は「女性が教育や一般教養、社会事業を選択するためだ。こうした職種は男性が選ぶエンジニアリング、コンピューター科学などに比べ給与が低いからだ」と指摘している。
女性は高給よりも違う価値を仕事に見出しているという。一方、インドと英国の間ではこんな騒ぎが起きている。
2012年にインドで起きたレイプ事件を取り上げた英BBC放送のドキュメンタリー番組「インドの娘」に対し、インド政府は番組がインターネットを通じて拡散するのを防ごうと躍起になっている。
レイプ事件で死刑判決を受けた被告の証言は衝撃的だった。
「レイプは男より女の方に大きな責任がある。まともな若い女は夜遅く出歩いたりしない」
封建的な空気が残る日本にとっても他人事ではない。こうした意見は女性がレイプ被害にあったとき日本で堂々と展開される議論と極めて似通っているからだ。
(おわり)