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10年後の中国は消費大国 日本の3倍に 2024年には世界最大の経済大国

木村正人在英国際ジャーナリスト

国際コンサルタント会社IHSは7日、中国の消費は今後10年で4倍近い10兆5100億ドルに達し、2024年には名目国内総生産(GDP)で米国を追い抜いて世界最大の経済大国になるという予測を発表した。

「次の10年、中国経済は輸出主導型から消費型に切り替わり、アジア太平洋に成長をもたらすだろう」とIHSのRajiv Biswasアジア首席エコノミストは語る。

中国の消費は年実質7.7%のペースで伸び続け、世界経済の成長エンジンとなる。24年の名目GDPで中国は28兆2500億ドル、米国は27兆3100億ドルとなって、中国は約2世紀ぶりに世界最大の経済大国の座を取り戻すという。

中国の世界経済に占める割合はGDPで13年の約12%から25年には20%に拡大するという。中国と米国の名目GDPを比較したグラフは下の通りだ。

IHS提供
IHS提供

2010年 米国14兆9600億ドル 中国5兆9300億ドル

2015年 米国18兆2400億ドル 中国11兆1200億ドル

2020年 米国23兆1000億ドル 中国19兆2400億ドル

2025年 米国28兆5700億ドル 中国30兆7000億ドル

2030年 米国35兆1000億ドル 中国44兆2300億ドル

13年に中国の消費は3兆4500億ドルだったが、23年に10兆5100億ドルとなり、日本の3兆7000ドルの約3倍。インドの消費は10年後には日本と肩を並べているという。

世界の消費市場の変化は下のグラフの通りだ。

同

米国 2013年11兆4800億ドル 2023年17兆6100億ドル

中国 2013年3兆4500億ドル 2023年10兆5100億ドル

日本 2013年3兆ドル 2023年3兆7200億ドル

インド 2013年1兆1100億ドル 2023年4兆2600億ドル

少子高齢化が進む日本は他の国と比べて消費が伸び悩んでいる。

中国のアジアへの旅行客は過去3年で急増。13年には26%増えて1290億ドルに達した。一番の恩恵に預かっているのはタイで13年には68.8%増の470万人の中国人が観光に訪れた。

Biswas氏は「中国の消費が今後10年で7兆ドルも増えることで、中国への輸出にドライブがかかり、アジア太平洋の成長を押し上げる。東南アジア諸国連合(ASEAN)が最大の恩恵を受ける」と分析する。

ASEAN諸国はすでに過去10年で年20%ずつ中国への輸出が増えている。

1820年には中国のGDPは世界の30%以上を占めたという研究もある。19世紀の産業革命、帝国主義時代に侵略された歴史を持つ中国はこの35年間の市場改革で奇跡的な高度成長を遂げた。

英誌エコノミストが先月、中国と米国の成長、インフレ、為替レートを予測した結果、中国は21年には米国を追い抜いて世界最大の経済大国になると予測している。

国際通貨基金(IMF)の予測に基づく計算では、中国は購買力平価換算で19年まで米国を追い抜かないと予測されていた。

しかし、今年5月、世界銀行が公表した11年時点の購買力平価換算のGDPを基にした推計で14年中にも米国を抜く見通しが報じられていた。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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