日本の大学 アジアで首位固め 大学世界ランキング

東京大学がアジア首位

「TIMES HIGHER EDUCATION(THE、タイムズ・ハイヤー・エデュケーション) 世界大学ランキング2013-14」が2日夜(ロンドン時間)発表された。

タイムズ・ハイヤー・エデュケーション世界大学ランキング
タイムズ・ハイヤー・エデュケーション世界大学ランキング

さて、気になる日本の大学のランキングはー。

日本トップ10位

今年度/昨年度/大学

23位 /27位 /東京大学

52位 /54位 /京都大学

125位/128位/東京工業大学

144位/147位/大阪大学

150位/137位/東北大学

201-225位/ 201-225位/名古屋大学

201-225位/ 251-275位/ 首都大学東京

276-300位/ 276-300位/ 東京医科歯科大学

301-350位/ 301-350位/ 北海道大学

301-350位/ 301-350位/ 九州大学

301-350位/ 301-350位/ 筑波大学

教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大学総長)の大学改革提言を受け、安倍晋三首相は今後10年間で世界の大学ランキング100位以内に10大学以上をランクインさせるとの目標を掲げている。

東京大学は順位を4つ上げ、アジア首位の座を守ったものの、競争力を増す米英の大学との開きは大きく、100位以内に入ったのは昨年度ランキングと同じ東京大学と京都大学の2大学だけだった。

フィル・ベイティーTHEランキング編集者はしかし、「衰退という予測と国際化の遅れという懸念の中、日本はアジア首位という地位を固めている。東京大学はアジア最高位を維持した。トップ200位に入った5校のうち4校が昨年より順位を上げている。日本の大学を世界に通用するよう変えていこうと政府が意欲的に取り組んでいることの表れだ」と前向きに評価した。

安倍首相の政策を批判する向きは多いものの、民主党政権と異なり、責任を持って方向を示す政治のリーダーシップが明確なため、政官の一体感が欧州にも伝わってくる。

アジアのライバルの動向

では、アジアのライバルはどうだろう。トップ200位に入った大学数を見てみよう。

国/大学数/昨年度との差

日本/5/0

韓国/4/0

香港/3/-1

中国/2/0

台湾/1/0

http://www.timeshighereducation.co.uk/world-university-rankings/

日本を含めたアジアの大学ランキングはー。

THE世界大学ランキング2013-14

今年度/昨年度/大学名/国

23位/27位/東京大学/日本

26位/29位/シンガポール国立大学/シンガポール

43位/35位/香港大学/香港

44位/59位/ソウル大学/韓国

45位/46位/北京大学/中国

50位/52位/清華大学/中国

52位/54位/京都大学/日本

56位/68位/韓国科学技術院/韓国

57位/65位/香港科技大学/香港

60位/50位/浦項工科大学校/韓国

76位/86位/南洋理工大学/シンガポール

109位/124位/香港中文大学/香港

125位/128位/東京工業大学/日本

142位/134位/国立台湾大学/台湾

144位/147位/大阪大学/日本

150位/137位/東北大学/日本

190位/183位/延世大学校/韓国

日本はアジア首位の座を固めつつあるものの、中国や韓国に追い上げられている。安倍首相が進めようとしている大学改革が停滞すれば、いつの日か中国や韓国に抜かれてもおかしくない状況だ。

英国 大学教育の強さの秘密

さて、筆者が暮らす英国はトップ200位の中に米国の77大学に次ぐ31大学が入った。ドイツやフランス、スイス、オランダ、ベルギー、アイルランド、オーストリアなど欧州勢はランキングを下げている。

ケンブリッジ大学で博士号を取得中の岡本尚也さん(右端、岡本さん提供)
ケンブリッジ大学で博士号を取得中の岡本尚也さん(右端、岡本さん提供)

THEのランキングはどうしても、 大学内での英語の使用頻度が加味され、米英の大学の評価が高くなるという批判もされるが、ケンブリッジ大学物理学部キャヴェンディッシュ研究所で博士号を取得中の岡本尚也さん(28)はこう語る。

「僕の分野では研究レベルは日本の方が進んでいます。しかし、日本の大学と英国の名門オックスフォード、ケンブリッジ大学で差がつく理由はネットワーキング力だと思います。もちろん、そのベースには英語が共通言語という大きなメリットがあります」

岡本さんが学ぶケンブリッジ大学では分野ごとの垣根が非常に低く、多分野の交流が盛んだ。物理学者と生物学者がパブで飲んでいる時にDNAの螺旋構造を思いついたというエピソードは有名だ。

「ケンブリッジ大学は多分野交流を重視しています。日本と違って、さまざまな才能が同時に共存できる環境があります。関連している研究機関を1カ所に集めています。さらに他の大学、企業とのコラボレーションが盛んです。研究所の隣に外国企業が事務所を構えています」

ケンブリッジ大学では携帯電話向けのソフトを開発したり、ベンチャー企業を立ち上げたり、学生の起業が活発に行われている。

「象牙の塔にこもっていては大学で得た知を社会に還元できません。英国では博士号は社会に還元していくためのパスポートという文化が根付いています」と岡本さんは語る。

岡本さんはケンブリッジ大学での研究の傍ら、次世代を担う高校生が世界に飛び出すきっかけになればと講演活動を行っている。将来は教育に携わる夢を持っている。

日本ではまだ、大学と言えば「象牙の塔」という印象が強い。移民など多文化に対する拒絶反応も相当なものだ。資金を投入するだけでなく、大学を取り巻く文化を変えていかなければ、安倍首相が掲げるトップ100位に10大学以上という目標を達成するのは難しいだろう。

そのためには安倍首相は岡本さんのような若者の感性に耳を傾ける必要がある。

日本と英米の大学格差について、前出のベイティー編集者に質問してみた。

ベイティー編集者いわく、「大学への投資が最高の教授陣、最高の設備を実現し、世界から最高の学生を集めてくる。緊縮財政を強いられた欧州で大学の国際競争力が低下したのに対して、東アジアでは大学への投資が強化され、国際競争力を増している」

日本の課題については「日本の大学は、研究の国際協力、ネットワーク、世界から教授や学生を集めてくる国際化という点ではそれほど強くない。英語が広く使われている香港やシンガポールは国際化という点で評価が高く、日本を含め他の東アジアの大学は遅れをとっている」と指摘した。

ちなみに今年度のトップ10は次の通りだった。

'''THE世界大学ランキングのトップ10'''

今年度/昨年度/大学/国

1位/1位/カリフォルニア工科大学/米国

2位/4位/ハーバード大学/米国

2位/2位/オックスフォード大学/英国

4位/2位/スタンフォード大学/米国

5位/5位/マサチューセッツ工科大学/米国

6位/6位/プリンストン大学/米国

7位/7位/ケンブリッジ大学/英国

8位/9位/カリフォルニア大学バークレー校/米国

9位/10位/シカゴ大学/米国

10位/ 8位/ロンドン大学インペリアルカレッジ/英国

(おわり)

※新潮社の国際情報誌フォーサイト(電子版)にドイツの自動車工場として躍進するスロバキアについて書いています。お時間が許せばご一読下さい。