産後のママにプレッシャーをかけないで ロイヤルベビー誕生(8)
ウィリアム王子とキャサリン妃の第1子は3800グラムの男の子。過去100年さかのぼっても最も大きなロイヤルベビーでした。
ウィリアム王子が退院の際、報道陣に「本当に大きいし、重いよ」と表情をほころばせたのもうなずけます。
キャサリン妃のお腹もぽっこりしたままでした。
そのお腹をめぐって、イギリスでは大論争が起きています。
セレブ雑誌『OK!』(7月30日号)が「特ダネ! キャサリン妃の産後ダイエット・プラン」という特集を組んだのが発端です。
キャサリン妃のパーソナル・トレーナーから取材し、「いかにキャサリン妃のお腹を元通りに引っ込めるか」について報告しています。
これに産後2カ月のTV・ラジオ司会者ケイティー・ヒルさんが憤慨し、「まだ出産を終えたばかりなのに、どういうつもり」とツイッターで『OK!』の不買運動を呼びかけました。
ヒルさんはツイッターにお腹がぽっこりしたままの自分の写真も掲載しました。
妊娠で子宮が大きくなっているため、産後しばらくこの状態が続きます。横になるとへっこむのですが、立ち上がるとぽっこりという状態が6週間ぐらい続くそうです。
キャサリン妃が入院したロンドンのセント・メアリー病院リンド病棟前には世界中のTV局70社が陣取り、報道陣は総勢300人を超えていました。
キャサリン妃は退院する前、ひいきにしているヘアドレッサーを呼んで自慢のロングヘアを整えてもらいました。アイラインもきれいに引かれていました。
退院の際、リンド病棟前でのショットは歴史的な写真になることをキャサリン妃は十分わかっていたと思います。
お世継ぎを出産した英王室のお妃にとって、リンド病棟前は世界が注目する「キャット・ウォーク」と同じです。
だから、身に着けていた水色に白い水玉模様のマタニティー・ドレスはお気に入りの英国女性デザイナー、ジェニー・パッカムさん(48)の作品でした。
退院したキャサリン妃を見て、パッカムさんのサイトには「同じデザインのマタニティー・ドレスはありますか」という問い合わせが殺到したそうです。
しかし、あのドレスはキャサリン妃が着た1着しかないそうです。
31年前、ウィリアム王子を出産したダイアナ元皇太子妃(故人)は緑色に白い水玉模様のマタニティー・ドレスを着ていました。
ただ、ウェストを絞ってお腹の膨らみを強調するパッカムさんのデザインと違って、ゆったりしたシルエットでした。
キャサリン妃はきっとパッカムさんとデザインについて相談したと思います。
このマタニティー・ドレスは、2年3カ月前のウェディングドレスと同じぐらいキャサリン妃には大きな意味を持つ装いでした。
英人気ファッションブランド、アレキサンダー・マックイーンのサラ・バートンさんがデザインしたウェディングドレスは英国の伝統にのっとってウェストを極端に絞っていました。
この時、キャサリン妃のサイズは「6(ウェストは61センチ)」。
今回はぽっこりしたお腹が目立つデザイン。
ダイアナ元妃が好きだった水玉模様と形見のブルーサファイアの指輪をつけながらも、違いをさり気なく出すのがキャサリン妃の自然流です。
僕には、キャサリン妃が「ありのままの私を見て」というメッセージを送っているように感じられました。
ママさんグループから「お母さんに産後ダイエットのプレッシャーをかけないで! キャサリン妃は私たちの気持ちを代弁してくれた」と称賛の声が上がりました。
これから女性の社会参加がさらに進みます。男性も母性に対する理解を深めていく必要があります。
キャサリン妃も自然とそう感じたのではないでしょうか。
「キャサリン妃には公衆の面前で、母乳で授乳してほしい」(英紙デーリー・テレグラフの女性コラムニスト)という要望も上がっています。
批判が殺到した『OK!』は「そういうつもりじゃありませんでした」と謝罪したそうです。
英国の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子供の数)は、人口が減少しないレベルの「2」に近づいてきています。ジョージ王子の誕生がバネになって「2」を突破するかもしれません。
これに対して、日本は同出生率の低下は底打ちしたとみられるものの、まだ「1.41」にとどまっています。
(おわり)