ロイヤルベビー誕生へ(3)チャールズ皇太子のお財布に監査
英国のキャサリン妃の出産予定日13日が過ぎた。ウィリアム王子の友人、サッカーのイングランド代表元主将、デビッド・ベッカムは15日、「2人ともきっと素晴らしい両親になるよ。男の子なら名前はデビッドに」とユーモアたっぷりに英24時間ニュース局スカイに語った。英国は祝祭の前の静けさに包まれている。
その15日、お世継ぎとなる初孫を心待ちにしているチャールズ皇太子のお財布と納税をめぐって英下院決算員会で公聴会が行われる。チャールズ皇太子の筆頭私設秘書ウィリアム・ナイ氏が証人として喚問される。
チャールズ皇太子はイングランド南西部のコンウォール、オーバルのクリケット場など13万1千エーカー(約5億3千万平方メートル、7億6200万ポンド相当=約1143億円)を公領として所有する大地主。公領を切り売りすることはできないが、開発することは許されている。
ロンドンにある拙宅の隣もチャールズ皇太子領なのだ。庭の手入れや建物の風格がやはり庶民の居宅とは異なる。
その賃料などの収入は1905万1千ポンド(前年比4%増)。これに公金の115万ポンド(同48%減)を加えたチャールズ皇太子の収入は2020万1千ポンド(約30億3千万円)。
チャールズ皇太子はシェフや従者、庭師ら148人、公務や慈善活動を担当する125人を雇っている。2012年度の公務は657回、海外での行事は154回。カミラ夫人の公務は227回、海外行事が122回。これらを合わせた公的支出が1095万2千ポンド、私的支出が245万2千ポンド、その他支出が208万8千ポンド、所得税が442万6千ポンド(約6億6300万円)。
「ダッチー・オブ・コンウォール(皇太子の公領)」は法人でも公的団体でもないため、法人税やキャピタルゲイン税、相続税を納める必要がない。このため、クラレンスハウスは「チャールズ皇太子は自発的に50%の税率で所得税を納めている」と説明している。
しかし、皇太子の公領の返還を求めたり、チャールズ皇太子が進めるコンウォールの住宅開発に反対したりするなどの運動も起きている。
自由民主党のアンドリュー・ジョージ下院議員は「チャールズ皇太子は目に余る節税を行なっていたスターバックスやグーグルの租税回避行為とは異なるものの、もっと収入と納税の透明性を増すべきだ」と情報開示の徹底を求めている。
ウィリアム王子とキャサリン妃の第1子が皇太子になるころ、皇太子の公領が今の形で残っているかどうか、相続税やキャピタルゲイン課税の対象になっているかどうかは、議会の意思、つまり国民の判断に委ねられている。
(つづく)