橋下徹大阪市長の道州制に暗雲 スペイン・カタルーニャ議会選で独立派が圧倒的多数 中央政府との対立激化

スペイン北東部のカタルーニャ自治州議会選(定数135)の投開票が25日行われ、同自治州の独立を問う住民投票の実施を掲げる4政党が計87議席を獲得する見通しだ。今後、独立をにらみスペインの中央政府とカタルーニャ自治政府が激しく対立する場面が増えるとみられ、日本の総選挙で台風の目になっている橋下徹大阪市長が唱える道州制の問題点を先取りした形となっている。

カタルーニャ州のバルセロナは1714年にスペイン軍の攻撃で陥落。スペイン内戦を経て、独裁者フランコ総統の死去後、1977年にカタルーニャは自治権を回復した。

カタルーニャ自治州はスペイン経済の5分の1を占め、ポルトガルの経済規模に匹敵する。独自の言語を持ち、バスク自治州と同じように独立意識が高い。毎年、カタルーニャ自治州の総生産(GDP)の9%が中央政府に吸い上げられているとの見方もあり、住民には不満がたまっている。

カタルーニャ自治州は今年、420億ユーロ(約4兆4900億円)の債務を償還しなければならず、中央政府に50億ユーロ(約5300億円)の支援を要請する事態に追い込まれている。

こうしたことから「スペインから独立していれば、こんな事態にならずに済んだ」と独立を支持する勢力が急激に拡大。カタルーニャ自治政府の世論調査でも2006年には13%に過ぎなかった独立支持派が44%に増えた。独立すれば欧州連合(EU)加盟国平均よりも裕福になるため、加盟も容易に認められるとの楽観論も流れる。

今回の議会選は、独立に向けた住民投票を行うか否かを有権者に問うため、カタルーニャ自治政府のマス州首相が前倒しして実施した。マス州首相の民族主義政党連合「集中と統一」は議席数を62から50に減らしたものの、議会第一党を維持する見通し。マス州首相は「カタルーニャの歴史で最も決定的な選挙となった」と宣言した。

同じくカタルーニャ自治州の独立を掲げるカタルーニャ左派共和党は10議席から21議席に躍進する見通し。独立を支持する他の2政党を加えた議席数は計87に達しそうだ。

25日、手術を受けたスペイン国王を見舞った中央政府のラホイ首相は記者団に「政治のことは聞かないでくれ」とこぼした。

これまでラホイ首相に課税自主権の拡大を求めて拒否されてきたマス州首相は年明けから住民投票に向けた手続きに入るとみられる。これに対して、中央政府は「独立を問う住民投票は違法で、憲法にも反している」としてマス州首相が住民投票を強行すれば逮捕すると通告している。

マス州首相をめぐってはスイスの銀行に秘密口座を開設している疑惑が浮上し、脱税で追及される可能性も出てきている。

カタルーニャ自治州の財界人は「スペインの一部だからこそビジネスで相手にしてもらえる」と独立には否定的だ。

冷戦終結後、英国などで地方分権が一気に進んだが、4年前の世界金融危機を境に、英国、ベルギー、スペインの一部地域で分離・独立を求める声が再び頭をもたげている。みんな自分のことで精一杯になり、富の再配分を許容できなくなったのだ。

新興国が先進国を猛烈に追い上げる中、都市の富を地方に再配分する機能を中央政府が維持し、国際社会で中央政府が発言する力を地方への権限分散で弱めるべきではないという意見が説得力を持ち始めた。

日本の道州制の議論は冷戦後、生まれてきたもので、現在の国際情勢を全然、配慮しておらず、地方の活性化は規制緩和などの特区で進めるべきだという指摘もある。

スペインで中央政府とカタルーニャ自治州の対立が激化し、中央政府による財政再建が危ぶまれる状況になれば、EUもスペイン救済に二の足を踏む恐れがある。市場が再び攻勢を強めてくる危険性をもはらんでいる。

(おわり)