“元賞金女王”に足りないのは技術なのかメンタルなのか――。

 韓国から日本に戻ったイ・ボミが2カ月ぶりに姿を見せたのは「宮里藍サントリーレディスオープン」(6月9~12日)だった。主催者推薦枠からの出場となったが初日は72、2日目は77で回り、通算5オーバーで予選落ちした。

 初日はなんとかイーブンパーで持ちこたえたが、2日目にはショットが乱れスコアがまとめることができなかった。大会前にはこんなことを打ち明けていた。

「練習場ではうまく打てているのですが、コースの中は平らなところがあまりないので、そういう場所で打つとミスショットの原因がつかみにくく、ボギーになってしまいます」

 多くのギャラリーの前でのプレーに多少の緊張感はあったのかもしれない。実際、イ・ボミは今の悪い状況の中でプレーするのが「すごく恥ずかしい」と言っていたことがある。

本音ではなるべくプレーを見ないでほしいと思っているようだが、それでも2015、16年に賞金女王となり、ツアー通算21勝をほこるゴルファーとしては、このまま終わりたくないプライドがある。

「挑戦と努力は続けている」

 昨季はコロナ禍による影響で、日本への入国制限で出られなかった試合が保障され、今季は日本ツアー開幕戦から5試合に出場した。そこからシード保持(昨季の賞金ランキング、メルセデス・ランキング50位にあたる賞金とポイントに達するのが条件)を狙ったが、4試合で予選落ち。2011年に日本ツアーに初参戦し、9シーズン保持したシード権を失った。

 それから韓国に帰国。母国ツアーには永久シードの権利で2試合に出場したが、それも予選落ちしている。

 イ・ボミは自身のインスタグラムに試合後の感想を書き込んでいる。シード落ちが決まった4月の「ヤマハレディースオープン葛城」のあとは「求める結果を得られず悔しいですが、毎回一生懸命に頑張り、挑戦し、努力したのでよくやったと自分に言い聞かせます」と書き込んでいた。

 韓国ツアーでの予選落ち後には、現地ファンクラブメンバーとの写真を掲載し、「結果は今週も残念でしたが、問題点を正確に把握したので、自信を持ってもっと練習します」と語っていた。試合をこなすたびに修正点は見つかり、それを克服するための練習も努力も続けているという。

 ただ、他の30代の選手、例えば、結婚後も今季レギュラーツアーで奮闘している上田桃子や有村智恵と比べると、どこか物足りなさを感じざるを得ない。

成績不振はモチベーションの低下?

 毎回、彼女が出る試合は現場に行くようにしているが、プレーを見るとアドレスを構えたときに下半身の安定感があるなと感じたときは、ティショットも真っすぐ飛んでいる。しかし翌日に最初のホールのティショットを見に行くと、アドレス時の構えがどこか不安定に感じると思ったら、やはりショットはブレている。

 毎日の調子が違うのがゴルフの難しさでもあるが、“イップス”とも言っていい状態から抜け出すための“努力の度合い”が、足りないのではないと感じることが多い。

 もちろん結婚をして新たな生活環境になったことで、かつてのようなモチベーションを保つのが難しいのは理解できる。ただ、ショットのブレや成績の不振は技術ではなく体のコンディションやメンタル面から来ているのではないだろうかと思うこともある。

「このまま終わりたくない」

 イ・ボミは「今は優勝するどころではありません。いいプレーができるだけで満足」と言っているが、それも今は叶わないでいる。初日が良くても、2日目は崩れるケースが多く、それでもまだ出られる試合は出続けたいという。

 今も“引退”自体は否定し、今年も残りは限られた試合数だが、日本のゴルフファンの前で少しでもいいプレーを見せると約束している。

 2017年以降優勝から遠ざかっているが、「このまま終わりたくない」とハッキリと言っていた。

 若手が台頭する日本女子ツアーでは、もうイ・ボミの出る幕はないのだろうか。今週開催のアース・モンダミンカップと来週の資生堂レディスオープンの出場も決まり、まずは予選通過から奮闘する姿を見たいものだ。