ウズベキスタンで開催されているサッカーのU―23アジアカップ。準々決勝でU―23韓国代表はU―21日本代表と対戦し、0-3で完敗を喫した。

 韓国の指揮官は元韓国代表FWでJリーグ得点王にもなったファン・ソンホン監督で、試合後「監督の責任だ。先発メンバーから様々な試合コンセプトまで、すべて私の判断ミスだ。日本はとても組織的だった。長期的な計画で未来を見据えている姿が印象的だった」と反省の弁を口にしていたが、メンバー構成に問題があったとは思えない。

 2019年のU―20ワールドカップ(W杯)の準優勝メンバーを中心に、スペインでプレーするMFイ・ガンイン(マジョルカ)やMFホン・ヒョンソク(LASKリンツ)ら海外組のほか、Kリーグで好調の選手で構成。今季から清水エスパルスに移籍したFWオ・セフンも招集され、2024年パリ五輪を目指す2つ下の日本代表を相手に大敗するなど、誰も予想していなかったはずだ。

オ・セフンとの“清水FW”対決は鈴木に軍配

 しかし試合開始とともに、総合力で上回っていたのは日本だった。

 久保建英の同僚でもあるイ・ガンインの突破力とキープ力からの展開でチャンスを演出するも、日本の個々の能力の高さには目を見張るものがあった。

 やはり3得点に絡んだFW鈴木唯人の存在だ。清水エスパルスで主力FWでもある彼が前半22分に直FKで先制。後半20分に鈴木のドリブル突破から鋭いシュートからこぼれ球を押し込んで2点目。後半35分にも鈴木がゴール前でボールを受けたあとに反転し、左足でゴール左隅に狙いすましたシュートは技ありだった。

 一方で、後半25分に投入されたFWオ・セフン。鈴木とは同僚だが、Jリーグでは試合に出場しているとはいえ、チームでは“スーパーサブ”の扱い。2人のFW対決にも注目していたが、Jリーグでのパフォーマンスがこの日韓戦でも表れていた。オ・セフンもヘディングから決定機を作り出していたが、何度も相手の守備に阻まれていた。

 試合後の鈴木は「韓国が相手と言うことで、自分自身モチベーションが高かったですし、この試合で必ず勝利しようと強く気持ちを持って臨みました」と語り、勝利への執念がゴールを呼び込んだと感じる。

前半の韓国は枠内シュートなし

 ちなみに韓国は今大会のディフェンディングチャンピオン。今回で5回目の大会だが、初めて準決勝進出を逃した。

 韓国メディアが「日本に大敗の韓国サッカー、U-23アジアカップで史上初の8強で脱落」(ノーカットニュース)、「韓日戦の大惨事」(OSEN)、「タシュケントの大参事、ファン・ソンホン号の韓国サッカーが危険だ」(オーマイニュース)などと見出しを打って報じるのは当然のことだ。

 やはり2019年のU―20W杯制覇したメンバーが多かった韓国が、21歳以下の日本を相手に完敗したというのがよほど衝撃だったのだろう。前半は韓国の枠内シュートが1本もなかったが、それにしてもなぜ、これほどの大差が出てしまったのだろうか。

韓国は16人が初めて見る顔だった?

 まずはU-23韓国代表のチームの完成度が明らかに低かった。昨年9月にファン・ソンホン監督が就任したが、U-23アジアカップ予選からは一度も公式戦を戦っていない。

 今年3月の「ドバイカップU-23」にも韓国は出場を予定していたが、新型コロナの影響もあり政府の方針で参加できなかった。一方のU-21日本代表は同大会を制している。

 また、韓国A代表との間で、選手の選出に関してもベストメンバーを組めない状況も続いたが、現実的に問題なのは、ファン監督が出国前に韓国メディアに「一部の選手は今大会で初めて会う」と語っていたことだ。

「スポーツ京郷」によれば「ファン監督の唯一の実戦だったアジアカップ予選に出場した選手は、7人だけが本大会に参加。ほかの16人は新しく見る顔だった」と報じている。

 つまり、ファン監督には新メンバーも含め、あらゆる悪条件がかかった中で、今大会に挑まなければならなかったわけだが、明らかな準備不足が敗北の要因だ。

 韓国内では「この状況では勝ち上がるのは難しい」と言われていたそうだが、それでも言い訳はできないだろう。今年9月に中国の杭州で開催予定のアジア大会が延期になったのは、ある意味よかったのかもしれないが、チーム力を上げるのは急務だ。