Yahoo!ニュース

韓国と中国の北京五輪ショートトラック対決が“バチバチ”なワケと裏事情

金明昱スポーツライター
公式練習中のショートトラック韓国代表(写真:ロイター/アフロ)

 北京冬季五輪のショートトラック競技で、韓国と中国が密かに火花を散らしているのをご存知だろうか。

 5日から始まるショートトラック。韓国にとっては“お家芸”とも言われる種目で、今大会もメダルラッシュが期待されている。

 メダル獲得が確実視されていることから“孝子(ヒョジャ)種目”(国に孝行するという意味)とも呼ばれる。今大会は総合順位15位以内、金メダルは1~2個を獲得と目標はかなり低く設定されている。

 ただ、韓国は冬季五輪のショートトラックで金24個、銀13個、銅11個の計48個と最も多くメダルを獲得しており、北京五輪でもメダル獲得に期待がかかる。

 しかし、中国もショートトラックは得意とするところで、過去の冬季五輪では韓国に次いで2番目に多い計33個(金10、銀15、銅8)を獲得している。

 しかも、中国は北京五輪がホーム開催ということもあり、本気モード。目標は“打倒・韓国”。

 今大会でショートトラックにおいて韓国と中国は、ともに「負けられない」裏事情が背景にある。

韓国代表に縁のある人物が中国のコーチに

 今回、北京五輪に挑むショートトラック中国代表を指揮するのが、韓国代表に縁のある人物で、それによって両国に“因縁”ができてしまった。

 中国代表を指揮するのは、4年前の平昌五輪で韓国代表ヘッドコーチを務めたキム・ソンテ監督。2010年バンクーバー五輪では、日本代表のヘッドコーチを務めた人物でもある。

 もう1人は韓国からロシアに帰化したビクトル・アン(韓国名:アン・ヒョンス)で、中国代表コーチに加わった。

 アンは2006年トリノ五輪でショートトラック韓国代表として出場し、3つの金メダルを獲得。2010年バンクーバー五輪出場を逃した後、所属チームが解体されケガの影響もあり、代表から漏れると2011年にロシア国籍を取得。その後、ソチ五輪にロシア代表として出場して、3冠を達成。ショートトラック競技ではロシア勢初のメダリストとなり、プーチン大統領から直接勲章を授与されている。

 そんな2人を北京五輪開催中国代表のコーチとして招聘。中国は自国開催の五輪でメダル獲得を目指し、技術向上に努めてきたというわけだ。

 金監督や安コーチは、母国“韓国”が今回は倒すべき相手となったわけである。

混合リレーで韓中が金メダル争いか

 韓国メディアの報道を見ると、金メダルに向けた戦いは、試合前から始まっている。

「朝鮮日報」によれば「中国は五輪を控え、徹底的に手の内を隠す戦略のようだ。練習が終わっても、国内や海外メディアのインタビューには応じず、リンクをあとにした。しかし、キム監督は韓国チームが練習を始めると、リンクの観客席に現れ、選手たちの練習を自ら撮影していた」と伝えている。

 中国は自分たちの手の内は見せないが、韓国のことは徹底的にマークする。勝つためには手段を選ばないしたたかさを見ると、どうやら中国は本気で韓国に勝つつもりのようだ。

 では実際のところ、両国のメダル争いはどうなるのか。

 最も注目したいのが、5日に行われる冬季五輪では新種目となる混合リレーだ。男女各2人の計4人で構成され、距離は2000メートル。

 中国は同種目の金メダル候補と言われるが、韓国も負けてられない。ショートトラックにおける両国の因縁の対決にどんなドラマが生まれるか注目したい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

金明昱の最近の記事