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なぜ日本と韓国のサッカー強化試合に温度差?日→ウズベキスタン中止、韓→アイスランドとモルドバ2連戦

金明昱スポーツライター
今月下旬のW杯アジア最終予選で勝利すればW杯出場が決まる可能性がある韓国代表(写真:ロイター/アフロ)

 今月下旬に再開する2022年カタールワールドカップ(W杯)アジア最終予選を前に、各国が親善試合の準備を進める中、日本代表は1月21日に予定していたウズベキスタン戦が中止になった。

 一方の韓国代表は、昨年12月に発表された国内組を中心としたメンバー(海外組は柏レイソルのGKキム・スンギュのみ)が今月トルコ入りし、10日から練習を開始。現地で15日にアイスランド代表(FIFAランキング62位)と、21日にはモルドバ代表(同181位)と強化試合を行う予定だ。両チーム共にW杯欧州予選で敗退している。

 この強化試合にソン・フンミン(トッテナム)やファン・ヒチャン(ウルヴァーハンプトン)ら欧州組は招集されていないのはAマッチ期間ではないのがその理由。W杯アジア最終予選前にチームに合流する予定だという。

 しかしながら、日本と韓国でこうした違いが出るのは、世界的に蔓延する新型コロナウイルスのオミクロン株による感染拡大と各国の水際対策に温度差があるからだ。

 外国人の新規入国を停止する日本ではウズベキスタン代表の入国が認められなかった。

 日本はW杯最終予選で中国(27日)とサウジアラビア(2月1日)と埼玉スタジアムでの試合を控えているが、国内合宿での調整のみで、強化試合なしで挑むことになる。

“緩い規制”トルコに入国した韓国代表

 その点、韓国代表がトルコ入りできたのは、入国制限の規制が緩かったのが大きい。

 トルコ政府が発表した10日の新規感染者数は6万5236人と多く日本の比ではないが、規制はあまりにも緩い。

 入国14日以上前に新型コロナウイルスワクチンを接種した証明する文書を提出すれば大丈夫で、同文書を提出できない場合は、トルコ到着前72時間以内に受検したPCR検査の陰性証明書、または到着前48時間以内に受検した迅速抗原検査の陰性証明書を提出すれば、入国が可能だという。

 韓国代表選手たちも練習場とホテルの間の行き来で、コロナ対策は万全に期しているとは、感染者数の多さから、リスクがないとは言えない。

 そんな中で、韓国はW杯アジア最終予選で27日にレバノン、2月1日にシリアの中東勢とアウェーで対戦する。つまり、トルコでの合宿は中東への移動を考慮してのこと。感染リスクがあるとはいえ、強化試合を組んで本番を迎えるというチームの対策としては間違ってはいないだろう。

 ちなみに韓国はW杯最終予選を4勝2分の勝ち点14でグループAの2位につけている。1位のイラン(5勝1分、勝ち点16)を追うが、今回の2連戦で1勝でもすれば、残りの試合結果に関係なく、W杯出場が決まる可能性もある。

 ただ、一つ心配なのはエースのソン・フンミンと攻撃の要となるファン・ヒチャンがケガで離脱の可能性があること。

 いずれにしても感染者を出さずに、無事にレバノン戦とシリア戦を迎えてほしいものだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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