Yahoo!ニュース

“ゴルフレッスンは不得意”のキム・ハヌルが韓国ゴルフ番組で語った「アマチュアへのアドバイス」とは?

金明昱スポーツライター
レッスン番組に出演したキム・ハヌル(写真・SBSゴルフアカデミーのキャプチャー)

 韓国女子ゴルフツアー通算8勝、日本ツアー通算6勝のキム・ハヌル。今季でツアーを引退し、現在は韓国でゴルフ関連の仕事で忙しい日々を過ごしている。

 先週、韓国の有名ゴルフレッスン番組「SBSゴルフアカデミー」にゲスト出演したのがキム・ハヌルだった。

 冒頭では「レッスンをする趣味はありませんが(笑)」と前置きしていたが、確かにキム・ハヌルは日本のゴルフ雑誌のレッスン取材でも「誰かに教えるためのアドバイスを得意としていない」と語っていたことがある。

 こうしてレッスン番組に登場した背景には、これから歩む第2の人生を充実させたい思いがあるからだろう。

 それにいくらレッスンが苦手とはいえ、人気と実力のあるプロゴルファーだけに、説明が始まればアマチュアのためになるものも多かった。

 番組内でキム・ハヌルが紹介していたレッスン内容をいくつか紹介したい。

「現役時代に一番自信があったアイアンショット」

 まずレッスンの解説を始めたのは、アイアンショットだった。

「現役時代に一番自信があったアイアンショットについて説明したいと思います。アイアンショットは選手たちの中では、一番重要なショットだと思います。なぜならば、バーディーチャンスを作らないといけませんし、トラブルの状況でもアイアンショットでカバーしなければなりません。なので選手にとってはお金を稼ぐためにも大切なものだと思います(笑)。アイアンショットが良ければ、それだけスコアメイクが簡単になるからです」

 出演陣の笑いを誘ったあと、キム・ハヌルはいくつかのポイントを教えてくれた。「アイアンを打つ時のボールの位置」について。

7番アイアンを打つ時のボールの位置について説明するキム・ハヌル(写真・SBSゴルフアカデミーのキャプチャー)
7番アイアンを打つ時のボールの位置について説明するキム・ハヌル(写真・SBSゴルフアカデミーのキャプチャー)

「アイアンはとにかくたくさん練習することです。練習を重ねることで手の感覚も良くなりますし、コントロール能力も高まります。では、どのように練習すればいいのか。多くのアマチュアの方が、必ず聞いてくる質問があります。それは『アイアンを打つ時にボールの位置はどこにすればいいのか』というもの。基本は真ん中でいいと思うのですが、私の場合は、7番アイアンを基準にした時、ボール位置を真ん中よりも少し左に置きます。私が少し左に置く理由は、打つ時に体重移動がスムーズにでき、その結果、ボールの弾道も良くなるからです

 アイアンを打つ時、ボールの位置は基本的に真ん中でいいとよく聞くが、キム・ハヌルのアドバイスは体重移動がスムーズにできることを前提とした、少し上級者向けのポイントと言えるかもしれない。

「アマチュアは打つまでに時間がかかる方が多い」

 さらにキム・ハヌルが実際に試合で行っているいくつかのポイントとして、アマチュアにアドバイスしていたのが、「アドレスに入ったら迷わず早く打つこと」だった。

キム・ハヌルの貴重なレッスン番組出演。今後はこうした機会が増えそうだ(写真・SBSゴルフアカデミーのキャプチャー)
キム・ハヌルの貴重なレッスン番組出演。今後はこうした機会が増えそうだ(写真・SBSゴルフアカデミーのキャプチャー)

私はティショットを打つ前のルーティーンはそこまで長くありません。打つ前に考えが多いと雑念ができてしまうからです。なるべく早く打つことを心掛けているのですが、そのほうが試合運びがうまくいきます。プレーが遅くなったり、考えたりすればするほど、むしろマイナスになります。追い風、向かい風、足元も右足上がり、左上がりとプレー中も様々な状況がありますよね。それらを総合的に判断してクラブを選択したら、あとはボールを打つことに集中します

 さらにアマチュアゴルファーに守ってほしいポイントについてはこう説明した。

私がアマチュアの方を見ていて感じるのは、アドレスに入ったあとから打つまで、すごく時間がかかるゴルファーが多いことです。考えごとがあまりにも多すぎるのではないかと感じます。アドレスに入ってから、両足を踏みなおし、クラブを何度も構え直すとさらに打ちづらい状況になると思います。なので、アドレスに入って打つ方向を見たら、迷わず打つことを意識しましょう。プレー中にそれを直すのは難しいので、練習場で構えたらすぐに打つ習慣をつけるようにしましょう。そうすればゴルフ場に出てもスムーズに打つことができると思います。たぶん練習場では、時間がもったいないので、たくさん打ちたい方が多いと思うのですが、実際にプレーするように、素振りをして、後方から打つ方向を確認して、アドレスで準備ができたらなるべく早く打つことを心掛けてください

 “レッスンは不得意”と言うキム・ハヌルだが、アマチュアのプレーも何がよくて、何が悪いのかを意外と見ていることもよく分かった。

 番組中も笑顔が多く、見る者を引き付けるのもキム・ハヌルの魅力だろう。韓国でレッスン番組に呼ばれる回数はこれからも増えるに違いない。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

金明昱の最近の記事