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川崎フロンターレがPKで敗れたのはピッチのせい?蔚山監督のホン・ミョンボが語った「同じ条件」の意味

金明昱スポーツライター
JとK両リーグ首位を走る川崎と蔚山の試合は激闘だった。写真は2019年(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 日韓両リーグで首位を走る川崎フロンターレと蔚山現代のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1回戦は、120分を戦い終えても0-0のまま決着はつかず、勝負はPK戦にまでもつれこんだ。

 試合内容はほぼ互角。両者ともに一進一退の攻防を繰り広げ、互いに惜しいチャンスもあった。延長前半アディショナルタイムに川崎のFKからFW知念慶がヘディングで合わせたシュートは、蔚山GKチョ・ヒョヌのファインセーブに阻まれた。

 一方、延長後半14分には、蔚山のCKから川崎GKチョン・ソンリョンが相手との競り合いでキャッチし損ねたボールが右ポストを直撃。あわや失点というシーンもあったが、最後まで得点を許さなかった。

 PK戦では先攻の川崎が5人中、3人が失敗。蔚山は5人目のMFユン・ピッカラムが決めて勝負あり。蔚山がベスト8進出を果たした。

 PK戦ではキックの際に芝生が大きくめくれあがり、失敗するシーンがかなり目立っていたが、試合後にはピッチコンディションの悪さを指摘する声も聞かれた。

 試合後の会見で蔚山のホン・ミョンボ監督は、川崎へのリスペクトとピッチコンディションについてこう語っている。

「川崎は現在Jリーグで首位を走るチーム。試合前から分析していたが、とてもいいチームいうのは知っていたし、実際に対戦してみてその強さを改めて知ることができた。川崎とは最低でもベスト4で対戦すべきで、それほど強いチームだった」

「ホームのアドバンテージがあったとは思わない」

 また「PKの際のピッチコンディション状態は、ホームの利点があったのではないか?」という質問に対し、「常に同じ条件だと思う。ホームスタジアムだが、蔚山と川崎は同じスタジアムで試合をした。ホームのアドバンテージがあったと考えていない」と語った。

 試合を見ているとこの日のピッチコンディションは、悪天候が続いた影響で決して良い状態とは言えなかったが、確かに同じ条件でのプレーなので敗戦の言い訳にできない部分はある。

 ちなみに試合会場となった蔚山文殊サッカー競技場は、2002年日韓W杯開催に合わせて建設されたサッカー専用スタジアムで、屋根の部分が王冠のようなデザインで「ビッグクラウン」という愛称を持つ。

 Kリーグ強豪クラブでもある蔚山現代のホームスタジアムとあって、ピッチコンディションは常に良い状態に保つように作業されており、そのための設備投資もしている。

 2020年には蔚山施設公団が、同スタジアムに韓国内では初となる芝の生育のための「成長ライト」を試験導入し、「天然芝の発育を促進させ、最高のサッカーインフラを構築する」と発表している。

 これは、マンチェスター・ユナイテッドの「オールド・トラフォード」、FCバルセロナの「カンプ・ノウ」、レアル・マドリードの「サンチャゴ・ベルナベウ」など欧州の名門クラブなど多くのスタジアムでも使用されているものと同じだという。

 とはいえ、ピッチの状態は試合開始前までの天候状況にも大きく左右されることが多いが、それを一番よく知っているのは選手たちだろう。

 蔚山と川崎の“日韓頂上決戦”は同じ条件の下、最後までフェアで実力を出し切った名勝負だった。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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