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キム・ヨナが語った「近況、女性の生き方、メイク術…」ファッション誌独占インタビューの中身

金明昱スポーツライター
米ファッション誌「コスモポリタン」韓国版に登場したキム・ヨナ(筆者撮影)

 2010年バンクーバー五輪のフィギュアスケート女子金メダリストのキム・ヨナ。米ファッション誌「COSMOPOLITAN(コスモポリタン)」韓国版の9月号の表紙を飾ったことが韓国内で話題になっていた。

 特集のグラビアでは、様々な衣装を身にまとい、写真に納まるキム・ヨナの姿がとても新鮮に映る。ただ、これまでも多くのファッション誌や今もたくさんの企業CMに起用されており、韓国内で彼女の姿を見かけない日はないほど。

 気になるのは、何を語っていたのかだ。韓国から入手した雑誌のインタビューでは自身の近況と「女性の生き方」について語っていた。

現在はスケートリンクで後輩の指導

――これまでどのように過ごしていましたか?

 週に2〜3日はスケートリンクで後輩たちにレッスンしています。今日のように撮影がある日には、熱心に働き、過ごしています。最近は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、家で過ごす時間が以前よりも増えました。活動時間が減ったので、首や肩が痛くなったり、姿勢も崩れていく感じがあります。このままではいけないと思い、3カ月前からトレーニングを始めました。選手時代のトレーニングとは違うリハビリに近い感じですね。

 キム・ヨナが氷上で舞う姿を見たのは2019年のアイスショー「All That Skate」が最後。その他、公の場に姿を現したのは、韓国・ソウルで行われたフィギュアスケートの2020年四大陸選手権の女子表彰式だった。

 現在は後進の指導に励みながら、トレーニングも始めたと語っている。韓国では国民的ヒロインでもあり、影響力の大きいキム・ヨナ。これからどのような活動をするのかは、誰もが一目置くところではある。質問と答えも興味深い。

――これからの人生をより積極的に生きようとする女性たちと共有したい知恵がありますか?

 今の時代の女性たちが自らを愛し、主体的な生活を送ることは、すでに“挑戦”の段階を超えて、自然なものになりました。ありのままの自分自身を受け入れ、愛することを知る人たちが“美しい”ということを私たちは知っています。誰もが最善を尽くして、より良い人間になろうと努力する姿勢は必要だと思います。

グラビアでは様々な表情を見せてくれている(筆者撮影)
グラビアでは様々な表情を見せてくれている(筆者撮影)

衣装、メイクアップ、ヘアは競技の一部

――選手時代には自分でメイクアップするほど、ビューティーに関心が高かったと思います。「死の舞踏」(2008-2009シーズンSP)のときのスモーキーメイクを見て、自身が望む雰囲気を具現化する才能に長けていると感じました。最近もメイクを楽しんでいますか?

 フィギュアスケートの選手たちは、いつも自分でメイクアップをして試合に出るので、自然に関心を持ち始めました。フィギュアスケートでの衣装、メイクアップ、ヘアは競技の一部なので、とても重要です。当時はメイクアップの経験がそこまで多くなく、振り返ってみるとまったくダメでした。今ならもっとうまくできるのに(笑)。私は普段からメイクは濃いほうではありません。色調のメイクはほとんどしませんし、唇に軽くポイントを与えるくらいです。時に「今日はきれいにしたいな」と思ったときにやるくらいです。

 最後に紹介したいのは「一週間の自由な時間が与えられたなら、何がしたいか」という質問に対する回答。以前、同誌は10年前にキム・ヨナのインタビューで同じ質問を行っているが、当時のキム・ヨナは「スポーツから離れるのがいいですね。普通の人たちはどのように生きているのかを見ながら、私も同じように行きたい」と答えている。

 10年前の2011年は、バンクーバー五輪で金メダルを獲得した翌年。人気と注目度は絶頂期で、多方面で大忙しだった。少しスポーツから離れ、普通の生活がしたいと語ったこともうなずける。

「些細なことに幸せ感じる」

――再びこの質問をしてみます。一週間の自由な時間が与えられたなら、何がしたいですか?

 選手時代は、これからの試合や練習に対するストレスで、自由を満喫したことがありませんでした。幼い頃から選手生活だけをしてきたので、違う分野の人たちは何を考え、どのように生きているのかが気になって、(10年前は)そのように答えたようですね。でも、いざ大人になってみると、みんなが同じに見えます(笑)。今の私に一週間の自由な時間が与えられるなら、閑静で空気のいいところで余裕をもってコーヒーを飲み、美しいものを目にしながらゆっくり歩きたいです。新型コロナウイルスが完全に収まっても、同じ答えをすると思います。些細なことに幸せを感じるのがいいですね。

 ユニセフの国際親善大使で活動中のキム・ヨナは今年6月、発展途上国への新型コロナウイルスのワクチン供給のため、ユニセフ韓国委員会に10万ドルを寄付している。

 これからもこうした社会貢献活動を継続させるとともに、韓国から“第2のキム・ヨナ”の育成にも力を注いでいく。

華やかな表紙もかなりインパクトがある(筆者撮影)
華やかな表紙もかなりインパクトがある(筆者撮影)

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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