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日本初独占インタビュー!“セクシークイーン”アン・シネの本音と素顔「病院への寄付は父のため」(前編)

金明昱スポーツライター
子供のころから日本が大好きだったというアン・シネ(写真:gettyimages)

2週続けて日本女子ツアーに出場したアン・シネは「とても幸せな2週間でした」と感極まって涙した。“セクシークイーン”の本当の素顔に迫る独占ロングインタビューを2回に分けてお届けする。

――日本女子ツアーのワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップに初参戦しましたが、社会現象になるほどの大フィーバーぶりでしたね。

あの4日間は本当に夢のようでした。多くの人が応援してくれて、とても幸せな時間を過ごせました。ですが、すごく疲れもしました。関心が高いのはすごくありがたいことなのですが、ウェアのことなど私の身なりに注目してくれていたので、それがものすごくプレッシャーでもありました。派手なウェアを着ているだけで、ゴルフはそこまでうまくないんじゃないかという声も聞こえてくると思って……。幸せでありながらも、精神的にはとても疲れたというのが正直なところです。

――ホールアウト後に並んで待つすべての人にサインをしていたことも話題になりました。

ファンは応援している選手が、よりいいパフォーマンスを発揮してくれることを望みますよね。試合であまりいいプレーを見せられなかったので、ファンのために私にできることは何かと考えたんです。それで一人ひとりの顔を見てのサインでした。日本にいる間は、試合だけでなく、ファンの方たちにもベストを尽くすことが大事だと考えています。

■一度は日本に住んでみたかった■

――改めて日本ツアー挑戦を決めた理由を教えてください。

私が日本ツアーに来たかった理由は3つあります。私は子供のころから、日本に一度は住んでみたいと思っていました。自分がゴルフをしていなかったとしても、留学したりして数年は住んでみたいと思っていたんです。その理由は、私の叔母(父の妹)が日本に10年以上住んでいたことがあって、日本の魅力をたくさん話してくれました。それで日本に行ってみたいって思ったんです。大人になってからは、日本に旅行に来て、おいしいものをたくさん食べました。刺身、すし、ラーメン、たまご料理、鳥料理などどれも全部おいしくて、日本料理は私の口に合うものばかり。もちろん、韓国料理も好きなのですが、辛すぎる料理は得意ではなく、キムチチゲや豆腐キムチなどのキムチ料理が好きですね。

――話が食べ物に飛んでいますが(笑)、日本が本当に好きなんですね。それは知りませんでした。

すみません(笑)。おいしいものを食べるのが大好きなので。日本ツアーを選択した理由の2つ目は、中学時代(ニュージーランドの学校)に日本語を習っていたことです。日本語は韓国語と似ているところがあって、とても習得しやすかったです。ゴルフの練習に時間を取られてからは、集中的に日本語を学ぶことはできませんでしたが、それでも楽しいと思いました。

――子供のころから意識的に日本と接してきたわけですね。3つ目の理由はなんですか?

3つ目が日本を選択した一番大きなきっかけです。韓国でツアー生活をしていると、日本でプレーしている韓国の選手が、日本ツアーの環境についていろんな話をしてくれます。選手中心のツアーで環境がすごく良いとよく聞いていました。それに、私も日本のコースでプレーしたとき、コースの距離が短くて、フェアウェーは狭く、グリーンも小さいという印象を受けました。どちらかと言えば、私は日本のゴルフ場のスタイルが好きですね。

――韓国ツアーとはまた環境がかなり違うわけですね。

ええ。私がまだ新人選手のころ、韓国のコースも距離が短くてハザードもあり、正確なショットで確実に刻んでいくプレーヤーが優勝する可能性が高かったんです。ですが、近年はコースの距離が長くなり、ロングヒッターの選手が確実に有利になりました。日本のコースのほうが自分に合っていて、力を発揮できるチャンスがあると感じたので、日本に来ようと決心しました。

■両親がガンを患い■

――今年は日本ツアーの出場が8試合くらいになると聞いていますが、今後も日本でのプレーを考えていますか?

もちろん、これから日本でプレーする気持ちは強いです。ただ、今も父(アン・ヒョジュン氏)の体調があまりよくないんです。実は去年、父がすい臓がんになり、家族みんながとても辛い状況にありました。いまは少しずつ父の体調は良くなったので、今はこうして日本ツアーに来ることができています。もし父の体調が悪ければまだ日本に来られなかったと思います。日本ツアーに来ることができても、父と過ごす時間は限られています。まだ韓国で一緒にいたいという気持ちもあるので、今年は韓国ツアーに20試合くらい出場すると決めました。そうなると日本ツアーは8試合くらいになりそうです。この8試合で賞金シードを獲ることが目標でもあります。もしシードが取れなかった場合はまた日本のQT(予選会)を受けることも考えています。

――お父様が闘病生活されているなかでも、よくゴルフを続けられましたね。お母様もガンを患ったと聞きました。

とても健康だった父が急に病気になり、体重も10キロ以上落ちてしまって……。私は一人っ子なのですが、だからこそ余計に親のことは気になります。父の弱る姿を見るのはとても辛かったです。試合に集中できないこともありました。でも、少し元気になった父から「シネ、日本に行ってがんばってこい」と言われ、その言葉を力に変えて日本に来ることができました。母(イ・ヨンスク氏)は6年前に乳がんにかかり、手術しました。母は完治して今は元気に過ごしています。

――今年1月にソウルの病院に1000万円を寄付したそうですが、これもご両親の病気がきっかけですか?

ええ。私はガンは治療できる病気だと考えています。父はすい臓がんだったのですが、ガンのなかでも一番危険だと聞きました。医師から聞いたのですが、6カ月以上、生きる人を見たことがないと言われるガンだそうです。それでも、父が手術した病院に少しでも治療や研究に役立ててほしいと思い寄付をしました。研究費用が足りないと聞いていたので。それこそ父のためでもありました。少しでも父の病気が治るのであればという気持ちでした。(つづく)

<プロフィール>

アン・シネ/1990年12月18日生まれ、韓国出身。両親との3人家族。身長166センチ、体重53キロ。5歳からゴルフを始め、小学3年のときにニュージーランドへ移住。本格的にゴルフと英語を学び、4年間、同国代表としてプレーした。2008年に母国・韓国でプロ転向し、09年から韓国ツアーに本格参戦。10年に年間2勝して賞金ランキング3位に。15年はメジャーのKLPGAチャンピオンシップを制覇。昨年末、日本ツアーのファイナルQTで45位に入り、今季から日本初参戦。趣味はファッション、音楽鑑賞、フィットネス。英語が堪能でピアノも弾ける。すし、ラーメンなどの日本食が大好き。愛称は“セクシークイーン”。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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