「舞いあがれ!」舞が乗るのは空飛ぶクルマ? 描き始めた未来の希望
最後は舞が舞いあがる。ヒロインと仲間たちが作り出す未来
「最終週に向けて大きく動く週でした」
朝ドラこと連続テレビ小説「舞いあがれ!」の熊野律時チーフプロデューサーは第24週をそう位置づけた。
「舞(福原遥)に子供が生まれ、祥子(高畑淳子)が年をとり五島を去りました。いまの時代を描くうえで、年老いた親とどう暮らすか。その重要な課題を丁寧に描きました。ばんば(祥子)のエピソードは高畑さんが序盤の五島編に続いて、ティッシュが山積みになるほど泣いたそうで、大事に演じてくれました。それから、空飛ぶクルマと、刈谷(高杉真宙)の再登場と盛りだくさんとなりました」
第24週は、気になるむっちゃんが出てきたり(長崎出身の前原瑞樹さん)、祥子の船を継ぐ、次世代の代表として五島出身の川口春奈さんが出てきたりと、ほんとうに盛りだくさんだった。
「JAXAに監修もお願いし、数年後のビジョンを形にします」
なんといっても、空飛ぶクルマ、刈谷先輩。空といえば舞の「得意分野」と第114回では言われ、舞もまんざらではない顔をしていた。
――現実世界でも開発が注目されている空飛ぶクルマはどれくらい描かれるのでしょうか。
熊野「JAXAに監修もお願いし、数年後にはこうなっているのではないかというビジョンを形にします。……と言っても、まさに今、開発中のものですから、ドラマで描けること描けないことはありますけれど。しっかり取材して、ディテール面でリアリティーを損なわないようにしようと取り組んでいます」
――近未来の発明をドラマで先取りすることには見る側はワクワクします。作り手の方々はどんな気持ちですか。
熊野「空飛ぶクルマを研究開発している会社を複数社、取材しました。ハードルを乗り越えながら実現に一歩一歩近づいていく過程の取材は面白かったです。驚いたのは、最初はごく少人数で開発に取り組むところからスタートしていることです。若い人たちが集まって、こんなに小規模なところからスタートして、開発と資金集めに奔走しながら、着実に空飛ぶクルマの実現に近づいていることを知って、衝撃を受けました。こういうことなら、舞が町工場から空に舞いあがることも可能だと確信しました。開発の初期段階に舞がこれまでやってきたことがダイレクトに生かされるなと。最後は舞が舞いあがる。ヒロインと仲間たちが作り出す未来に希望が感じられる、そんな終わり方にしたいですね」
“ロマンチスト刈谷”の再登板
――そこに刈谷先輩が登場です。だいぶ大人になった印象ですが高杉さんの演技はいかがでしたか。
熊野「本人も再登場を楽しみにしてくれていました。再登場した刈谷には変わったことも変わらないところもあります。大学時代の熱い思いはそのままに、社会経験を身につけて人間的な深みが加わり、まだ誰もやったことのない、社会をいい方向にしていくためのものづくりを具体化していく人物を魅力的に演じてくれました。25、26週と、空への夢を舞と一緒に実現していく頼もしいパートナーになっていきます。“ロマンチスト刈谷”の真骨頂です」
連続テレビ小説「舞いあがれ!」
総合:月~土 午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00 ※土曜は1週間の振り返り
BSプレミアム・BS4K:月~金 7:30〜7:45
出演: 福原遥、横山裕、赤楚衛二、山下美月、山口紗弥加、鈴木浩介、長濱ねる、山口智充、くわばたりえ/永作博美、高畑淳子
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太