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「舞いあがれ!」はどこに向かっているのか 制作統括に聞いた

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
「舞いあがれ!」より 写真提供:NHK

第21週は、ここから先の展開に関わっている重要な週

朝ドラこと連続テレビ小説「舞いあがれ!」の撮影は2月10日にクランクアップし、放送は残すところ1ヶ月強となった。舞(福原遥)と貴司(赤楚衛二)が結婚し、そろそろ物語のまとめに入ってくるところ。パイロットから町工場経営へと進路を変えた舞の今後を熊野律時チーフプロデューサーに聞いた。

みんなで舞い上がっていく話

第21週、第99回で、曽根(2代目〈井ノ上チャル〉)、古田(2代目〈湯浅崇〉)が出てきた。曽根の初代は蟷螂襲さんで、古田は初代も2代目も湯浅さんという趣向。町工場の変遷が描かれ、彼らとともに舞がオープンファクトリーをはじめたり、貴司は子供たちを集めて短歌教室をはじめる。

「舞いあがれ!」より 写真提供:NHK
「舞いあがれ!」より 写真提供:NHK

朝ドラはどうしてもヒロイン中心で、その周辺のひとたちの物語になるが「舞いあがれ!」は街ぐるみの活動を描こうとしているように見えるが?

熊野「第21週は、ここから先の展開に関わっている重要な週です。これまでの舞は、IWAKURAをどうにかしようと懸命でしたが、会社の経営もなんとかなって一区切りで、結婚もしたとき、今度はどこに目を向けるかーー。地元・東大阪で起こっている問題に目を向けます。今までは、自分のことばかりで精一杯だった舞が少しだけ視線を広げて、いろいろな人たちと手を携えて、困難を乗り越えていくという話になっていきます。後継者問題も深刻な町工場の2代目の社長たちと繋がって、オープンファクトリーをはじめる舞に対して、貴司は、子供たちを集めて短歌教室を開きます。貴司もこれまで自分の短歌を作ることで精一杯でしたが、短歌の魅力を子どもたちに伝えていきたいという心境の変化が起きていきます。舞と貴司が“社会性”を身に着けたというと堅苦しいですが、『舞いあがれ!』は地域の人たち、同じ社会に暮らしている人たちに目を向けて、アクションを起こし、みんなで舞い上がっていく話なんです。この舞たちの想いはこれから五島とも結びついていきます」

第100回で「スクラム」という言葉が出てきた。朝ドラは終盤、主人公の目標が達成し、物語がまとまり落ち着いてしまうことがよくあるが、今回は、みんなでスクラムを組んで、物事に取り組んでいくというさらなる広がりのある物語になりそうだ。

連続テレビ小説「舞いあがれ!」

総合:月~土 午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00 ※土曜は1週間の振り返り

BSプレミアム・BS4K:月~金 7:30〜7:45

出演: 福原遥、横山裕、赤楚衛二、山下美月、山口紗弥加、古舘寛治、長濱ねる、山口智充、くわばたりえ/永作博美、高畑淳子

作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

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