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静岡の新球団、くふうハヤテが“初陣”で勝利。元近鉄守護神、赤堀監督が「気になった」選手はG戦士の弟

菊田康彦フリーランスライター
くふうハヤテのオープン戦初戦が行われた静岡市のちゅ~るスタジアム清水(筆者撮影)

 静岡県を拠点として今シーズンからプロ野球(NPB)の二軍、ウエスタン・リーグに参入するくふうハヤテベンチャーズ静岡が、初のオープン戦を開催。地元のクラブチーム、静岡硬式野球倶楽部を相手に2対1で勝利して“初陣”を飾った。

イースタン参入のオイシックス戦が中止となり、この日が初戦

 当初の予定では、今季から二軍のイースタン・リーグに参入するオイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブを本拠地のちゅ~るスタジアム清水(清水庵原球場)に迎えて2月23日に行うオープン戦が、くふうハヤテにとって初の対外試合となる予定だった。ところが降り続く雨によるグラウンドコンディション不良で前日に中止が決定し、翌24日に組まれていた静岡硬式野球倶楽部戦が初戦となった。 

 待ちわびたファンが開場前から列を作るなど、天気にも恵まれて983人の観衆を集めたこの試合。くふうハヤテは3回を無安打、無四死球、8奪三振(うち1つは振り逃げ)の先発・早川太貴(24歳、前ウイン北広島)をはじめ、4人の継投で計3安打、1失点に抑え込むなど投手陣の健闘が目についた。現役時代は近鉄バファローズ(現在のオリックス・バファローズの前身球団の1つ)の守護神として5度の最優秀救援投手に輝いた赤堀元之監督も「ストライク先行している感じもあったし、ドンドン追い込めたってことが良かったと思います」と評価した。

 一方で「今日はほとんどサインを出してないので、本当に打つだけになってしまいました」(赤堀監督)という打線は、毎回のように走者が塁上を賑わしながらあと1本が出ず、1対1の同点で迎えた6回に押し出し四球で何とか勝ち越し。アマチュア相手の一戦で今後に課題を残すこととなる中、この試合で「気になった選手」を問われた赤堀監督が挙げたのは、外野手の増田将馬(25歳、前徳島インディゴソックス)の名前であった。

初回の内野安打が「自分のヒット。ああいうふうに稼いでいければ」

「一番を打った増田とかね、やっぱり最初(第1打席)の足の速さとかありますし。その中で、初球からでもいいから走って(盗塁をして)ほしいなとは思ってましたけども、これから足を生かした攻撃もできるなっていうのは実感しました」

 この日、一番・センターでスタメン出場した増田は、初回の第1打席で三塁への緩いゴロに快足を飛ばして内野安打で出塁。さらに5回の第3打席では2死一、二塁のチャンスで初球を叩き、三遊間を破る同点のタイムリーヒットを放った。

 オープン戦とはいえ記念すべきチーム“初安打”を記録し、両軍でも唯一のマルチヒット。試合後、増田は第1打席の内野安打について「あれが自分のヒット。ああいうふうに稼いでいければいいかなと思います」と話すと、赤堀監督が期待する盗塁についても「走れる選手を目指していかないとダメなんで、もう一段レベルアップして頑張って行けるようにします」とこの先を見据えた。

 増田の兄は、読売ジャイアンツでプレーする増田大輝。兄は四国アイランドリーグplusの徳島から2015年の育成ドラフト1位で指名され、入団2年目の途中で支配下契約となった。自身も2022年に徳島に入団し、昨年は66試合で37盗塁を決めて盗塁王のタイトルを獲得。ドラフト候補にも挙がったが指名はされず、退団して新たに誕生したくふうハヤテの一員となった。

 今年からファームリーグに参入するくふうハヤテもオイシックスも、これまでにNPB在籍経験のない選手はドラフトで指名されなければ、一軍を持つ既存のNPB12球団と契約することはできない。独立リーグと違い常にNPBのファーム球団と対戦する環境で、持ち前のスピードをアピールしてこの秋こそドラフト指名を勝ち取ることはできるか。

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フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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