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元DeNA倉本寿彦が新球団くふうハヤテで”新たな挑戦”へ! 「感謝の思いをフィールドで返せるように」

菊田康彦フリーランスライター
くふうハヤテのキャンプ初日、内田打撃アドバイザーの指導を受ける倉本(筆者撮影)

 1月16日に球団名が正式に発表されたハヤテ223改め「くふうハヤテベンチャーズ静岡」が、今シーズンからのプロ野球(NPB)二軍、ウエスタン・リーグ参入に向けて本格的に始動。25日に本拠地のちゅ~るスタジアム清水で、他球団に先駆けて春季キャンプをスタートさせた。

2022年にDeNAを戦力外、昨年は社会人でプレー

「この場に立てて嬉しいっていう気持ちが今、ホントに一番強くて。今日の朝(球場に)来る時も、わくわくドキドキしながら来ました」

 1月下旬にしては暖かな日差しのもと、キャンプ初日の午前の練習メニューを終えてそう話したのは、2022年までの8年間は横浜DeNAベイスターズに在籍していた倉本寿彦である。横浜高校で3年春夏の甲子園に出場した倉本は、創価大学から社会人野球の日本新薬を経てドラフト3位で2015年にDeNAへ入団。2016年にセ・リーグ7位の157安打、同11位の打率.294をマークすると、翌2017年は全143試合にフルイニング出場するなど、正遊撃手として活躍した。

 だが、その後は同じ遊撃手の大和のFA加入などもあって出場機会を減らし、2022年限りで戦力外通告を受けて退団。昨年は古巣の日本新薬でプレーし、11月の社会人野球日本選手権にも出場した。その倉本が「新たな挑戦」の場に選んだのが、NPBのファーム拡大構想のもと、ウエスタン・リーグの新球団として誕生したくふうハヤテだった。

「(くふうハヤテの)球団コンセプトの『挑戦』していくっていうことは、ゼロからのスタートじゃないですか。僕自身ももう1回新たな挑戦をしたいなっていう気持ちでいるところにこういう挑戦の場ができたので、ホントに導かれたかのような道筋というか、こんな新規参入とかなかなかタイミング的にももしかしたら巡り会えないかもしれないんで。なので迷いもなく、すぐやりたいと思って(入団を)決意させてもらいました」

「僕自身はやっぱり勝ちたい。それが一番」

 DeNAを戦力外になった際には「『ここまでかな』っていうのもすごい感じました」という倉本だが、日本新薬を退団した時には「『まだできるぞ』と思って自分自身辞めたので」と、もう一度セ・パ12球団でのプレーを目指す。その上で、新生・くふうハヤテの一員としての目標は「勝つこと」と力を込める。

「僕自身はやっぱり勝ちたい。それが一番最初に来てます。勝つためにやってると思うんで、僕個人の成績もそうですけど、まずチームとしては勝利を第一に考えて、勝つためにできることをやっていきたいなと思います」

 現在33歳の倉本は、チームの野手では34歳の福田秀平(前千葉ロッテマリーンズ)に次ぐ年長。NPB通算667試合出場も福田に次ぐもので、かつてDeNAの二軍監督としてルーキーの倉本を指導したくふうハヤテの山下大輔GMも、その豊富な経験に大きな期待を寄せる。

「チーム、野手を引っ張る選手というか、彼の背中を見て若い選手はやってくれると思う。それを期待してるし、本人にも伝えてあります。あまり口数は多いほうじゃないけども、そういう(チームを引っ張る)意欲はある選手だと、ベイスターズで一緒にやっていて僕は思ってるからね。本人も何が足りなくてクビになったかっていうものもわかってるだろうし、その辺も考えながらまた復活を期してるわけだから、そういう姿勢っていうのも若い選手には良い影響を与えると思う」

”名伯楽”の打撃指導を受け「非常に感覚は良い」

 シートノックでは三塁の守備に就いてハツラツとしたところを見せた倉本は、チームにズラリと並ぶ若い選手たちには「触発されることしかない」と言う。それだけに、オーバーペースにならないよう「ちょっとブレーキをかけながら、自分の体の調子を見ながらやらせてもらえてるんで。ケガだけは絶対しないように、徐々にやっていきたいなと思います」としながらも、「練習もかなりしたいタイプなんで、我慢しすぎも自分にストレスがかかる。若い選手と一緒に全メニューをこなしながら、その中でしっかり自分の時間も作っていいものを開幕までに作っていきたいなと思ってます」と、3月に予定されているシーズン開幕を見据える。

 このキャンプ初日には、広島東洋カープ、読売ジャイアンツなどで40年近くコーチを務めた“名伯楽”内田順三打撃アドバイザーも合流。「僕自身も内田さんに対して興味があったというか、どんな指導をされるかっていうのがあった」と言う倉本も直接指導を受け「僕の打撃を見てこうじゃないかっていう話をしていただいて、体の使い方だったりを実践したんですけど、非常に感覚は良くて。時間もあるんで、しっかりそれを続けて作り上げていきたい」とさっそく手ごたえを口にした。

 DeNAでプロとしての野球人生を歩み始めてから、今年でちょうど10年目。「感謝の思いをフィールドで返せるように、(キャンプ期間の)1カ月しっかり練習して、ファンの皆さんも多くおられると思うんで、なるべくいい姿を見せれるようにやっていきたいなっていう気持ちです」と話す倉本の“新たな挑戦”が、この静岡の地で始まった。

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フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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