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「日米通算2500安打」目前の青木。村上は「最年少100号」も~2021年ヤクルト注目の記録・打者編

菊田康彦フリーランスライター
青木はメッツ時代を含め、メジャー通算774安打を記録(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2021年のプロ野球開幕まで、あと4週間。2月中に予定されていたオープン戦はすべて無観客の練習試合に変更されたが、来週からは3月2日の2試合を皮切りにオープン戦も始まる。

 そこで、今シーズンは2年連続最下位からの巻き返しを図る東京ヤクルトスワローズの選手に期待される記録を、2回に分けて紹介する。まずは打者編。

日米通算2500安打は過去にイチローら3人が達成

 打者の記録で注目されるのは、1月で39歳になった大ベテラン、青木宣親の日米通算2500安打である。これまでNPBで通算2500安打を達成した選手は、東映フライヤーズなどで3085安打を記録した張本勲を筆頭に7人。このほかにイチロー(オリックス・ブルーウエーブ、シアトル・マリナーズほか、4367安打)、松井稼頭央(西武ライオンズ、ニューヨーク・メッツほか、2705安打)、松井秀喜(読売ジャイアンツ、ニューヨーク・ヤンキースほか、2643安打)が、日米通算でこの数字を突破している。

 青木は2004年にヤクルトでデビューし、2012年からはミルウォーキー・ブリュワーズなどメジャー7球団でプレーしたのち、2018年にヤクルトに復帰。メジャーリーグでは通算774安打、ヤクルトでは昨年まで通算1704安打を放っており、合わせて現在2478安打。あと22本で、日本人選手としては4人目の日米通算2500安打達成となる。

 昨年は「20歳の四番」として打率.307、28本塁打、86打点というハイレベルな成績を残した村上宗隆は、通算100本塁打まで35本。歴代では1989年に21歳9カ月で100本塁打に到達した清原和博(当時西武)が最年少記録保持者で、2月2日で21歳になったばかりの村上は、今季中に達成すればこれを更新することになる。

史上4人目の「両リーグ1000安打」がかかる内川聖一

 もっとも「日米通算2500安打」も「通算100本塁打」も連盟表彰の対象外(個人的には、通算100本塁打は表彰対象にしてもいいと思うが…)。一方で表彰対象となる記録達成が複数期待されるのが、福岡ソフトバンクホークスから移籍してきた内川聖一(38歳)である。

 内川は長いプロ野球の歴史でも51人しか到達していない通算2000試合出場まで「23」。昨年まで109人が達成している通算200本塁打までは「4」。さらに過去46人しか成し遂げた者のいない通算1000打点にも、あと「43」まで近づいている。

 ソフトバンクに在籍していた昨シーズンは、一軍出場の機会がなく、これらの記録に向けて前進することはなかった。ただし、ヤクルトでは戦力として期待されており、いずれの記録も今季中に達成する可能性は十分にある。

 プロ入りから2010年まで在籍していた横浜ベイスターズで945安打、昨年まで在籍したソフトバンクでは1226安打をマークした内川は、セ・リーグに復帰した今季、55安打すればセ・パ両リーグ(※1)で通算1000安打を達成する。これは過去に大杉勝男(東映※2、ヤクルト)、落合博満(ロッテ・オリオンズ、中日ドラゴンズほか)、和田一浩(西武、中日)しか成しえていない記録である。

雄平は1000安打達成なら史上8人目の…

 昨年は上半身のコンディション不良もあって打率.254、12本塁打、8盗塁という不本意な成績に終わった山田哲人(28歳)は、通算250本塁打まで「36」、通算200盗塁(表彰対象外)までは「24」。これまでにトリプルスリーを3度成し遂げ、2015から2年連続で38本塁打を放った経験もあるだけに、達成に期待したい。

 また、プロ19年目の雄平(36歳)は通算1000試合出場まで「32」、通算1000安打までは「119」。投手としても通算18勝を挙げており、1000安打に到達すれば、川上哲治(巨人)、藤村富美男(阪神)らに次いでプロ野球史上8人目の「通算10勝&1000安打」達成となる。

 2017年は142安打、2018年は122安打を記録したものの、昨年は出場機会が激減。今季も限られた出番となれば、達成は難しくなる。

 2002年のドラフトで、その雄平の“外れ1位”で大阪近鉄バファローズから指名され、2016年にヤクルト移籍でチームメイトとなった坂口智隆(36歳)は、通算1500試合出場まであと「4」。昨年は故障で29試合の出場に終わった捕手の中村悠平(30歳)は、今季は58試合に出場すれば通算1000試合に到達する。

※1)初出時、「日米両リーグ」となっておりましたので、修正しました。

※2)大杉の在籍中に日拓ホーム・フライヤーズ、日本ハム・ファイターズと変遷。

「2021年ヤクルト注目の記録・投手編」はこちら

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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