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編成部門責任者が意味深発言!この夏カブスは主力選手たちを一掃する?!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
昨オフからトレード話の噂が絶えないクリス・ブライアント選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ここ最近のMLB担当記者の関心事】

 ここ最近、MLB記者たちの間で関心事になっているのが何だかお分かりだろうか。

 もちろん開催を目前に控えたオールスター戦も関心事の1つであり、ジェイコブ・デグロム投手ら選出選手たちが出場辞退を表明する中で、メディアの関心はますます大谷翔平選手に集まり始めているように思う。

 それと同時に彼らの関心事になっているのが、オールスター戦後に控えるトレード期限日(7月31日)が近づく中、各チームがどんな動きをするかで早くも予測が始まりだしているのだ。

 そんな中でカブスの編成部門責任者が意味深な発言を行い、主力選手たちが一気に放出される可能性が出てきている。

【6月下旬からの11連敗で状況が一変したカブス】

 カブスと言えば、新型コロナウイルスの影響で昨オフから予算削減に舵を切り、ダルビッシュ有投手をパドレスにトレードし、カイル・シュワバー選手の契約オプション権を破棄するなど、年俸高額選手たちを放出する措置を講じていた。

 さらにシーズン開幕前も若き主砲のクリス・ブライアント選手のトレード話が燻り続けるなど、彼がシーズン中にチームを去ることになるだろうとの見方がずっと消えることはなかった。

 ところがいざシーズンが開幕すると、チームは5月に19勝8敗の好成績を残すなど、ナ・リーグ中地区で首位争いに加わり続けた。5月31日から6月下旬までほぼ地区首位のつく健闘ぶりで、むしろチームはポストシーズン争いのため補強する立場になっていた。

 そんな状況が一変したのが、6月25日のドジャース戦から始まった悪夢の11連敗だった。チームはあっという間に下位に落ち、7月9日時点で地区首位ブルワーズに8.5ゲーム差をつけられ、3位まで後退している。

【ホイヤー社長「11連敗は明らかに多くのことを変化させた」】

 この状況を受け、昨オフに辞任したセオ・エプスタイン氏に代わり、編成部門責任者を引き継いだジェッド・ホイヤー野球運営担当社長が、地元ラジオに出演し、以下のように話しているのだ。

 「2015年から選手たちを信じているし、彼らは数々の成功を収めてきた。それは変わらない。だが11日前なら、我々は間違いなく買い手側(選手たちを補強する側)に立っており、(他チームの)みんなからそういう内容の連絡を受けてきた。だが今は、どの選手が放出可能なのかという連絡に変わってしまっている。まったくシナリオが変わってしまった。

 人生は目まぐるしく動いている。我々の精神的状態は11日前と変化している。11連敗は明らかに多くのことを変化させた」

【条件次第では主力選手たちを一掃か?】

 このホイヤー社長の発言を受け、カブス担当の記者たちは一様に、今年のカブスは売り手側に立ち、主力選手たちを放出していくことになると予測している。

 その筆頭候補に挙がっているのが、前述のブライアント選手であり、さらにクローザーのマイク・キンブレル投手、チームリーダーのアンソニー・リゾ選手、主力打者の1人ハビアー・バエス選手らだ。

 ブライアント選手とリゾ選手、バエス選手は、シーズン終了後にFAになり、キンブレル投手は、チームが年俸1600万ドルを保証する契約オプション権を有している選手だ。もしチームが彼らを残そうとするなら、来シーズン以降は高額年俸を用意しなければならなくなる。

 逆に彼らを放出すれば、その見返りとして多くの若手有望選手を獲得できるので、チーム再建の道が開けていくことになる。

 すでにホイヤー社長が認めているように、今や他チームはカブスを売り手チームだと考えているようだ。あくまで他チームとの交渉次第になってくるが、上述の4選手がすべてトレード期限日までにチームを去る可能性すらある。

 カブス・ファンにとって、今年はかなり寂しい夏になるかもしれない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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