開幕当初より6キロ球速アップ! 元中日ウェイン・チェンの復活に期待

開幕当初より球速が増し復活傾向にあるウェイン・チェン投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【オールスター期間中に届いた朗報】

 オールスター期間中に、MLB関係者3人と連絡を取り合うことができた。3人とも古くからの友人たちで、皆どこかのチームに所属するスタッフだ。

 基本友人との対話なので雑談を含め取り留めもない話が続く中で、時にはMLB関連の話題に膨らむこともある。そんな中で1人から、非常に嬉しい知らせを聞くことができた。

 「最近のチェンくんは凄くいいんです。チーム内でもチェン(の球速)は94(マイル)出てるって評判になってます」

 チェンくんとは、マーリンズに所属するウェイン・チェン投手のことだ。チェン投手は元中日ということもあり、今でも日本での知名度は高いはずだ。自分も在米時代に、日本人メジャー選手同様に彼の取材に回っていた。

 そんなチェン投手の投球が上向いてきているというのだ。

【開幕当時より球速が6キロアップ】

 その情報を確認すべく早速調べてみたのだが、友人の情報は正しかった。チェン投手は間違いなく、開幕当初とは投球内容が改善してきている。

 MLB関連サイトの『Baseball Savant』が提供しているデータによると、チェン投手の速球の球速が開幕当初よりも約6キロも増しているのだ。

 チェン投手にとって今シーズンのデビュー戦となった3月31日のロッキーズ戦では、速球の球速は平均90.6マイル(約146キロ)で、最速は91.4マイル(約147キロ)だった。

 これがシーズン前半戦最後の登板となった7月3日のナショナルズ戦では、平均球速が93マイル(約150キロ)で、最速は94.2マイル(約153キロ)まで上昇しているのだ。

 もちろん開幕当初より気候条件が良くなり、球速が出やすくなる環境になっているのは間違いない。だからといって球速が6キロも上昇するのは、明らかに気候条件以外の要素があると考えるべきだろう。

 元々チェン投手は中日時代から、150キロを超える球速を誇る速球派投手として活躍してきた投手だ。このデータは、現在のチェン投手が彼本来の投球を取り戻しつつあることを指し示すものと捉えるべきではないだろうか。

【マーリンズ移籍後は負傷の連続】

 2015年オフにマーリンズと5年総額8000万ドル(約88億円)の大型契約を結び、2016年シーズンは台湾人選手として史上2人目の開幕投手を任されるなど、MLB5年目を素晴らしいかたちでスタートした。

 ところがシーズン中に故障に泣かされ、このシーズンは5勝5敗、防御率4.96(22試合登板)と自己ワーストに終わると、翌2016年はシーズン途中で左ひじの内側側副靱帯に部分断裂がみつかり、わずか9試合の登板に留まった。

 トミージョン手術を受けずに復活を目指した2018年も6勝12敗、防御率4.79に終わり、周囲の期待に応えることはできなかった。このシーズンの速球の平均球速は、91.1マイル(約147キロ)に留まり、負傷後のチェン投手は明らかに彼本来の投球を見失っていた。

【チーム内最高年俸選手として厳しい風当たり】

 そんな厳しい状況で迎えた今シーズンは、先発ローテーションから外れ中継ぎに回っていたが、それでも前述通り開幕当初は球速が戻っておらず、ここまで25試合に登板し、0勝1敗、防御率8.18と苦しい投球が続いていた。

 デレック・ジーター氏がCEOに就任した2017年オフ以降、大胆なコストカットを断行し高額選手を次々に放出する中で、今シーズンのチェン投手はチーム内で最高年俸2000万ドル(約22億円)を得ている存在なだけに、現在の成績を考えれば彼に対する風当たりは相当厳しいものになっている。

 まだ投球成績には表れていないが、データを見る限りチェン投手の投球は確実に彼本来のものに近づいているのは間違いない。

 現状を打破するには、シーズン後半戦で華麗なる復活を遂げる以外に方法はない。心からチェン投手の復活を待ち侘びたい。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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