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平均年俸9億円+無期限アンバサダー就任?! 大学バスケの名物コーチが結んだ生涯契約の中身は?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ケンタッキー大と生涯契約を結んだジョン・カリパリHC(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【カリパリHC自らが生涯契約合意を発表】

 大学バスケの名門校ケンタッキー大のジョン・カリパリHCが自身が出演するネット配信番組内で、同校と生涯契約を結んだことを明らかにした。これを受け米主要メディアが反応し、このニュースを一斉に報じていている。

 それらの報道によれば、現在60歳のカリパリHCはまずコーチとして2024年まで契約を更新し、もしそのまま引退したとしても大学のアンバサダーとして一生涯年俸を受け取れるというものだ。

【2019年の総年俸額はプロのコーチ顔負けの11億円!】

 ちなみにカリパリHCは大学バスケの2019年コーチ年俸ランキングで堂々の1位に輝いている(『USA Today』調べ)。その額は972万6643ドル(約11億円)で、そのうち大学から795万ドル(約9億円)が支払われている。米メディアの中には今回の契約延長で年俸額も微増したと報じており、今後も大学から800万ドル程度の年俸が保証されることになる。

 この年俸額はプロリーグのトップコーチに匹敵するものだ。現在NBAで最高年俸をもらっているコーチはグレッグ・ポポヴィッチHC(スパーズ)の1100万ドル(約12億円)で、他スポーツでもNFLではピート・キャロルHC(シーホークス)とショーン・ペイトンHC(セインツ)の800万ドル(約9億円)、MLBではジョー・マドン監督(カブス)ら3人が600万ドル(約7億円)で並んでいる(いずれも『BOYSD BED』のデータを引用)。カリパリHCの年俸がどれだけ破格なのかが理解できるだろう。

【UCLAと激しい争奪戦を展開?!】

 また米メディアの報道によれば、同じく大学バスケの名門校の1つUCLAが昨年12月31日にHCを解任したことにより、カリパリHCを新HCとして迎え入れるべく、ケンタッキー大から許可を得て同HCと話し合いの場を設けることに成功。UCLAから6年で総額4800万ドル(約53億円)の提示を受けたとされている。

 そこで以前からケンタッキー大で指揮を執り続けたいと公言していたカリパリHCに対し、このまま残留を期待する同校から生涯契約を提示し、両者納得の合意に至ったというわけだ。

【プロアマ規定のない米国では大学コーチもプロ同然】

 ちなみに米国のスポーツ界には指導者のプロアマ規定が存在していないので、コーチたちは自由にプロとアマチュアの間を行き来できる。カリパリHCもマサチューセッツ大で実績を積み上げた後、1996年から4年間はNBAでHC及びACを任され、再び大学バスケ界に復帰している。

 2009年にケンタッキー大HCに就任してからは、今シーズンを含め10年間で通算305勝71敗を記録し、2012年の大学王座獲得を含め、計4度の「ファイナル4(NCAAトーナメントでベスト4入り)」進出を果たしており、名実ともに大学バスケ界の重鎮の1人に数え上げられる存在になっている。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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