アルバート・プホルスの左ひざ手術が来季の大谷翔平の起用法に影響するもの

再び左ひざにメスを入れたアルバート・プホルス選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 エンゼルスは現地29日、アルバート・プホルス選手が左ひざの内視鏡手術を受けたと発表した。チーム広報によれば同手術からの復帰には6~8週間程度かかると見込まれており、現地メディアからも今シーズン中の復帰は絶望視されている。

 プホルス選手は2011年オフにエンゼルス入りして以来、ずっと下半身の負傷に悩ま続され続けている。2012年シーズンにひざの手術(左右確認できず)を受けたのを皮切りに、翌13年はシーズン途中で左足の足底腱膜の手術を受け後半戦を棒に振った。さらに15年オフに右足の手術、翌16年オフにも右足の足底腱膜の手術を受けており、毎年のように手術を受けざるを得なかった。また手術を受けることでオフの調整も順調に進まず万全の体調でシーズンに臨めないことも手伝い、近年は守備機会が減りDHに専念していた。

 しかし昨年は3年ぶりに手術を受けずにオフを過ごせた。本人も万全の体調でキャンプインできることを喜んだ。チームも大谷翔平選手の加入により今シーズンは一塁での起用を増やしたい意向を示し、両選手をうまく併用するため、ここまで一塁として70試合(DHで47試合)に出場してきた。過去2年間で守備についたのは35試合だったことを考えれば、ひざにも相当の負担がかかっていたはずだ。

 実際その徴候はあった。7月13日に左ひざの炎症で故障者リスト(DL)入りしており、患部にPFP注射療法を行うとともに10日間の休養を与えられている。だが休養程度で左ひざの状態を戻すことができなかったため、シーズン中の手術を余儀なくされたのだ。結局万全の体調で臨んだシーズンだったにもかかわらず、出場試合数は2013年シーズンの99試合に続く、自己ワースト2位の117試合に終わってしまったのだ。明らかに無理をさせすぎたといえるだろう。

 あくまで“たら・れば”でしかないが、もし今シーズンもDH中心に出場していたら身体への負担は減っていたのは間違いないし、手術は回避できていたかもしれない。いずれにせよエンゼルスとプホルス選手の契約はあと3年残っている。しかも3年間で総額8700万ドル(約97億円)の年俸は全額支払いが保証されているのだ。すでに38歳であることを考えればもうトレードするのは不可能である一方で、今でもある程度の戦力になっているのだから、高額年俸を無駄にしないためにも怪我なくシーズンを乗り切らせるようにどうしても守備の負担を減らすしか策はないだろう。

 そうなれば必然的に大谷選手の起用法にも影響を及ぼすことになる。来シーズンも二刀流を続けさせるのであれば、野手としての出場数を減らすのか、もしくはDH以外での起用法を考えていくしかない。もちろん大谷選手の存在感を考えれば答えは後者しかなく、これまで頑なに崩さなかった日本ハム時代の起用法を変更せざるを得なくなるわけだ。

 シーズン開幕前は大谷選手の加入、プホルス選手の完全復帰がエンゼルスにとって好材料になるはずだった。だが現実は両選手併用のマイナス面が表面化する結果となった。ビリー・エプラーGMはこのオフ、相当大きな決断を迫られることになりそうだ。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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