総動員数1150人!立命館大体育会アスリートが企画立案した社会貢献活動

琵琶湖湖畔に繁殖した外来種植物の駆除活動を行う立命館大体育会アスリートたち

 学生たちが夏休みに突入したばかりの8月2日の昼下がり、滋賀県大津市内の琵琶湖湖岸に同じTシャツを身にまとった若者たちが続々と集まってきた。彼らは立命館大学体育会傘下の各競技部に所属するアスリートたち。これから滋賀県、NPO法人国際ボランティア学生協会(ivusa)との共催による社会貢献活動を行うためやって来た。

 今回の目的は、ここ数年琵琶湖に異常繁殖している外来水生植物「オオバナミズキンバイ」の駆除活動を行うというもの。参加はあくまで自由参加であり、さらに企画立案もすべて体育会本部が仕切った、“学生の意志”のみで実現した活動だ。

 きっかけは些細なことだった。今年度から体育会本部委員長に就任した池上昂志郎(いけがみ・こうしろう)君(4年・自動車部)が6月上旬に琵琶湖に足を運んだことから始まった。

 実は昨年度も前委員長の呼びかけで、『京都への恩返し』をコンセプトの下、体育会アスリート700人を集め京都市街地の清掃活動を実施していた。池上委員長もこの活動を継続すべく、今年度は『滋賀への恩返し』を打ち出し、活動できる場所を探していたのだという。

 「元々は(琵琶湖は)釣りをされる方が多いので、釣りのゴミがないかを探しに行こうかと思っていました。その時に外来魚駆除の団体募集のビラがありまして、それを見て(滋賀県の)環境保全課さんに連絡させて頂いたのが初めてのつながりです」

 滋賀県と連絡を取った結果、外来魚よりもより多くの人数を投入できるオオバナミズキンバイの駆除があることを教えてもらい、池上委員長は即座に実行に移す決断。その中で以前からオオバナミズキンバイの駆除活動を行っているivusaを滋賀県から紹介されたことで、今回は3団体共催というかたちで活動が実現することになった。

 昨年度は清掃活動を呼びかけたのが4月の段階だったが、今年度は6月下旬までずれ込んでしまい、「700人は到底集まらないだろう」(池上委員長)との予測だったという。それでもこの日午前中に体育会総会が実施され、比較的各競技部の活動が少なめだったこともあり、体育会傘下56団体、2060人の内、約50団体、1150人が参加する運びとなった。前年度の清掃活動で、学生アスリートたちが競技部の垣根を越えて集まり、社会貢献活動の面白さを体感していたのも好影響をもたらしたのだろう。

 滋賀県環境保全課、ivusaから作業内容の指示を受けた後、まだまだ暑さの厳しい午後3時過ぎから一斉に駆除作業に取りかかった。湖岸を埋め尽くす若者の姿に地元住民が足を止めて確認するほど、壮大な光景だった。また作業中に滋賀県の三日月大造知事が表敬訪問し、今回の活動に感謝するとともにアスリート達を労っていった。

湖岸を埋め尽くし駆除作業する立命館大体育会アスリート
湖岸を埋め尽くし駆除作業する立命館大体育会アスリート
学生アスリート達を労う三日月・滋賀県知事
学生アスリート達を労う三日月・滋賀県知事

 普段から日々トレーニングを積んでいる学生アスリートによる人海戦術だったこともあり、約1時間の駆除作業で湖岸に生息していたオオバナミズキンバイを綺麗に除去することに成功した。滋賀県単独でこれだけの作業を行うには相当の予算と労力を必要とすることから、環境保全課の職員の1人も「感謝の言葉しかありません」と感激しきりだった。

 「今年度の体育会のスローガンは『勝利の先へ』でした。強いだけのチームだけでなく、応援して頂いている方にも何か還元制を見込めるもの。それが地域ボランティアなのかと考え、(今回の活動に)つながりました」(池上委員長)

 スポーツ庁は来年度から日本版NCAAを立ち上げようとしている。大学スポーツの環境が大きく変わろうとする中、池上委員長の言葉は、今後の大学スポーツの将来を占う上で、あまりに示唆に富んだものだ。大学スポーツが“学生だけのスポーツ”から“地元住民に愛されるスポーツ”に変貌できるのか?今回の立命館大体育会アスリートたちの活動は全国へと普及すべきものだろうと確信している。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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