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元ムネリン同僚外野手が速球左腕投手として鮮烈デビュー!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
俊足強肩の外野手として知られていたアンソニー・ゴース選手(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

『アンソニー・ゴース』という名を聞き覚えのある読者もいるのではないだろうか。かつて2013~15年に川崎宗則選手がブルージェイズに所属しいた際に、2年間だけ同僚だった選手だ。

2012年7月にわずか21歳でメジャー初昇格を果たした俊足強肩の外野手で、当時は期待の有望選手として注目を集めていた。だが結局ブルージェイズでは控え外野手の壁を越えることができず、2014年オフにタイガースにトレードされてしまった。2015年には125試合に先発出場するなど主力入りを果たしたものの、課題の打撃を改善することができず、2016年には再び控え外野手に逆戻り。そのオフには戦力外通告を受けてしまった。

そんなゴース選手に転機が訪れた。昨シーズンの終盤にタイガースから投手転向の打診を受ける一方で、タイガースとマイナー契約を結び直し招待選手としてキャンプに参加。当初はこれまで通り外野手としてオープン戦に16試合に出場したものの打率.237と低迷。遂に自身も投手に転向する意志を固め、キャンプ終了後に行われている延長キャンプに回り、投手としての練習を本格的にスタートさせた。そして今月22日に1Aレークランドに配属されると、早速投手デビューを飾ることに成功した。

詳細についてはMLB公式サイトが報じているのだが、カージナルス傘下のパームビーチ戦に1-5の9回から登板し、1イニングを投げ5人の打者と対戦し1安打1失点1三振1四球という成績だった。これまで高校時代に緊急登板した程度の経験しかないゴース選手が、わずか1ヶ月半の練習でプロデビューを果たしたこと自体驚異的だ。

さらに成績はともかく、初球でいきなり99マイル(約159キロ)を計測。さらに大きく曲がるカーブも披露し1三振を奪うなど、早くも投手としての可能性の高さを披露している。投手デビュー戦のレポートを受けたブラッド・オースマス監督も「ベリー・グッド!」と満足しているようだ。

すでにドジャースが捕手だったケンリー・ジャンセン選手に投手転向を打診し、現在ではメジャー屈指のクローザーにまでなった成功例もある。ゴース選手はまだ26歳でしかも貴重な左腕投手でもあることから、今後の成長次第で近い将来メジャーのマウンドで彼の姿を見ることができるかもしれない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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