900万ダウンロードを誇る人気スマホゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」を手掛ける「Cygames(サイゲームス)」の親会社・サイバーエージェントの2021年度第3四半期連結決算が発表されました。今年2月に配信された「ウマ娘」のビジネスが3カ月フルに乗ったことで、驚異的な利益が出ているのですが、分かりやすく解説してみます。

 一言で言えば、スマホゲームのビジネスは売り上げもさることながら、営業利益の高さです。他の経営者から見れば「うらやましい」というほかなく、この“夢”があるからこそ、ライバルが多い厳しい状況でもさまざまな企業がスマホゲームのビジネスに賭けるのだな……と思わされます。

 サイバーエージェントの3カ月(2021年4月~6月)の売上高は約1922億円で、本業のもうけを占める営業利益は約445億円。売上高の前年同期比は70.3%増でそれ自体もすごいのですが、営業利益の前年同期比は何と440%増です。

 なお同社の三つの事業について分かりやすく説明すると、メディア事業の赤字(38億円の赤字)を広告事業がカバー(52億円の黒字)。そこにゲーム事業の大黒字(442億円)がまるっと乗っています。

 そして、ゲーム事業のすごさが分かるのが、四半期の営業利益の推移です。ゲーム「ウマ娘」を配信する前の2021年度第1四半期(2020年10~12月)の営業利益が約11.3億円。「ウマ娘」を配信した第2四半期(2021年1~3月)は約232億円で、今期(第3四半期)は約442.4億円となります。配信前の第1四半期と今期の営業利益を比べると約40倍に増えました。

 なおゲーム事業の売上高は約923億円で、営業利益率が47.9%になります。経理担当者が見ると、「ありえない」数字にひっくり返るレベルです。参考までに、業績絶好調の任天堂のここ1年分(4回)の四半期の営業利益率は33.7%~40.4%という、これまたとんでもない数字で推移していますが、それを上回っています。事業規模が違うとはいえ、この営業利益率は恐るべし。DeNAやグリーの全盛期を思わせる業績です。

【参考】グリーやDeNA 新興ゲーム会社の苦戦なぜ続く

ゲーム事業の営業利益のグラフ(四半期)。2021年度の2Q(第二四半期)から一気に跳ね上がっている。過去で見ても突出しているのが分かる。=サイバーエージェントの決算資料から
ゲーム事業の営業利益のグラフ(四半期)。2021年度の2Q(第二四半期)から一気に跳ね上がっている。過去で見ても突出しているのが分かる。=サイバーエージェントの決算資料から

 もちろんゲーム事業のすべてが「ウマ娘」ではないのですが、四半期の推移と、決算の資料を見ても「ウマ娘」の比率が突出して高いのは明らかです。もし「ウマ娘」以外のヒットが寄与していれば、決算で言及しないといけません。

 そして「営業利益が442億円」といわれても、額が大すぎて「?」となるので、例を挙げます。家庭用ゲーム機用ソフト(分かりやすく5000円に設定します)が100万本売れたと仮定すると、売り上げは50億円になります。1000万本売れたら500億円です。それを念頭に置くと、売り上げではなく「営業利益」がたった3カ月で442億円を稼ぐすごさが分かるでしょう。

 ちなみに28日に決算が発表された翌日には、サイバーエージェントの株価が落ちていますが、これは「ウマ娘」頼みの決算になったこと、「好材料が出尽くした」と判断されたとみられます。大ヒット作を出せば、業績に対する依存度は必然的に高まるので、仕方のないところでしょう。

サイバーエージェントの株価推移。決算発表のあった翌日の29日から落ちたのが分かる=グーグルファイナンスから
サイバーエージェントの株価推移。決算発表のあった翌日の29日から落ちたのが分かる=グーグルファイナンスから

 今後のポイントは、第4四半期のゲーム事業の営業利益です。通期の営業利益予想(1000億円)から考えると、「手堅く予想しても3カ月で200億円以上は利益が出る」と判断していることになります。もちろん本音ではそれ以上……今期なみの400億円を狙っているのでしょう。3カ月後の結果はどうなるでしょうか。