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ゲームとの「適切な距離」の置き方 三つの方法と課金対策【#コロナとどう暮らす

河村鳴紘サブカル専門ライター
スマートフォンを操作する少年(写真:アフロ)

 新型コロナウイルスを経験したことによって、私たちの暮らしは今後どのように変化するのでしょうか。Yahoo!ニュースの「みんなの意見」を参考に、私なりの見解を述べたいと思います。

 緊急事態宣言が解除され、全国的に学校が再開されました。ですが、自粛開けは「『あつ森(あつまれ どうぶつの森)』をやる時間がなくなった」という悲しみのツイートもあちこちで目にしました。不規則な生活になりがちだった“長い春休み”から、規則正しい学校生活に戻ってからしばらくたちますが、いまだにペースを取り戻せない人もいるのではないでしょうか。

◇「やる時間ない」は「アラート」

 「ゲームとの適切な距離」とは、普通の学校生活を過ごしつつ、ゲームも違和感なく楽しめる状態を意味するため当然ながら個人差があります。受験生であれば、遊ぶ時間が減り、より厳しくなるのは、指摘するまでもないでしょう。仕事に追われる大人も同じです。

 「『あつ森』をやる時間がなくなった」と思うのは、「適切な距離」が崩れていることになり、今風にいえば「アラート(警報)」です。本来は学校があるのが普通で、授業に使う時間をゲームに費やしたこと自体が、イレギュラーの話だからです。

 2019年9月、総務省が発表した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、全年代(13~69歳)の平日1日あたりのネットの平均利用時間で、「オンラインゲーム・ソーシャルゲームをする」という回答は15.8分でした。順位的にも7項目中5番目にすぎません。ところが10代では45.1分、20代では26.2分。いずれも上から3番目で、若い世代が突出してゲームに時間を割くのは事実です。ゲーム依存の注目が、若い世代に向けられるのはそれなりの理由があるわけです。

出典:総務省 画像制作:Yahoo! JAPAN(総務省『平成 30 年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書』を元に作成)
出典:総務省 画像制作:Yahoo! JAPAN(総務省『平成 30 年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書』を元に作成)

 ともあれ「狂い」が生じた習慣は修正しないと、「狂った習慣」のほうが習慣となりかねませんから、早めの軌道修正が必要となります。問題は、それをどうやって調整するのかですね。

 そこで、普通の暮らしに戻すための、ゲームとの「適切な距離」の置き方について、三つの方法を紹介したいと思います。

◇1. ゲームの“魔法”を外す

 第一の手で、最も有効なのは、ゲームを続けるという“魔法”を外すことでしょう。特に注意が必要なのは、毎日ログインすることでボーナスを提供したり、毎日遊ぶクエスト(任務)を用意したりするタイプのゲームです。

 これは、無料のスマホゲームの基本的なシステムですが、「あつ森」もこの仕組みを組み込んでいます。「あつ森」はニンテンドースイッチ用ソフトで買い切り型のゲームではありますが、それだけに際限なくゲームにのめり込めるわけで、注意する必要があるのも確かです。

 なぜそんな仕組みにしているのか?といえば「ゲームをプレーする習慣」をつけさせるのが狙いだからです。特にスマホゲームは、最終的な課金者を増やすため、いかにその母体となるユーザー数を増やし、継続的にプレーする数を増やすかを前提としています。

 だから対策としては、毎日あるクエストを義務にしない、ログインボーナスを狙わないのが有効と言えます。「やらないともったいない」「損した気分になる」というのは、ゲーム側に仕組まれていることなのです。

 学校のテストなどで「出題者の考えを読め」というのは、テスト攻略のポイントでもありますが、ゲームも同じです。ゲーム開発者側の考えを読むのです。そこに気付けば「ゲームをしなかったから損と考えない」「無理をしない」と落ち着いて考えることができ、1日プレーしなければ、ゲームの“魔法”は解ける可能性があります。うまくいけば、自然と距離を置くことができるでしょう。

 より具体的に言えば、まる1日ゲームを止めるという方法もあります。それが実行できれば、何の心配もありません。

 ちなみに「ゲームを止めるのは無理」だからといって、それはゲーム依存ではありません。ゲーム依存の定義は厳しく「12カ月以上」「ゲームを遊ぶ習慣をコントロールできない」「現実世界で悪影響を及ぼしてもゲームをやめられない」というものです。ただし、自分の生活サイクルが「ゲームにより偏っている」ということは認識しておくと、今後の警戒につながるはずです。

原案:河村鳴紘(WHOの定義を下に書かれた文章を元に作成)/画像制作:Yahoo! JAPAN
原案:河村鳴紘(WHOの定義を下に書かれた文章を元に作成)/画像制作:Yahoo! JAPAN

◇2. プレーを苦行に感じたらチャンスと考える

 ゲームを止められないのは、利用者がダメだからではありません。ゲーム開発者も優秀ですから、いかに続けさせるか、ゲームの“魔法”を切らないようにするかを考えています。スマホゲームで、ランキングを表示して優秀なプレーヤーに良いアイテムを用意したり、期間イベントを開催して達成したプレーヤーにはご褒美のアイテムを用意したりするのも、そうした流れからです。

 ゲームのイベントを心から楽しんでいるのであれば良いのですが、アイテム欲しさに苦行のようにプレーしているのであれば、その勢いで手を止めるチャンスです。

 これが二つ目の方法です。ゲームが苦しくなったり、惰性で続けているように感じたりしたら、そのまま離脱できる可能性が高いといえます。

 もし「ここまで時間を費やしたからゲームを続けないともったいない」という考えが浮かんだときは、「永久に同じゲームを続けるのは無理」という厳然たる事実を思い出してください。別に一度やめても、再び遊ぶことも可能です。気分転換に違うゲームを遊ぶというのも、一つの手だったりします。

 特に苦しんでまでゲームを遊ぶ必要はありません。本当に苦しいことに耐えなければならなるときは、人生で必ずやってきます。根気はそのときまで取っておきましょう。

◇3. プレー時間をお金に換算してみる

 最後の手は、経済学から攻める方法です。プレー時間を、アルバイトの時給(1時間1000円など)で思い浮かべてください。半日費やせば1万円相当を費やしていることになりますから、それで我に返る人もいるかもしれません。そして時間はお金に換えられますが、お金は時間に変えられません。学生時代はなかなか気づけないのですが、時間はお金より貴重なのですね。

 ゲーム自体は、ツールに過ぎず、善でも悪ではありません。ましてや「あつ森」は友達とのコミュニケーションツールになっている人もいるでしょう。通勤や待ち時間などの「隙間時間」を使い、スマホゲームが心のリラックスが得られたり、ワクワクしたりするのであれば、何ら問題はありません。「隙間時間」で足りず、まとまった時間として必要と思った時が、要注意なのですね。

 条例の成立過程に疑問符が付き、憲法違反の指摘までされている、香川県のゲーム規制条例ですが、一つ参考にできることがあるとすれば、自分で守れるであろうルールを決めてしまうことです。自分のプレー時間を振り返り、際限なく遊ぶのではなく、「◎時間だけ」「◎時まで」とするのは、一つの方法です。

◇課金対策 紙幣を利用

 課金対策の話もしておきます。私が試したのは、ゲームに課金をするとき、使う金額の紙幣を財布から抜き取り、机の見える場所に張るという方法です。プリペイドカード課金も同様ですね。そして1カ月たってどれだけお金を使ったかを確認してみてください。私はあるゲームで、10回連続3000円のガチャを3度回し、9000円になったときに我に返りました。

 課金の歯止めが効きづらいのは、お金を使う実感が薄いからで、クレジットカードの使い込みをしてしまうのと似た側面があります。全員がこの方法で止められるわけではありませんが、一つの方法として試してみるのもいかがでしょうか。

◇規則正しい睡眠を

 ゲームに限らず、受験勉強にもいえることですが、何事も「適切な距離」は大切です。それは、健康な生活を送る上で、睡眠時間の確保に直結するからです。

 ゲームをし過ぎると何がまずいかといえば、勉強時間を削るならまだしも(それも問題ですが)、睡眠時間を削る可能性が高いからです。そして生活のリズムが崩れて、不規則になるからですね。若いと無理ができるので、余計に注意ともいえます。習慣は、規則正しい生活を送るカギです。

 ゲームを適度に遊ぶのは、映画鑑賞や読書と同じで、多くの知識をもたらし、人生を豊かにしてくれるのも事実です。「桃太郎電鉄」で都道府県と特産品を覚え、「信長の野望」で戦国武将の名前と旧国名を覚えて歴史に詳しくなり、オンラインゲームにのめり込んで英語に興味が持てた……という人は少なくないはずです。

 大切なのは自分を適切にコントロールすることで、それは人生を生きていくための不可欠な能力であり、ゲームを趣味として長く楽しめるかにもつながっています。その一助になれば幸いです。

※記事をお読みになって、さらに知りたいことや専門家に聞いてみたいことなどがあれば、ぜひ下のFacebookコメント欄にお寄せください。次の記事作成のヒントにさせていただきます。

また、Yahoo!ニュースでは「私たちはコロナとどう暮らす」をテーマに、皆さんの声をヒントに記事を作成した特集ページを公開しています。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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