「どうぶつの森」の驚異的人気 20年前から時代先読みの“怪物”ゲーム

任天堂の人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」(c)2020 Nintendo

 任天堂のゲーム「あつまれ どうぶつの森」が3日間で188万台を販売し(ファミ通調べ、ダウンロード版の数字は含まず)、ニンテンドースイッチ用ゲームとしては、過去最高の初速の売れ行きを示すなど絶好調です。ツイッターでは、同作を楽しむ様子が次々とアップされ、人気ぶりを裏付けています。その人気の理由を振り返ってみます。

 ◇ドラクエ、FF超える“怪物”ゲーム

 「どうぶつの森」シリーズは、言葉を話す「どうぶつ」が暮らす場所でプレーヤーが交流し、釣りや虫捕りなど“スローライフ”を楽しむ、自由度の高いゲームです。最新作「あつまれ どうぶつの森」は、手つかずの自然が残る無人島に移住したプレーヤーが自身でものを作り、訪れる仲間と交流し、島を発展させていきます。

 実はこのシリーズ、ゲームファンの間でバイラル(口コミ)的な火の付き方をしたのですが、販売数を見るとそのすさまじさが分かります。2001年に発売されたNINTENDO 64版は国内だけで約21万本の販売(ファミ通調べ、以下データも同様)にとどまりましたが、ゲームキューブ版は約64万本と約3倍に成長。ニンテンドーDS版は約524万本とブレークしました。3DS版でも約448万本を売っており、単体の販売数を見れば「ドラゴンクエスト」シリーズや「ファイナルファンタジー(FF)」シリーズを超える“怪物”ゲームです。

 ◇二転三転して誕生

 「どうぶつの森」シリーズの特徴は、ゲームにつきもののゲームオーバーがなく、すき間の時間で手軽に遊べることです。普段はゲームを遊ばない人も安心できるし、やりこみ要素もあります。完成度の高さゆえに同シリーズは、相当に練って開発されたように見えますが、実は最初はRPG的な方向で開発されたものの断念、結果としてこの形になっています。

【参考】<任天堂>社長が訊(き)く ゲームセミナー2008 ~『どうぶつの森』ができるまで~

 初代「どうぶつの森」は、本来のプラットフォームで発売できず、本来のゲーム内容を削られながらも「コミュニケーション的な要素を重視」というゲームの芯の部分がぶれなかったわけですね。ちなみにゲーム開発では、内容がカットされることで、テーマが先鋭化されてやりたい方向性が明確になり、完成度がアップするということもあります。

 また世界観やキャラ作りから入らず、先にゲームシステムを組んだのもポイントです。開発時に「どうぶつ」たちは4本足で歩行でしたが、「コミュニケーションを取るのに不都合」と考えて2足歩行に変えた点にすごみを感じます。そして約20年前のゲームなのに、今のSNS時代を予想したような、コミュニケーション不足を解消させる要素を入れる先見の明に驚かされます。

 ◇SNS映えするゲーム画面 新型コロナも“追い風”

 「あつまれ どうぶつの森」は、シリーズの中で前評判はかなり高かったと言えます。DS版や3DS版はヒットしましたが、携帯ゲーム機ゆえに画質で劣る面がありました。しかし今回は単純に画面の美しさが相当パワーアップしています。よく「ゲーム画面の美しさはゲームの面白さとは関係ない」といいますが、同作に関して演出の強化は、確実にゲームの付加価値を高めました。夕焼けや虫の描き込み、キャラクターのしぐさ、細かい点にニヤリとさせられる人もいるのではないでしょうか。

 配信済みのスマートフォン版で獲得した客層も取り込み、「あつまれ」と言わんばかりの流れになっています。そもそもスマートフォン版は、基本利用料無料でアイテム課金のため、ゲームの仕組み的に制約もありました。専用ゲーム機の方が、やれることも多く、ゲームとしての面白さをいかんなく発揮するのは当然です。

 今回はもともと完成度の高いゲームシステムはそのままに、大ヒットゲーム「マインクラフト」のような「サンドボックス」的なシステムも持ち込みました。ツイッターなどでは、楽しそうに遊ぶゲーム画面が次々にアップされています。ゲーム画面をアップするのは、別のゲームでもできることですが、「あつまれ どうぶつの森」は、キャラクターデザインも愛らしく、リアルのCGとはまた違う、魅力的な絵画のように見えます。SNS的に写真映えがしますから、ゲーム画面を見た人は思わずゲーム自体をやりたくなります。自分のプレーを自慢しようとネットにアップすれば、それが強烈な“宣伝”になっているわけです。

 また、新型コロナウイルスの流行対策として、外出を自粛する“巣ごもり”も同作の“追い風”になりそうです。私も一人のユーザーとして、魚釣りや虫捕り、お花の水やりに精を出しながら、喜んで家にこもっていたりします。

 ゲームのパッケージある売り文句に「春夏秋冬、四季折々のくらし」や「365日」とある通り、1年間遊ばせる気満々なのでしょう。「どうぶつの森」の特別デザインのニンテンドースイッチ本体も売り切れ状態が続く上に、店によってはパッケージソフトも品薄でした。ダウンロード版の販売数、米欧を含めての売り上げでどんな驚異的な数字が出るのか楽しみにしています。

ゲームを愛するものの、ゲームには愛されないヘタレなゲーマー。ゲーム好きが高じて、記者として兜倶楽部にも出入りし、決算やメーカーの各発表会、PS3の米国発表会、中古ゲーム訴訟、残虐ゲーム問題など約20年間ゲーム業界を中心に取材をする。合わせてアニメやマンガにも手を伸ばし、作品のモデルになった場所をファンが訪れる“聖地巡礼”現象も黎明期から現地に足を運ぶなどしている。マンガ大賞の選考員も担当しており、好きなジャンルはラブコメ、歴史もの。

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