“本命”はPS5 気になる価格と日本の発売時期 2020年ゲーム業界展望

ソニー本社ビル=著者撮影

 PS4の累計出荷数が1億台を超え、「ポケットモンスター ソード・シールド」(スイッチ)は初週だけでソフトの世界出荷数が600万本を突破するなど、ゲーム業界は昨年も多くの話題がありました。そこで今年のゲーム業界の展望について、まとめてみました。

 ◇“本命”PS5 価格に注目

 現段階で今年の“本命”は、2020年の年末商戦期に発売予定しているソニーの新型ゲーム機「プレイステーション(PS)5」であることに異論を唱える人はいないでしょう。発売時期と一部の仕様は明かされたものの、本体のデザインをはじめ大半の情報はベールに包まれており、今後は少しのチラ見せ情報でさえ話題になりそうです。

 その中で最大の注目は価格でしょう。PS4の発売時と同じ約4万円にするのか、やや高めの約5万円なのか、もっと上なのか……。価格は、ゲーム機のコストはもちろん、ビジネスモデル、ライバルの動向など、複雑な要素が絡みます。そして、価格はゲーム機の普及に多大な影響を与えます。低すぎるとビジネスの足を引っ張り、高すぎると普及の阻害になるからです。確実に言えることは、どんな価格になっても、皆さんの意見が非常に盛り上がることでしょう。

 それに続くポイントは、日本市場の発売時期でしょうか。「PS5は2020年の年末商戦期に発売予定」と発表はありますが、どこにも「日本」「世界同時発売」の文字はありません。そして今の据え置き型ゲーム機の主力市場は米欧です。PS4のときは発売からしばらくの間、米欧で品不足になりましたが、日本では普通に売っていました。日本市場の縮小を踏まえると、PS5はまず最大のターゲットである米国に向けて先行発売し、日本の発売時期が2021年になることは、高確率であり得るでしょう。もちろんこの予想が外れて、日本で今年中に遊べることを祈っていますが……。

 それでも、東京ゲームショウでPS5の試遊機が出展されたら、ネットはもちろん、新聞やテレビでも大きく取り上げるでしょう。日本では市場が縮小しつつある据え置き型のゲーム機ですが、新ハードの発表は華がありますね。

 ◇スイッチの“成績”も注目 欧米で他メーカーのソフト売れるか

 “対抗”の話題は、ニンテンドースイッチの今年度の世界出荷数ですね。今年度(2020年3月期)の年間出荷目標の1800万台、そして大台の2000万台の二つの数字が重要です。まず1月30日に発表される任天堂の第3四半期決算で、年末商戦の結果が明らかになります。そして4月末発表予定の通期決算で今年度の“成績”が確定します。私は1800万台の到達は間違いないと予想していますが、もし目標に達成しない場合は、ゲーム専門媒体以外のメディアに「スイッチが苦戦」などと厳しく書かれてしまうでしょう。もちろん、ゲームファンは「スイッチはめちゃくちゃ売れている!」とフォローしてくれるでしょうし、事実はそうなのですが、昨年大みそかの「NHK紅白歌合戦」の視聴率の評価が厳しいのと同じく、“売れっ子”には厳しい目が向けられるのです。

 そして2000万台突破のキーと、1800万台達成の“保険”になるのが、3月20日発売予定の「あつまれ どうぶつの森」となります。「どうぶつの森」シリーズのユーザーは女性などライト層が多く、ゲーム機を新たに購入する顧客が見込めるからですね。3月末の決算締め切りまでわずか約10日間ですが、本体の数字積み上げにどこまで貢献できるかですね。

 スイッチには、もう一つの注目ポイントがあります。携帯ゲーム機に特化したニンテンドースイッチライトの売れ行きです。特に欧米でどこまで普及するかです。任天堂以外のメーカーは、携帯ゲーム機向けソフトが欧米で売れずに苦戦した経緯があるため、今のタイミングで専用携帯ゲーム機を投入したことに疑問をもってしまうわけです。

 そういう意味で言えば、ニンテンドースイッチのビジネスモデルは巧みです。スイッチのソフトを出しさえすれば、メーカーの意思にかかわらず、基本的には据え置き型と携帯ゲーム機の両方に展開することになるわけです。理想を言えば、スイッチライトが欧米で売れて市場が拡大し、かつその流れで任天堂以外のメーカーのソフトが売れる流れになることでしょう。この流れは、他社も含めた話になるだけに、任天堂の決算だけでは見えづらいものがありますが、今後のポイントではないかと見ています。

【解説】スイッチライトの投入 携帯ゲーム機市場の苦戦を織り込んだ手堅い戦略

 ◇FF7リメイク ビジネス面でも注目

 今年の展望という意味では、「ファイナルファンタジー(FF)7リメイク」(3月3日発売予定)にも触れないわけにはいきません。同作は既存ゲームを作り直す「リメークもの」ですが、グラフィックやゲームシステムを一新しており、従来の「リメークもの」とは大きく異なります。注目は、1本でゲームが完結しない分作のビジネスモデルでしょう。顧客単価のアップにつながり、巨額の開発費を回収しやすいなどビジネス的な利点があります。

 この手法は、一部のファンから批判もあるわけですが、結果としてゲームが面白ければ売れるわけで、そうなるとかつての批判は忘れ去られます。かつてリメークゲームは「焼き直し」と言われ、「リメークを出すなら新作を出せ」と批判の対象でしたが、リメークゲームの価値と意味が認識された今では、その批判はかなりトーンダウンしています。ともあれ、FF7リメイクの続編のためにも、一発目にしくじることは許されないわけで、その意味でも注目でしょう。

 他にも、昨年に国体の文化プログラムとして開催されたeスポーツ、やや停滞気味ではあるものの広く普及したスマホゲーム、将来性に期待がかかるVRなどもあります。目立った変化はないかもしれませんが、着々と広がったり、継続されることが大切です。

 エンタメらしく、世間を驚かせる話題になることが一つでも多く起きることを期待しています。

ゲームを愛するものの、ゲームには愛されないヘタレなゲーマー。ゲーム好きが高じて、記者として兜倶楽部にも出入りし、決算やメーカーの各発表会、PS3の米国発表会、中古ゲーム訴訟、残虐ゲーム問題など約20年間ゲーム業界を中心に取材をする。合わせてアニメやマンガにも手を伸ばし、作品のモデルになった場所をファンが訪れる“聖地巡礼”現象も黎明期から現地に足を運ぶなどしている。マンガ大賞の選考員も担当しており、好きなジャンルはラブコメ、歴史もの。

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ゲームやマンガ、アニメなどサブカル分野を取材すること20年以上。現場から経営までの取材経験を元に、取材側から見える視点、今だから明かせる昔話、業界の矛盾などに切り込みます。ネット向け記事を執筆して多くの話題を提供した実体験を元に、記事を作る上での“仕掛け”なども明かします。記事の制作が効率優先のお手軽になりつつある現状を勝手に憂いつつ、情報の発信方法に悩む皆様の“助け船”になれば幸いです。

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