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J1開幕戦で評価を上げた気鋭のタレント・ファイヴ

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

Jリーグが開幕、金曜日の川崎フロンターレvs横浜F・マリノスにはじまり、土曜日に8試合、日曜日にははアビスパ福岡vs名古屋グランパスが行われます。

開幕前には「若手に負けるな。2021年さらに輝くオーバー30のJリーガー5人」と「J1で大出世が期待される”個人昇格組”セブン」を掲載しましたが、開幕戦の土曜マッチまでで目を引いた選手5人を筆者の目線で選びました。

井上潮音(ヴィッセル神戸)

東京ヴェルディから新加入の俊英は左サイドから積極的な仕掛けでチームの攻撃に勢いをもたらした。セカンドボールを拾ってガンバの守護神・東口を脅かすなど、直接ゴールにこそ絡まなかったが、幸先の良いスタートを切る原動力の一人になったことは間違いない。個人の仕掛けだなく正確なパスワークにも関われるタイプで、後々イニエスタとの共存できる布陣が取り入れられるかにも注目したい。

旗手怜央(川崎フロンターレ)

本来はアタッカーだが、チーム事情で左サイドバックに抜擢されると、持ち前の機動力といざ攻め上がった時のセンスを発揮。三笘薫の背後から旗手が飛び出してくる構図は対戦相手からしたら脅威以外の何者でもない。守備もゼロックスの時から短期間で改善された感がある。もちろん本職のポジションでも期待したいが、左サイドバックは日本代表でも層が薄いポジションだけに、新境地を開拓していく可能性もある。

大橋祐紀(湘南ベルマーレ)

ホームで惜しくもサガン鳥栖に敗れた湘南ベルマーレだが、FWで起用された大橋のパフォーマンスはポジティブな要素。開幕前のカンファレンスでキャプテンの石原広教が一推し選手として名前をあげたが、両チームのスタメン選手の中では最も鋭い動きを見せており、カットインからクロスバー直撃のシュートもあった。ただFWは結局ゴールを決めるか決めないかで評価される。ここから先は結果重視で厳しく観ていきたい。

原輝綺(清水エスパルス)

鹿島アントラーズを相手にアウェーで3−1の快勝を飾った清水。ロティーナ新体制でニューフェイスが躍動、特にサガン鳥栖から加入した原は右サイドバックから守備をオーガナイズして、鹿島の攻撃を外側に限定させた。攻撃面ではインサイドにも関わりながら、タイミングよく攻撃参加。終盤には勝利を決定付けるオウンゴールを誘発した。権田修一のビッグセーブ交代選手の活躍が目立った試合でもあるが、ボランチやセンターバックもこなすマルチロールによるサイドからの攻守のオーガナイズ無くして語れない。

西尾隆矢(セレッソ大阪)

開幕節の最大のサプライズと言えるかもしれない。もっともU−23やアンダー代表などでプレーを観ているファンからすれば、ようやく大舞台で期待通りの活躍をしてくれ他という評価かもしれない。人に強いだけでなくバランス感覚があり、新たなディフェンスリーダーと注目される瀬古歩夢との連携も抜群。オルンガは移籍したものの、江坂任、クリスティアーノ、呉屋大翔という危険なアタッカーたちを完封して見せた。セレッソは新加入の鳥海晃司が負傷離脱中。さらにダンクレーという実績十分の大型センターバックを獲得して話題を集めたばかりだが、彼らの合流後もそう簡単にポジションを開けわたさないだろうと思えるだけの存在感を放っており、さらなる成長も見込める。アカデミー育ちのセンターバックコンビというファンサポーターには夢のような陣容で、昨シーズン以上の躍進なるかどうか。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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