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強い台風28号の北上と木枯らし1号

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
台風28号は来週、日本の南を進む見通し(23日午後3時現在、ウェザーマップ)

 近畿地方は22日、2005年以来13年ぶりに遅い木枯らし1号となった。一方、東京地方の木枯らし1号は吹く気配がない。台風28号は強い勢力となって北上中、来週には日本の南に達する見通し。

13年ぶりの遅い木枯らし1号

 22日(木)は近畿地方で木枯らし1号が吹きました。昨シーズンと比べ23日遅く、11月下旬以降は2005年以来13年ぶりです。22日午後は西日本で冬型の気圧配置となり、大阪では北西の季節風が強まりました。

 木枯らしは晩秋から初冬にかけて吹く、強く冷たい北風のことです。東京地方と近畿地方は「木枯らし1号」として、気象台から発表されます。

東京の木枯らしはいつ?

 東京地方の木枯らし1号は例年、11月5日頃、今年はまだです。東京地方と近畿地方ではどちらが先に吹くのか、調べてみると、

東京地方と近畿地方の木枯らし1号を調べたもの(著者作成)
東京地方と近畿地方の木枯らし1号を調べたもの(著者作成)

 はっきりとした傾向はないようですが、最近10年では同じ日、または東京地方が近畿地方より遅い年が目立ちます。関東平野は北西側に高い山が連なっているため、北風の侵入が抑えられるのでしょうか。

 この先一週間の予想天気図をみても、はっきりとした冬型の気圧配置は現れない予想で、東京地方の木枯らし1号はもう少し先になりそう。

 木枯らし1号の記録が残る1951年以降、最も遅い木枯らし1号は1981年11月28日です。しかし、木枯らし1号の発表は11月末までという期限があるため、記録にこだわっても意味はありません。実際、木枯らし1号の発表がなかった年もあります。

強い台風28号北上中

 今月20日に発生した台風28号は強い勢力となって北上を続けています。今シーズンは6月から台風の発生が多く、今月もこれまでに3個発生しました。

2018年の台風の月別発生数(著者作成)
2018年の台風の月別発生数(著者作成)

 11月も平均して2個から3個程度発生しますが、北緯20度を超えて北上する台風は少ないです。台風28号は強い勢力を保ったままフィリピンの東海上を北上し、26日(月)から28日(水)にかけて日本の南を進む予想です。

 この時期に、日本列島に接近した台風としては2015年の台風26号があります。この台風は11月26日から27日にかけて小笠原諸島に接近し、父島では大雨になりました。

記録的に暖かい11月

 2015年と聞いて、思い当たる方がいらっしゃるでしょう。エルニーニョ現象が最大級となり、記録的な暖冬となった年です。

 今月の平均気温をみると、全国的に気温が高く、とくに北・東日本は平年を大幅に上回っています。初雪が遅れ、木枯らし1号も遅い、エルニーニョ現象は季節の変化を小さくするゆえんです。

2018年の地域平均気温平年差(11月上旬と中旬、著者作成)
2018年の地域平均気温平年差(11月上旬と中旬、著者作成)

 台風28号の動きによっては沖縄や小笠原諸島で雨が降りやすくなるでしょう。また、台風は暖かい空気を運んできます。来月にかけても、西・東日本と沖縄では気温の高い状態が続く可能性が高く、暖かな師走となりそうです。

【参考資料】

気象庁:1か月予報(11月24日-12月21日),2018年11月22日発表.

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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