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東京で34.9度 暑さの長時間化が深刻に

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
東京、名古屋、大阪の都市圏では朝の気温が高いことが特徴(推計気象分布)

 東京は25日、最高気温34.9度を記録し、午後7時でも30度を超えている。コンクリートやアスファルトが熱を放出し、夜間でも気温が下がりにくい。30度を超える時間が長くなる傾向にある。

猛暑日と熱帯夜、どちらが多い?

上空約1500メートルの気温(2017年8月25日午前)
上空約1500メートルの気温(2017年8月25日午前)

 

 25日の東京は午前8時に気温が30度を超え、午前中から厳しい暑さとなりました。関東地方の上空約1500メートルの気温は24.8度と平年と比べて7度以上高く、記録的な暖気です。日本海から南下してきた前線の南側に暖かい空気が流れ込みました。

 厳しい残暑の原因は暖かい空気ばかりではありません。夜間に気温が下がりにくいことも大きな要因です。

 この夏全国で猛暑日が最も多いのは大分県日田市の23日です。さぞかし熱帯夜も多いと推測しますが、実際は猛暑日より9日少ない14日です。一方、東京の猛暑日は2日ですが、熱帯夜は15日もあります。

2017年夏 東京(左)と大分県日田市(右)の暑さ比べ(猛暑日と熱帯夜)
2017年夏 東京(左)と大分県日田市(右)の暑さ比べ(猛暑日と熱帯夜)

東京と日田、どちらが暑い?

 時間スケールで暑さを考えると、猛暑日が瞬間的な暑さだとすれば、熱帯夜は持続的な暑さを示していると思います。東京と日田では暑さの質が違うのです。

 気象庁のヒートアイランド監視報告によると、1996年から2005年までの10年平均で、東京の気温30度以上の合計時間は一年間に345時間、20年前と比べると1.5倍に増えたそうです。さらに、大阪では400時間、名古屋では360時間を超えるといいますから、都市圏では長時間、暑さにさらされます。

 夜間の気温が高くなりやすいのはコンクリートの建物やアスファルトが昼間、太陽の熱を吸収し、夜間に放出するのが原因で、日が暮れてもしばらく、気温が30度を下回らないことは珍しくありません。

 暑さにさらされる時間が長くなればなるほど身体への影響が大きくなるでしょう。最近、暑さに弱くなったと感じるのは年齢のせいばかりではないかもしれません。

【参考資料】

気象庁:ヒートアイランド監視報告(平成25年)

気象庁:ヒートアイランド監視報告(平成17年夏季・関東地方)

【猛暑日(日最高気温35度以上の日)、熱帯夜(日最低気温25度以上の日)は8月24日現在の日数です】

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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