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栃木・矢板で突風被害 「台風型」の竜巻か?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
2013年9月4日突風をもたらした雨雲(黄緑色の丸)

きょう(4日)昼過ぎ、栃木県矢板市などで、竜巻とみられる突風が吹き、建物の屋根が飛んだり、窓ガラスが割れるなどの被害がありました。現地の被害状況をみる限りでは、先日(2日)の埼玉・越谷で起きた竜巻よりも、被害の程度は小さいように思います。また、報道では竜巻の目撃があるようですが、現時点では、被害状況などで竜巻が発生したのか、しっかりと確認する必要があると思います。

竜巻などの突風をもたらす雲は非常に発達した積乱雲です。今回も、気象レーダでは南から北へ移動した、発達した積乱雲を捉えています。巨大な積乱雲(スーパーセル)であったかどうかは、雲の中に発生する渦巻き(メソサイクロン)の有無で決まります。これはドップラーレーダの解析を待たないといけないので、現時点ではスーパーセルだったか、はっきりといえません。

今回の突風には台風17号が影響していると思います。台風の東側には非常に湿った空気があり、わずかに持ち上げられただけで、すぐに雨雲になってしまうような湿った空気なのです。今回は上空と地上の気温差は約30度、埼玉・越谷では約40度でしたから、今回は前回ほど、気温差が大きかったわけではありません。

では、なぜ?きょうも?

台風17号は午前9時に、四国付近で温帯低気圧に変わりましたが、台風が持ち込んだ暖かい空気は本州に流れ込んでいました。この非常に湿った空気が関東平野に流れ込み、栃木県付近で西部の山地により収束し、雨雲が強化された可能性があります。

竜巻をもたらす気象現象は主に前線と台風があります。埼玉・越谷が「前線型」であった一方で、きょうの突風は「台風型」であったといえそうです。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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