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フェイスブックに課せられた『裸の王様』非表示機能

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
(写真:アフロ)

KNNポール神田です。

フェイスブックは、実名で実社会と密接につながっているSNS

実際の友達から、会社経由の知人に、BBQであった人、近所のレストランであった人、趣味のサークルであった人、さらに学生時代の旧友から親戚関係まで、自分の知人関係は、自分をとりまく360度のリアルな知人で構成される。

当然、リアルな自分のアイデンティティーであったとしても、所属する会社や取引先もいる場と、趣味の個人の場では付き合い方が同じという人はいない。しかし、コメントは誰もが気軽に、本人との関係性において、気軽に書き込むことができる。リアルな知人だけど、コメントに癖がある人は意外に多かったりする。

『投稿』の公開範囲を設定する

『プライバシー設定を編集』画面 出典:Facebook
『プライバシー設定を編集』画面 出典:Facebook

フェイスブックには、自分の『投稿』記事の『公開設定』ができる。

記事を『投稿』する時にも表示されるようにもなり、『投稿』の右上の『…』をクリックやタッチすると、『プライバシー設定を編集』が表示され、そこで、自分の『投稿』を見られる人の範囲を設定することができる。

しかし、はっきり行って、大雑把すぎると思うのだ。

大きく分けて、5種類のみだ。

1.『公開』という誰もが見られる『投稿』

2.『友達』Facebookでつながっている友達だけ

3.『次を除く友達』 投稿を見せたくない人を登録する

4.『一部の友達』 投稿を見せたい人だけを登録する

5.『自分のみ』 誰にも見せないけど、自分あてのメモや、やることリストなどに使える。

Facebookそのものが、『いいね!』をされることによっての自分の承認欲求を満たすことを目的とした粘着性を高めることによっての広告メディアだから、基本的にはポジティブなコメントが多くつく傾向がある。しかし、中には、いつもネガティブなコメントしかつけられない人もいる。現在の対応は、そんなコメントを『削除』するか、投稿を見せたくない登録をして 3.『次を除く友達』 で公開するかだ。

コメントを『削除』するのは、簡単だけど、会社の上司だったりお得意さまだったりするとややこしいことになってしまう。粘着性のある人であればその『削除』がきっかけで仲がギクシャクしてしまうこともありえるだろう。

コメントを『非表示にする』機能が搭載された!

自分のFacebook の『投稿』に対してのコメント欄を長押しすると、いつしかあらたな表示が増えている。

現在は、4種類の選択肢がある。

1.コピー

2.非表示にする

3.削除

4.キャンセル

そう『2.非表示にする』の機能が実装されているのだ。ネガティブなコメントを『非表示』にできれば、自分だけでなく、自分の『投稿』をみている人にもネガティブな『非表示』になると考えた。

Facebookの『非表示』は『裸の王様』機能ではなかった

自分の『投稿』のタイムラインからは『非表示』になって透明化されてコメントが見えなくなるが、実際にはどうなるのかを、知人のFacebookから自分の『投稿』に『コメント』を書いてもらい、自分のFacebookから『非表示』にしてみた…。

自分は投稿したつもりでも、人には見えていない『裸の王様』状態になっている事を期待した。

当然、『コメント』投稿者には表示されて見えてたままである。それを第三者の友人にも見てもらうと、なんと、第三者の友人にも『コメント』は表示されたままであった。

…うーん、これは、コメントを『非表示』にした自分だけが、『裸の王様』になっている機能としかいえない。

Facebookの自分の『投稿』に対しての『コメント』を『非表示』に設定したら、コメントを書いた本人以外はすべて見えないようにすべきだと思う。

むしろ、ブラックリストの方法で、その人のコメントは、本人は書き込んで見えるけど、本人以外には『非表示』になるような、ブラックリスト型の『非表示』が必要な気がして仕方がない…。

Facebook人口が増えてつながりが増えれば増えるほど、友達のコメントも含めて、その人の人格形成の判断となる時代だ。仲の良い人であればあるほど、仲が良いからゆえのコメントは注意しなければならなくなっている。Facebookのコメントは、その人の友達ネットワーク全員に対してのコメントであることを意識しなければならないからだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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